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3-2.土づくりの基本

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こうち農業ネット : 2012/10/31

土づくりは家の建築に例えると土台(基礎)づくりに相当する非常に大切な作業です。良い土でないと作物の生育が不良で、病害などの発生も多くなり、安定した作物生産を行うことは非常に難しくなります。土づくりの方法としては、有機物の施用、深耕、除礫、客土、輪作、過剰な塩類の除去、排水対策、適正な施肥などがあげられます。
 

(1)有機物の施用

 有機物の施用は土づくりに最も有効で、各種土壌において、理化学性の改善や作物の増収などの効果が認められています。しかし、一口に有機物といっても、資材によって含有成分量や特性が大きく異なります(表2-1、2-2)。たとえば、家畜ふん堆肥はバーク堆肥よりもpH(酸度)とEC(電気伝導度)が高く、窒素、りん酸、加里、塩素などの養分も多く含まれています。
 堆肥中の窒素は、全量が速やかに作物に利用されるわけではありません。含有窒素量のうちで作物が利用可能な割合(有効化率)は、牛ふん堆肥で20~40%、豚ふん堆肥で40~60%、鶏ふんで50~70%といわれています。
 有機物の一般的な施用量は表2-3に示したとおりです。多量に施用する場合には、堆肥中の肥料成分を勘案して施肥量を少なくする必要があります。
 稲わらや広葉樹バーク堆肥、牛ふんオガクズ堆肥などを定植直前に多量に施用すると、作物の生育が抑制され、大幅な収量の低下を起こすことがあります(表2-4)。炭素率の高い有機物が土壌に施用されると微生物による分解が活発になります。分解初期には微生物が急激に増殖するため、土壌中の無機態窒素が微生物に取り込まれ、作物が利用できる窒素が一時的に不足することがあります。
この現象を窒素の有機化または窒素飢餓といいます。生育障害を回避するためには、できるだけ腐熟のすすんだものを施用するようにします。やむを得ず未熟な堆肥を使用する場合には、定植のできるだけ前に施用し、十分腐熟させておくようにします。
 このように、有機物を使用する際には、施用量や施用時期に留意しながら、資材の特徴を生かした施用法が重要になります。


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図2-1 半湿田における有機物鋤込み時期と施用効果(千葉県)


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(2)深耕

 野菜栽培においては、作土だけでなく、下層土の物理性も大変重要です。キュウリの収量が多いほ場では、作土が深く、根が深くまで伸長しています(図2-2)。
 また、深耕を行うと表層に集積した塩類の濃度が低下し、根の伸長促進と増収に効果があることも明らかにされています。
このようなことから、有機物施用と併用して深耕を心がけたいものです。しかし、下層土が劣悪な場合に一度に深く耕すと、生育不良を起こす場合がありますから、1回に数cmづつ何年かかけて徐々に行うことが大切です。


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図2-2  作土の深さがキュウリ収量に及ぼす影響

 


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(3)除礫

 礫が多いほ場では、作業能率が低下し、機械の損傷も多くなります。また、バレイショなどの根菜類やトウモロコシなどの深根性の作物では悪影響を受けることがあります。
 管理作業面では、トラクタの運転速度、動力取出装置(PTO)の回転数などを低くして作業を行うようにします。また、一度に深く耕さず、除礫を行いながら徐々に耕深することも肝要です。


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(4)客土

 不良土壌を早急に改良するためには、客土が有効な方法です。粘質土に砂質土壌や山土を搬入すると、土壌の透排水性を改善することができます。また、蛇紋岩を母材とする土壌では健全土壌の客土によってニッケル過剰症を、鉄分が少ない水田では赤土の客土などによって硫化水素の害を防ぐことができます。
 このように、客土は土壌改良の有効な方法ですが、使用する土壌には充分注意しなければなりません。海岸近くの硫化物を含む下層土は、黒色を呈しているために、腐植含量が多く生産性の高い土壌と思われがちです。しかし、硫化物は、畑地状態で空気にふれると酸化されて硫酸を生成し、土壌pHを著しく低下させます。このため、作物の生育が不良となり、甚だしい場合には収穫皆無となった事例も多くみられます。
 このようなことから、客土を行う場合には、使用する土壌のpHとECを必ず測定し、pHが適正でない土壌やECの高い土壌の客土を避けるようにします。
 


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(5)排水対策

 作物の耐湿性は作物によって異なり、インゲン、ホウレンソウ、ニンジン、スイカなどは過湿の害を受けやすい作物です。排水不良な圃場では、過湿による根腐れや病害の発生などを招きやすくなります。このため、高畦栽培や暗渠、明渠の施工によって、透排水性の向上に努めなければなりません。暗渠の設置方法は、土壌の透水係数などによって異なります。透水性の悪い圃場では、本暗渠と補助暗渠の両者を設置するとともに、設置間隔を狭くする必要があります。


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図 2-3  暗 渠 排 水 の 方 法(永石)
 

(6)輪作 

 ハウスなどで同一作物を連作すると石灰や苦土、カリ、りん酸などの養分が蓄積し、作物の生育が不良となる場合があります。また、連作圃場では土壌病害の発生も多くなります。このため、安定した作物生産を続けるためにはできるだけ輪作を行うようにします。
 マメ科作物は地力の増進、深根性作物は物理性の改善、イネ科作物は過剰養分の除去、クロタラリアなどはセンチュウ防除に効果があることが解っています。しかし、年間の作付け体系の中では緑肥の栽培期間を確保しにくいことや異常還元や窒素の取り込みなどのために作物に障害が発生することがあるなどの問題があります。このため、緑肥の鋤き込みは作物の播種や定植の1ヶ月以上前に行い、十分に分解させておくことが大切です。
 田畑輪換は、水稲と畑作物を交互に栽培する方法で、過剰養分の除去や糸状菌による病害の発生軽減などの効果があるといわれています。しかし、露地野菜などを2~3年栽培した後に再び水田に戻すと、水稲の生育が旺盛で倒伏しやすくなり、減収や品質低下を招くことがあります。このため、基肥の施用量をやや減すなどの措置が必要となります。
 


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(7)除塩

 ハウス栽培では、連作によって土壌中に養分が蓄積し、濃度障害や塩基のアンバランスによる生理障害が発生しやすくなります。このため、栽培終了後には圃場に水をため、過剰な養分を洗い流すことが必要です。水量は最低200mm(200t/10a)が必要で、水量が多いほど除塩効果は高くなります(表2-12)。除塩に必要な水量が確保できない圃場では、土壌を十分乾燥させた後に表面2~3cmを圃場外に搬出する方法やイネ科作物を栽培する方法によって除塩を行います。また、前述したように、深耕によって表層の塩類濃度を低下させることも短期的には有効です。


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