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4.栽培技術(シュッコンカスミソウ)

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こうち農業ネット : 2012/10/28

1)本圃の準備

ほ場には、地下水位が低く、排水の良い場所が適し、特に冬~春出し栽培には排水の良い場所を選ぶ。また、朝日や夕日が遮られる場所ではロゼットが発生しやすいので、日照条件の良いところが望ましい。施設には、換気が十分行えるものが必要で、サイド換気だけであれば1~2連棟が望ましい。
 定植1ヶ月前までに堆肥と石灰資材(目標pH6.5)を同時施用し耕耘しておく。土壌pHが4.5以下の場合には、新芽先端部の葉の黄化や生育不良等の障害が発生することがある。
 元肥には、土質にもよるが速効性肥料を中心に各成分量で15kg/10a程度施用する。連作ほ場では土壌ECが徐々に高くなるが、このようなほ場でも極端に元肥を減らすとロゼット化する芽が多くなることが多い。なお、限界ECは不明であり、EC2.5程度であれば元肥を基準量とするか、あるいは2割減としてその分を追肥で補う。
 畦幅は、一条植えの場合は120cm、2条植えの場合は150cm程度とし、できるだけ高畦とする。

 

栽植例 


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2)定植

 栽植本数は、10a当り2,500株(春出し)~3,000株(年内出し)を目安とし、鉢上げ後2週間(2.5号鉢)~3週間(3号鉢)以内に定植する。
 


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(左)定植作業 (右)マルチ栽培灌水が均一に行き、初期の生育がそろう地温低下の効果がある

 

なお、比較的排水の悪い圃場では必ず1条植えとする。定植適期の目安は、鉢土が崩れない程度の根鉢が形成された時期で、早すぎると定植時に鉢土が崩れて活着が悪くなり、遅すぎると苗が老化して、いずれもロゼットの原因となるので注意する。また、定植時に地際部等から側枝が出ている苗は早期抽台して貧弱な切り花しか採花できないことがあり、苗の揃いが悪いと初期管理が斉一に行えなくなってロゼットの発生を招いたりするので、できるだけ生育の揃った良苗を定植するようにする。

3)摘心(ピンチ)

 8月下旬~9月上旬に定植する作型では腋芽の発生が少ないため、定植10~14日後に定植後に伸長してきた葉(幅が広く長いもの)を6枚程度残してピンチする。9月10日~10月中旬に定植する作型では定植7~10日後に、これ以降に定植する作型では定植10~14日後にいずれも同様の葉を4枚程度残してピンチする。なお、ピンチが深いと開花が遅くなり、ロゼットになりやすいが、ピンチが浅いと、開花が早く、切り花のボリュームがやや減少する。また、腋芽が多く出るため芽の整理が煩雑となる。
4)芽の整理

 良品生産と開花時期を揃えるため、ピンチの2週間後に勢いの良い揃った芽を一株当り3~4本残して弱小側枝を取り除く。5本以上残すとロゼット化しやすく、ロゼット化しなくとも下級品が多くなる。
芽を整理するときには、株の中心にある垂直に立った強い芽や節間の伸びた芽は除去し、芽が十文字になるように残す。
 


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(左)芽かきの適期 (右)整理後、4本のそろった芽を残す。

5)灌水

 生育初期の乾燥はロゼット化の原因となるので、定植後は十分に灌水を行い土壌表面が乾かないようにする。特に活着までは土壌が乾かないように毎日朝晩、土壌表面が湿り、苗の周りに水がいく程度に灌水し、活着後節間伸長までは3日毎程度に灌水する。そして節間伸長し始めロゼットを回避した頃から灌水を少なくし、1週間に一度程度の灌水とし、出蕾以降は完全に水を切り、圃場全体を乾燥気味に管理していく。なお、排水の良くない圃場は早めに水を切り、切り花品質を高めるようにする。
 初期の灌水を控え気味にし、ややロゼット気味に育てた方が茎が太くなり、ボリュームのある草姿となるが、灌水を控えすぎるとロゼット化する。
 また、灌水打ち切りが早いと下枝の張りが悪くボリュームが減少し、品質を落とすとともに枝切り本数が減少する。また、打ち切りが遅いと軟弱となり、品質がきわめて悪くなる。
 灌水量、灌水打ち切り時期は、圃場によって異なるので経験によるところが大きい。

6)追肥

 芽の整理をした後、発蕾までに300~400倍の液肥を1回当り1,500リットル/10a程度施用する。追肥をしたほうが茎の太りがよく、ボリュームのある切り花ができる。通常3~5日毎に0~8回程度追肥する。

