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グリーンフォーカス 令和4年7月号

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幡多農業振興センター 農業改良普及課 : 2022/07/01

飼料用米の生産拡大

1.地域の現状(取組のきっかけ)
 幡多地域(四万十市、宿毛市、土佐清水市、黒潮町、大月町、三原村)の水稲の地域平均反収は420~430kg/10a程度で、近年米価の低下もあり、飼料用米のほうが農家所得が高くなりやすいことから、県内でも早くから飼料用米の栽培に取り組んでいます。R2年度の飼料用米栽培農家は306戸で、栽培面積599ha(うち飼料用米専用品種490ha)と、全水稲作付け面積2646haに対して2割以上を占めています。これまで、飼料用米として専用品種の「夢あおば」、「モミロマン」、「ホシアオバ」が多く栽培されてきましたが、近年いもち病が多発し、地域標準反収(438kg/10a)の確保が難しくなってきています(R2年度平均反収実績:382kg/10a)。
 また、R2年度からは、経営所得安定対策における水稲直接支払交付金の飼料用米の加算要件が見直され、複数年契約により主食用米品種でも加算を受けられるようになりました(表1)。このため、飼料用米として活用される主食用米品種の栽培が増加することも予想され、多収が可能な品種の要望が高まっていました。
 こうした状況から、振興センターはJAと連携して、通常の防除でいもち病を抑制でき、多収が可能な主食用米品種の選定に取り組みました。


表1
表1

2.活動内容(令和3年3月~)
(1)実証ほの設置(4、5月)

  • 幡多地域で主要な水稲産地である四万十市、宿毛市、土佐清水市の3箇所に設置しました。多収が期待できる品種として、「とよめき」、「イクヒカリ」、「土佐麗」、「ナツヒカリ」、「フクヒカリ」を選定し、施肥量の違いによる収量性及びいもち病の発生程度について検討しました。

試験区
表2

(2)実証試験の結果報告(11~2月)

  • JA水稲部、集落営農組織の連絡会やJA広報を活用し、結果および選定した有望品種の情報を周知しました。


JA水稲 JA広報
集落営農組織連絡会

3.活動成果(取組内容の結果と生産者の反応)
(1)実証ほの生育、収量調査
 調査結果から、「とよめき」、「イクヒカリ」は地域標準反収より著しく多収で、いもち病の発生程度が低かったことから、飼料用米に適していることが明らかとなりました。
 また、「とよめき」は窒素量が増えてもいもち病の発生程度に差がなく、窒素量が多いほど多収であることから、窒素量10kg/10aが適していると判断しました。「イクヒカリ」は窒素量の差による収量差があまりなく、窒素量が増えるといもち病発生程度がやや高くなっており、窒素量は8~10kg/10aの範囲が適していると判断しました。


表3 試験結果
表3 試験結果

(2)実証試験の結果報告

  • JA水稲部の講習会や集落営農組織連絡会等で今年度の試験結果を報告し、有望品種として2品種(「とよめき」、「イクヒカリ」)を紹介しました。
    実証試験から得られたデータを基に、推奨する窒素量等の情報を記載した有望品種の栽培暦を作成しました。
    講習会等に参加できなかった農家には、JAと連携し、JAが農家に「とよめき」、「イクヒカリ」の種子を配布するときに栽培暦を配布することや広報を活用することで、令和4年度に栽培予定の農家への情報周知が進みました。

(3)生産者の反応

  • こうした周知活動により、飼料用米として「とよめき」、「イクヒカリ」に関心を持つ生産者がでてきました。
    既存品種である「夢あおば」に比べて多収であったことから、農家からは「次作から栽培を検討する」等の声がありました。
    これにより、令和4年度の栽培面積は「とよめき」が9.2ha、「イクヒカリ」が96.6haに増加しました(JA種子注文量から算出)。

4.今後の展開
 引き続き実証試験を実施し、各品種に適した施肥量や栽植密度及びいもち病防除等栽培方法の検討を重ね、栽培暦を更新していきます。また、JA等の関係機関と連携し、飼料用米として多収が期待できる品種「とよめき」、「イクヒカリ」を周知し、飼料用米の反収増加による農家の経営安定に繋げていきます。




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