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グリーンフォーカス 令和3年9月号

高知県農業技術センター : 2021/09/01

水稲極早生品種‘よさ恋美人’の収穫時期前進化技術 と収穫適期の指標

  • はじめに

 高知県の平野部では、米の出荷時期を早めるため、温暖な気候を活かした早生品種の4月植え栽培が行われています。近年では、夏期高温による影響を受け、白未熟粒(白く濁ったお米の総称)が発生し、品質低下が見られるようになりました。そこで、県産米の品質向上を目的に、食味評価が‘コシヒカリ’並で、夏期高温下でも白未熟粒の発生が少ない水稲極早生品種‘よさ恋美人’を育成し、平成29年に奨励品種として採用されました。‘よさ恋美人’においては、県外で有利販売を進めるために、‘コシヒカリ’より10日程度早く出荷し、差別化を図る前進化栽培技術が求められています。
 そこで、移植時の葉齢および移植時期と収穫時期との関係、さらに収穫適期について検討しましたので、その結果をご紹介します。


  • 収穫時期の前進化技術

 ‘よさ恋美人’を‘コシヒカリ’と同じ日に移植した場合、‘よさ恋美人’は出穂期、成熟期が‘コシヒカリ’より7日程度早い極早生品種です。
 ‘よさ恋美人’の移植時期を、4月5日(慣行植)よりも10日早い、3月27日(早植)にした場合、出穂期は同等か6日早く、成熟期は1〜5日早くなりました。また、おおむね3葉程度の中苗を移植すると、2葉程度の稚苗に比べて出穂期が1〜4日、成熟期は1〜2日早くなりました。
 このように‘よさ恋美人’を、4月5日(慣行植)より9日早い3月27日(早植)に、3葉程度の中苗移植することで、出穂期を最大7日、成熟期を最大6日前進させ、慣行植の‘コシヒカリ’より最大14日早く収穫できることがわかりました(表1、写真1、2)。


表1


写真1


写真2

  • 収穫適期

 適期収穫は、品質を確保する上で極めて重要となります。早く刈れば青米が多く、お米を貯蔵したときに、劣化が早い、また、遅く刈れば茶米等の被害粒が発生するなど、適期をはずすと外観品質のみならず食味にも影響するといわれています。適期収穫を行うためには、いつ出穂したかを知ることが大切となります。そこで、出穂時期をかえるために、移植時期を違え、出穂後日数と整粒粒比(玄米の中の整った粒の割合で米品質を示す)および出穂後の日平均積算気温(日々の日平均気温を合計した値)との関係を調べました。その結果、移植時期が違う場合でも、整粒粒比は出穂後32〜34日目頃、また、出穂後の日平均積算気温が800〜950℃日の時、最も高くなることがわかりました(図1、2)。


図1


図2

 収穫適期の判定を出穂後日数と出穂後の日平均積算気温を目安にして総合的に判断すると、‘よさ恋美人’の収穫時期は、出穂後32〜34日目頃、出穂後の日平均積算気温で800〜950℃日であることがわかりました。


  • ‘よさ恋美人’の収穫時期前進化にあたって

‘よさ恋美人’は、年により休眠が深く、出芽不揃いとなることがあるため、浸種温度、期間を守り、出芽を揃えて下さい。育苗にあたり、3葉程度の中苗を養成するには、播種量を乾籾で80〜100g/箱とし、出芽期から緑化期まで通常の稚苗の場合より低く管理することが重要となります。温度が高いと徒長し、葉齢が進まなくなるからです。また、早植において中苗を育苗する場合は、低温期にあたるため、育苗期間が40日程度必要となります。
 移植にあたっては、移植後の寒風や低温等により活着が遅れ、出穂期、収穫時期の前進効果がみられない場合があります。移植早限は、稚苗、中苗とも、日平均気温が過去10カ年平均で水稲の活着低限気温12℃以上となる時期(3月27日頃、南国市)を目安とし、温暖な日を選んで移植して下さい。


  • おわりに

 ‘よさ恋美人’では、早植えと中苗の組み合わせにより慣行栽培の‘コシヒカリ’との収穫期の差を10日以上に拡大することができます。これにより、早期出荷と作期拡大に寄与できるとともに、適期収穫によって、高品質米生産が期待されます。