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グリーンフォーカス 令和5年1月号

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安芸農業振興センター 農業改良普及課・室戸支所 : 2023/01/01

安芸市新規就農者確保・育成の取り組み

  • 地域の現状

平成18年に安芸市、JA、安芸農業振興センターなど地域の関係機関で構成する、「安芸市担い手支援協議会(以下、協議会)」が設立されました。

その頃に行われた10年後の将来予測で、「担い手がどんどん減っていく」「空きハウスがたくさん出てくる」という結果から、担い手の確保と経営安定を図ろうと設立されたもので、それ以降協議会では、地域農業の情報発信から、就農相談、農業研修生のサポート、就農後の経営安定に向けた技術指導など就農準備段階から経営が軌道に乗るまでのトータルサポートを行っています。

  • 活動内容

(1)地域農業の情報発信
東京、大阪をはじめ県内外での就農相談会への参加や農業体験ツアーの開催など、まずは「安芸市がどんなところで、どのよう農業が営まれ、農業者はこんな経営をして暮らしています」といったことを幅広くPRし、知ってもらう取り組みをしています。
また、平成27年からは地域が求める人材や受入体制を明記した「産地提案書」を安芸市では6品目(ナス、ピーマン、ユズ、花、シシトウ、親元就農)で作成し、産地提案型担い手確保対策にも取り組んでいます。


写真1

↑写真1 県内就農相談会で就農希望者に安芸市のトータルサポート支援の説明をする様子


写真2

↑写真2 農業体験ツアーで安芸市の大規模農家から説明を受ける参加者の様子


(2)就農相談
就農希望者とは関係機関がそれぞれ相談に対応した後、研修希望者には協議会で面接による審査を行い、「農業は厳しい面もあるからこそ、本気でやりますか」と、就農への意欲を問いかけています。
事業を開始するには資金や技術習得などの準備が重要になるので、就農の失敗を避けるために研修段階から丁寧に審査をしています。


(3)農業研修生へのサポート
協議会で受け入れた研修生に対して、就農後に必要な知識・技術を習得してもらえるよう研修カリキュラムに沿って、まず県農業担い手育成センターで3か月以上農業の基礎知識から先進技術まで一連の流れを学んでもらいます。その後、地域の指導農業士(研修受入農家)で実践研修し、トータルで最長2年の研修期間中に自立就農に必要な知識・技術に経営感覚を加えて学んでもらいます。
また、地域にはJA高知県の出資法人「(株)アグリード土佐あき」があり、ここでは雇用就農しながら研修を受けることも出来ます。


(4)経営開始後のサポート
<ハード面>
研修中にタイミングよく条件に合う中古ハウスが見つかれば、研修終了後、その中古ハウスを取得して自立就農も出来ますが、そうでない場合は自己資金でハウスを建設しなければなりません。
また、園芸用ハウス整備事業を活用した新設ハウスを利用するためには、原則2年間の営農実績が必要になってきます。  
そこで、ハウス取得までの間を支援しようと市やJAが建設し貸付を行うサポートハウスが平成28年度に整備されています。
サポートハウスは、研修を終了し新たに自立就農を始める者に対して、市等が園芸用ハウスを安価に賃貸借することで、栽培技術や農業経営が不安定な就農初期を支援するものです。最長2年貸し付けし、研修後の営農実績を重ねるために活用されています。
安芸市内には現在6棟(市5棟、JA1棟)あり、令和5年度には市がさらに1棟増設する予定です。


写真3

↑写真3 サポートハウスの外観


写真4

↑写真4 サポートハウスには環境制御装置が備え付けられています。


<ソフト面>
○市町村、JA、農業振興センターからなる就農支援チーム(平成26年度設立)による以下の支援に取り組んでいます。
・就農直前には定植、農薬、肥料等についてアドバイス
・就農準備勉強会(補助制度、制度資金、農地の借入、JAの活動等)の開催
・就農後は定期的に現地訪問による技術支援
・個別面談による園芸年度実績確認及び次園芸年度の課題整理、経営改善への助言
・また、農業振興センターによる基礎講座の開催(土壌肥料、農薬、GAP、害虫と天敵、ハウス内環境について、施設野菜栽培の病害、農業経営など)
 


写真5

↑写真5 就農支援チームによるほ場巡回サポートの様子


写真6

↑写真6 新規就農者や研修生を対象にした、農業振興センター基礎講座の様子

  • 地域の動きや活動の成果

協議会設立後、研修から就農までの道筋を整えてきたことで、平成22年度以降に県や国の研修制度を利用して就農した農業者は40人になりました。JA高知県安芸地区園芸研究会ナス部会の栽培実績の推移では、H29園芸年度の総栽培面積総栽培戸数は141ha、638戸であったものが、R3園芸年度では139.4ha、644戸となり、当初、心配されていた「担い手がどんどん減っていく」「空きハウスがたくさん出てくる」といった状態は免れ、産地を維持することができています。
また、親元就農者の増加もあり、安芸市の過去5年の新規就農者数は92人で、県内でもトップクラスです。
研修生を受け入れて支援する指導農業士もR3年度末で県全体では234人のうち、安芸市だけで23人になっています。

  • 今後の展開

自立就農に向けて、2年の研修期間と就農後2年間のサポートハウス利用期間の最長4年間のトータルサポート体制をさらに充実するため、(1)研修生に対して、技術習得チェックリストを作成して研修中の技術習得状況を把握し、研修生の弱点克服に向けサポート、(2)JA生産部会や指導農業士との連携を増やし、地域で研修生を育てる仕組みを強化、(3)就農希望者や研修生が安心して就農準備していけるように、農地や中古ハウスの流動化の仕組みづくり、に取り組んでいきます。




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