7)温度管理

 良品生産のための生育適温は、昼温17~25℃、夜温7~13℃程度である。低温には比較的強く 、0℃でも枯れることはなく、一時的であれば-5℃に遭遇しても枯れることはないが、発蕾後に0℃以下の低温に遭遇すると完全に開花しない小花が発生したり、花茎が曲がったりすることがある。一方、25℃以上の高温下では奇形花(だんご花)が発生し、特に多湿な条件では小花梗が徒長するなど品質が悪くなり、病気の発生も多くなる。
ロゼットの発生回避のため抽台までは、やや高目の温度管理を行い、その後は、早朝(日の出前)から日没後まではできるだけ換気する。なお、小花が1割程度咲いた時期から最低夜温を15℃に加温すると、上部から下部の枝まで同時に咲いてボリュームのある切り花となるが、18℃以上に加温したり、加温時期が早すぎると節間が伸び軟弱な切り花となる。

8)ネット張り

 草丈が15cm前後の頃、倒伏防止のために20~25cm目のネットを張り、生育に応じて引き上げる。その後、草丈が50~60cmの頃に周囲にマイカー線を張る。

9)電照

 1番花で電照した場合、それが短期間であっても下枝のボリュームがなくなり、特に12月出しまでの作型では、下級品が多くなる。したがって、1番花での電照はできるだけ避け、何らかの要因でロゼットになりかけた場合のみに行い、このような場合には深夜3時間の電照を1~2週間程度行う。ただし、‘ゴラン’や‘ギルボア’のようにロゼット化しやすい品種を12月以降に出荷する作型で栽培する場合は、最低夜温を12℃以上に加温すると同時に芽の整理直後から2週間程度深夜に3時間電照する。また、‘ニューフェース’は草丈が短いために、節間伸長を促して草丈を確保するために、草丈20cm頃から発蕾時期まで深夜に3~6時間電照する。

ア.二度切り栽培

  • a.再生による栽培

 1番花の側枝の大部分を収穫した頃からできるだけ換気し、刈り込みまでに低温に遭わせておく。刈り込み前7~10日頃に十分に灌水するとともに速効性の化成肥料をN成分で3~4kg/10a施用しておき、1番花の収穫終了直後に地際部の茎を1~2cm残して地上部を刈り込む。このとき、刈り込み直後に灌水すると株枯れを起こしやすいので避ける。刈り込み後から芽の整理までの期間は、密閉蒸し込み処理(再生が遅くなるが比較的枯れ込み株が少ない)かトンネル処理(再生は早いが、灌水が多すぎると枯れ込み株が多くなる恐れがある)を行う。なお、1番花の栽培中に十分に換気して低温に遭わせておくと再生がよく、また、1番花での摘心節位が高い(12~13節)ほうが再生がよいようである。さらには、刈り込み後10℃以上に加温すると再生がよい。良好な再生芽とは、茎が太く節間の詰まった、濃緑色の葉がついた芽であり、黄緑色の芽はそのまま枯れ込む恐れがある。このような株は必ず根が弱ったり、あるいは腐敗しており、灌水過多であった場合に発生が多い。

密閉蒸し込み処理

 刈り込み後、ハウスを蒸し込んで芽の再生を促す。この場合の換気は、晴天時に10cm程度サイドを開ける程度とし、曇雨天時は完全に密閉する。その後、新芽が10cm程度に伸長すれば7~10日に1回程度表面が湿る程度に灌水する。

トンネル処理

刈り込み後、トンネルを設置して再生を促す。この場合、トンネルは常に密閉状態とし、ハウスの換気は、晴天時に10cm程度サイドを開ける程度とし、曇雨天時は完全に密閉する。トンネルを除去するまでは灌水しないほうが株枯れを起こす危険が低いが、灌水する場合は、芽が再生し始めた後から7~10日に一度程度表面が湿る程度に行う。その後、新芽が10cm程度に伸長したころにトンネルを除去する。なお、トンネルを設置した状態で灌水しなければ、再生は遅いが、株枯れの危険が少なく新芽の質もよい。一方、灌水すれば再生は早いが、灌水量が多すぎると株枯れが発生する。
 


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蒸し込みの様子

  • b.植え替えによる栽培

 植え替え用の苗は、1番花の場合と同様に育苗してもよいが、1番花の育苗時に余分に育苗しておく方が楽である。挿し芽して鉢上げ後、露地で管理して十分に低温に遭遇させておけば、老化苗となってもロゼット化しない。

  • c.芽の整理

 芽が10cm程度に伸長した後に3~4本に芽を整理する。芽の整理時期が早すぎると株が弱るので注意する。芽は、できるだけ上部から出ている、茎が太く、節間の詰まったものを残す。地中から出たような芽は、芽の整理時には生育が早いが、その後の生育が遅く、貧弱な切り花しか採花できないので注意する。
 仕立て本数が多すぎると特に軟弱になりやすくなる。

  • d.電照

 芽が見え始めてから、あるいは芽の整理後7~10日間程度深夜3時間の電照を行いロゼット化させないように管理する。電照期間が長すぎると、節間が伸び草姿が乱れると同時にボリュームの無いものになるので注意を要する。また、電照することで開花時期が2週間程度早まり、収穫期間も短縮される。

  • e.追肥

 2番花での追肥は、低温時の施用となるので硝酸態窒素系の液肥を施用する。一番花と同様の濃度のものを1~5回程度追肥する。
 




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