グリーンフォーカス 令和5年7月号
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「未来の担い手」確保に向けた取り組み ~高知県立梼原高校での出前授業~
- 地域の現状と取り組みの背景
須崎農業振興センター農業改良普及課管内は、須崎市、中土佐町、梼原町、津野町の1市3町からなり、海岸部から標高1,400mまで位置し、それぞれの地域環境に応じた農業が営まれてきました。
山間農業地域の梼原町、津野町では、夏期冷涼な気候を生かした米なす、土佐甘とう、小なすなどの雨よけ栽培、傾斜地での茶生産などが行われていますが、生産者の高齢化、減少が続いており、農業の担い手(作業者、農業経営者)の確保が課題になっています。
そこで、令和4年度から「未来の担い手」を育てる取り組みとして、高知県立梼原高校で出前授業を始めました。
1年生及び農業コースの生徒(2・3年生)を対象に、農業についての知識・関心を深めてもらうこと、農業を職業の選択肢に加えてもらうことを目指して、地域の農畜産物についての座学と農作業体験、調理実習などを組み合わせた出前授業を開催しました(高知県立梼原高校は2年生からコース選択制)。
- 活動の内容
令和4年度は、津野山地域営農連絡協議会(高知県農業協同組合、梼原町、津野町、須崎農業振興センター等で構成)と生産者が講師となり、1年生を対象にした梼原町の農業・畜産及び高知県の園芸に関する講習、2・3年生を対象にした茶、土佐甘とう、米なす、小なす、ゆずの栽培に関する講習及び収穫・調製作業や調理実習を延べ11回開催しました。また、講習や実習の内容について、満足度や意見を把握するためのアンケートを実施しました。
- 活動の結果
1年生を対象にした講習では、38人中35人が「良い」もしくは「やや良い」と回答し、2・3年生を対象にした講習や実習では、延べ85人中83人が「良い」もしくは「やや良い」と回答しました(表1)。
また、「農業でどれだけ稼げるのか理解できた」、「今までしたことのない体験ができた」、「年々生産者が減少していることを知ることができた」、「進路選択の参考になった」、「農業に興味を持つことができた」、「美味しかった」などの意見が出され、農業に対する知識・関心が深まったことがうかがえました。
講師として実習を受け入れた生産者からは、「来年も受け入れたい」との感想がありました。
表1.出前授業満足度アンケート
講座名 | 総合評価 | ||||||
学年 | 良い | やや良い | 普通 | やや悪い | 悪い | 合計 | |
津野山地域(梼原町)の農業・畜産、 高知県の園芸 |
1年生 | 17 | 18 | 3 | 0 | 0 | 38 |
茶 | 2年生 | 8 | 1 | 1 | 0 | 0 | 10 |
3年生 | 12 | 1 | 0 | 0 | 0 | 13 | |
土佐甘とう | 2年生 | 9 | 2 | 0 | 0 | 0 | 11 |
3年生 | 11 | 2 | 1 | 0 | 0 | 14 | |
米なす・小なす | 2年生 | 9 | 2 | 0 | 0 | 0 | 11 |
3年生 | 13 | 0 | 0 | 0 | 0 | 13 | |
ゆず | 2年生 | 5 | 1 | 0 | 0 | 0 | 6 |
3年生 | 6 | 1 | 0 | 0 | 0 | 7 | |
合計 | 90 | 28 | 5 | 0 | 0 | 123 |


- 今後の展開
令和5年度は、令和4年度の内容に加えて原木シイタケの駒打ち実習や、県が進めているIoP(Internet of Plants:植物の生理・生態情報をリアルタイムに可視化し、栽培管理等に活用するという概念)及びIoPクラウド「SAWACHI」の取り組みについて講習を計画し、順次開催しています。
これらの取り組みにより、高知県立梼原高校の生徒が農業についての知識・関心を深め、「未来の担い手」となることを期待しています。
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