4)夏秋ギク(精雲)の電照抑制
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ア.育苗
収穫の終わった株を、8月に別の圃場に移して、冬至芽を発生させる。12月に株を掘り上げて無加温ハウスに植え付ける。1月上旬に摘心し、2月頃から順次苗をつくる。

(左)8月に切り下株を定植(母株の定植)
(右)12月下旬、無加温ハウスに入れる前の母株の状態
無加温ハウス内に母株を植え付け、整理した後の状態(1月下旬の様子)
a.親株床
植え付けの2週間前までに、消毒しておく。基肥として10a当たり窒素成分で約17~18kg施用する。追肥は生育状況により、窒素成分で2kg程度、液肥等を施用する。
b.親株管理
植え付けた株の生長が始まったら、追肥をかねて土寄せを2~3回行い、冬至芽の発生を促し、刈り込みを繰り返す。最後の刈り込みは挿し芽時期から逆算して約30日前に行い、充実した挿し穂が採れるようにする。
c.挿し芽
挿し芽時期の目安は「6月出し」では2月上旬、「7月出し」では3月中旬、「8月出し」では4月中旬である。
(左)精雲の挿し芽
(右)挿し芽後、べたがけする
(写真は、べた掛けを少し開けた状態)
挿し穂は、やや小さめの若い穂がよい。採穂後は6~8cmの大きさに調整する。発根をよくするために、発根剤(オキシベロン)の液剤(100倍)を切り口に瞬間浸漬する。挿し穂は植え付け本数より20~30%多く準備する。
以下、秋ギクと同様の管理をする。
イ.定植
a.定植時期
「6月出し」では2月末、「7月出し」では3月末、「8月出し」では4月末が目安である。
b.栽植本数
精雲
床幅75cm、条間15cm、株間15cm 4条植え
10a当たり、約18,000株
ウ.摘心と仕立て方法
精雲は1回摘心の2本仕立てとする。
定植後15~20日すると新葉が3~5枚展開し、苗が十分に活着したことを確認したら、日中の高温時を避けて基部から4~5節残し摘心する。摘心後、側枝が伸長し展開葉が4~5枚になった時点で、1株当たり2本に整枝する。
エ.ネットの引き上げ
側枝の伸張に応じて、ネットを引き上げる。
オ.摘蕾・摘芽
中心の蕾を1個残し、他の蕾を除去する。
カ.圃場の管理
キクの根は湿害に弱いので、6月の梅雨には圃場の排水に気を付ける。7月の乾燥期には土壌水分を保持する。
キ.電照方法
花芽分化を抑制するために、電照する。「6~7月出し」では深夜4時間、摘心から消灯まで行う。「8月出し」では生育期が花芽分化の適温期であるため、深夜4時間植え付けから消灯まで行う。電照期間は草丈が40cmになる40~50日を目安とする。草丈40cm以上電照しても、電照で花芽抑制効果がなくなり、花芽分化してしまい、柳芽になるので注意する。
ク.温度管理
精雲は35℃以上が長い時間続くと、外側の花弁が伸びず花が小さくなり、切り花品質が低下するので、できるだけ換気や通風をよくする。
ケ.花首伸張抑制
消灯後25~30日後の摘蕾期(小豆粒大)に、Bーナインを1回散布する。
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