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グリーンフォーカス 令和5年2月号

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中央東農業振興センター 農業改良普及課 : 2023/02/01

「露地野菜でスマート農業」


  • 地域の現状

 高知県中央東農業振興センター農業改良普及課の管内は、物部川流域に位置する南国市、香南市、香美市の3市からなり、販売農家戸数は2,623戸で県内の22%、経営耕地面積は3,441haで同24%を占めています(2020年農林業センサス)。水稲、施設及び露地野菜、果樹、花き等、多様な農業生産が行われている県下有数の農業地帯です。現在、南国市では国営緊急農地再編整備事業で522haの農地整備計画が進んでおり、水稲との輪作による加工業務用露地野菜の産地化を目指しています。


  • 取り組みの背景

 南国市では、古くからキャベツの栽培実績があり、R4年度実績で5.7haで栽培されています。また、全国的な端境期である4~5月の出荷が可能なことから、地域の有望品目として位置づけています。加工業務用向けにキャベツの生産振興を図るにあたっては、出荷計画に基づいた安定出荷が求められているものの、正確な出荷予測や、生産者の高齢化に伴う収穫作業の負担の増大が課題となっています。
 そこで、当農業振興センターとJA、南国市、生産者で管内の農業振興を目的とした南国市露地野菜産地化協議会を設立。また、JA、IT事業者、大学らと連携して、ドローン及びAI技術を用いた収量・出荷予測の精度向上を目的に、南国市土地利用型園芸農業検討協議会を設立し、これらの課題に取り組みました。


  • 活動内容

(1)キャベツ専用収穫機による収穫作業の実証
 キャベツの収穫作業では手刈りが主であり、
(1)長時間作業姿勢が前傾かつ中腰になる
(2)1玉重が2kg前後
(3)人手が必要
などの理由から、生産者の高齢化に伴い生産縮小傾向にありました。そこで、農機メーカーの協力でキャベツ専用収穫機を使った収穫体系を実証し、手刈り収穫との作業性を比較しました。
 まず、南国市露地野菜産地化協議会にて、収穫機実演会を開催しました。通常の手刈り作業との作業時間を比較し、併せて収穫機を導入した場合の経営評価をしたうえで、生産者と協議しました。


(2)ドローン撮影画像を用いた欠株判定調査
 加工業務用キャベツでは、契約先に対して正確な出荷予測情報が求められますが、現状は生産者の目視による観察を基に、経験や勘による予測がされています。しかし、ほ場が広大であったり点在する場合や、観察・予測できる人材が限られている場合は、正確な状況把握が困難となります。そこで、ドローンを活用した、省力かつ収量・出荷予測の精度向上に向けた取組を始めました。
 まず、南国市土地利用型園芸農業検討協議会にて、国の「次世代につなぐ営農体系確立支援事業」を活用した取組に係る役割分担やスケジュールを明確にしました。
また、ドローンによる収量・出荷予測にはキャベツの欠株率を算出する必要があるため、IT事業者がキャベツのドローン撮影画像をAI解析した値と、ほ場で玉数を実測した値とを比較し解析精度を評価しました。


  • 具体的な成果

(1)キャベツ専用収穫機による収穫作業の実証
 キャベツ専用収穫機では、通常の手刈り作業の約1/2と大幅な作業時間の短縮が図られました(表1)。また、今回は青果用キャベツの収穫でしたが、調製作業は3人で余裕があり、加工用であれば外葉を除く手間が少ないため、更に作業時間の短縮が可能と考えられます。
 経営評価では、水稲との輪作をした場合の経営指標を作成し、生産者と協議しました。評価として、収穫機により作業性が向上する一方、機械導入に係る経費が大きいことから、個人での導入でなく、一定以上の規模で複数人で導入・活用していく事が望ましいとの結論になりました。


表1 収穫機と手刈り収穫の作業時間比較


写真1 専用収穫機による収穫作業の様子

(2)ドローン撮影画像を用いた欠株判定調査
 ドローン撮影画像による欠株判定では、3作型の撮影・調査を行った結果、実測値に対してAI解析は90.5%の精度となりました(表2)。撮影画像のAI解析では、回数を重ねることで解析精度が向上することや、実証農家から「出荷までの生育状況(ステージ)の判定にも取り組みたい」との要望があったことから、次年度も協議会で取組を継続し、精度向上を図ります。



図


写真2 写真3

  • これからの課題

 キャベツに係るスマート農業の取組について、当技術を産地で普及させるには、
(1)収穫機やドローンは複数人で導入、利用する
(2)機械導入や画像解析等に係る運用体勢を整備する
などの必要があり、いずれも生産者と関係機関との合意、連携が重要であることから、引き続き検討していきます。
 また、基盤整備後の営農推進に向けて、キャベツ以外にカボチャやカンショ等の試験栽培にも取り組んでいます。これら有望品目候補の管内での生産事例が少ないことや、地区によって土質が大きく異なる事などの課題解決に取り組みながら、振興センターは関係機関と協力して引き続きスマート農業を活用した露地野菜産地の育成を目指します。





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