キュウリの促成栽培-定植後の管理-
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定植後の管理
整枝・摘葉
支柱立てと主枝の誘引
定植後、直ちに支柱を立てる。支柱は、畦上1.4m程度の高さに畦と並行に針金を張り、長さ2m程度の支柱を2m間隔に立て、上部の針金に固定し、この針金にテープを結び畦上にたらし誘引する。
キュウリは本葉4、5枚となると、巻ひげが発生し伸長期にはいるので、この時期までに誘引を終わる。
誘引が遅れ、つるを這わせると初期の生育が悪く側枝の発生が抑制されるので注意する。
力枝の誘引状況
主枝の摘心
主枝は1.4m(16~18節)で摘心する。生育の目安は本葉3.5枚で定植した場合、定植後30日で摘心できるような管理とする。
側枝の摘心
つる下げ摘心栽培では、力枝で草勢を維持し果実の回転を良くすることにより収量を高める栽培であり力枝の発生位置と、素質の良し悪し、および取り扱い方が重要である。
主枝については、中~上位節から出た側枝3本(4本仕立ての場合は4本)を力枝として残し、後はすべて1節摘心とし摘みすぎをせずに摘み易い状態で行う。
主枝の下位5節(30cm)までの側枝は早めに摘除する。また6節以下の雌花は早めに除く。主枝での収穫は7~8本程度とする。
力枝は下段が8節位からの側枝を交互に誘引するが15枚時の草勢が強い場合は、1~2節上から、弱い場合には、1~2節下の側枝をとる。
中段は11節前後の強い側枝をとり、上段の3~4節で強い側枝をとる。
その他の側枝は果実の収穫と同時に除く。
摘 葉
こみ合って葉に光があたらなけば、光合成が十分でなく栽培上マイナスの要因となるため、光線が株元まで十分に当たるよう、受光体制を整える。
摘葉のポイント
・本葉15~16枚になった頃下段力枝の発生節附近がこみ合いやすいので、7~8節の本葉1~2枚を摘除する。
・草勢や葉の大きさによるが繁茂気味になれば親葉は早目に除く。
・強度の摘葉は草勢を落とす原因にもなるので、一度に2枚以上の摘葉はせず中2日くらいの間隔で行う。
マルチング
収穫初め頃(11月中旬)に行う。ブルームレス台木は根が細く全体に畦の上部に多く分布するのでポルマルチングにより厳寒期の地温確保につとめる。
キュウリの根の張り方
土壌条件の良い場合には土中深くのび
るが、硬盤層に当たると横に伸びる。
温度管理
低温・寡日照下の栽培であり、温度は光線と同様に重要であり、健全な草勢を長期維持し、増収と品質維持を図るために適当な温度管理が必要である。
(1)定植から摘心までは、外温が高く又地温も高いので十分換気を行い温度によるしめ作りをする。
(2)加温初めは外温が10度を下回るようになれば下表のような管理をする。
加温開始期の温度管理
午 前 | 午 後 | 加 温 時 | |
晴 天 | 25~28℃ | 25~20℃ | 13℃ |
曇雨天 | 20℃ | 15℃ | 12~11℃ |
c)厳寒期になるに従い昼夜温を除々に上げ地温の確保に努める。
厳寒期の温度管理
午 前 | 午 後 | 夜 温 | |
晴天日 | 27~28℃ | 24~23℃ | 最低13℃を確保 |
曇雨天日 | 20℃ | 18℃ | 12~13℃ |
d)2月中旬以降外気温が上がりはじめ、草勢の回復が見えはじめると早目に換気し、草勢の回復を図る。
湿度管理
温度との関連が大きく、湿度が高すぎると軟弱徒長となる。逆に湿度が不足した条件下では老化をまねき生育が抑制され収穫が低下する。
空気湿度は他の条件がともなえば、午前中80%午後は60%を割らない程度とし夜間は80~90%程度が適当である。
灌水・追肥
灌 水
ブルームス台木の根は浅く広く張るために、灌水は畦全体に少量回数を心がける。株元が常時しめあってる場合は、株が腐る事があるので注意する。
灌水は、土性や地下水との関連をいつも念頭におき、天候、生育状況をみながら、晴天の午前中に行う。天候不順がつづく時は灌水量を考えながら草勢を落とさない程度の量を灌水する。
気温が上昇し始める2月中旬頃より換気量、水分の蒸散も多くなり、また収量も多くなるので灌水量を増す。
追 肥
追肥の時期や施用量は生育の状態により異なるが、1回目は、主枝摘心時に肥効が現れるよう6~7日前に行う。
2回目は、主枝果実の収穫が始まる頃に行うが果実が真っ直ぐな状態であれば、早めに行う。その後は5~7日おきに灌水と同時にチッソ成分で0.5kgを液肥として施用する。ブルームレス台木は、写真のように小さい根が多いので痛めないように注意する。
摘 果
ブルームレス台木は主枝雌花の第1花の開花はクロダネより遅いが開花すると2~3番花の開花が早くなり生殖生長に変わり易いので主枝及び力枝の摘果を行う。この栽培法では着果数を多くするより株で開花から収穫できる果実数を15本を目安とし果実の肥大を早める。
12月下旬~2月中旬には力枝の生育がにぶり易く、上から3~4枚の雌花開花を正常な生育の目安とするが、上から2枚目で開花するようになれば早目に2果くらい摘果する。
生育後の品質低下防止対策
長期栽培であるので12月いっぱいは樹作りの考え方をして1月~2月に十分根の力を引き出して条件の悪い時期を乗越える。
・管理は大切な時期に十分手を入れる。
・樹勢(12月~2月中旬)の回復のために早めに、摘果する。
・収穫の山谷がないように、一定ペースで収穫をするような、温度、水、湿度管理に心がける。
収 穫
果実の肥大の早い時期は朝夕収穫する。
目標収量は11月下旬~5月下旬までで18t以上、A品率で75%以上を目標とする。
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