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グリーンフォーカス 令和3年8月号

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農業大学校 : 2021/08/01

環境制御技術導入で目指せキュウリ30t/10a!!

  • プロジェクト活動について

 高知県立農業大学校では、学生のプロジェクト活動として高知県の主要な野菜・花・果樹・畜産について課題を設定し、学生一人一人がその課題に取り組んでいます。野菜ではトマト、ピーマン、ナス、キュウリ、ニラなどの品目で課題を抽出し試験を行っています。
 近年、施設園芸において単位面積当たりの収量の伸び悩みや生産資材の高騰などから農家の経営は厳しい状況となっています。高知県ではオランダとの交流を契機に環境制御技術の開発と現地試験に取り組んでおり、ピーマン、ナス、キュウリなどでも有効性が確認されています。
 当校では令和2年からキュウリハウスに炭酸ガス発生装置、モニタリング装置などの環境制御技術が導入されました。
 またキュウリ栽培では新品種の導入も積極的であり、多収性・耐病性の品種も多く開発されています。
 そこで、学生のプロジェクト活動として、キュウリの単位面積当たりの増収を目的に環境制御技術や新品種の導入試験を行いました。


  • 活動内容

 今年度はキュウリ栽培が初めての学生3名がキュウリ栽培に挑みました。
(1)環境制御技術の導入(モニタリング、炭酸ガス発生装置)
 モニタリング装置を用い、毎日ハウス内温度や飽差を確認し設定どおり管理できているか、病気が発生しやすい環境でないか学生自ら確認させ改善するよう指導しました。
 また、冬場の光合成を促進するため、日中のCO₂濃度を600ppm以上となるよう設定しました。
(2)新品種の導入(多収性・複合耐病性・省力化)
 品種として、うどんこ病、べと病、褐斑病への耐性、多収性、さらに栽培未経験者で管理作業が遅れることが想定されたため、従来の栽培方法よりも省力的な栽培方法(完全更新つる下ろし栽培)に適した品種‘ニーナZ’を選定するよう指導しました。
(3)作業時間の見える化
 キュウリの管理作業は収穫、摘葉、摘芯、つる下ろしに分けられ、各畝ごとにそれぞれの作業時間を記載するように指導しました。


ハウス内環境について話し合う学生

                 ハウス内環境について話し合う学生



実習前の注意事項を説明する2年生 ハウス内CO2
  • 結果及び改善成果

 キュウリ栽培が初めてのため、管理作業は失敗の連続で、摘葉で枝を切ったり、収穫の取り残しや温度管理のミスなどがありましたが、新品種導入により、病気を抑え収量も安定しました。
 また、省力的な栽培方法(完全更新つる下ろし栽培)と作業時間の「見える化」により、一つの作業時間を把握し効率的に時間配分することで、管理作業の遅れがなくなりました。さらに、学生が毎日ハウス内環境を確認するなど、病気が発生しにくいハウス内環境づくりを心がけ、収量は高知県の平均を大幅に上回る31t/10aとなりました。
 キュウリ栽培が初めての学生が高収量を上げることで、ハウス内環境を制御することの大切さを感じ、より深く環境制御について勉強したいと意欲を見せる学生や、また農業の面白さを感じ、農業生産法人に就職し、就職後にも学校で学んだことを活かしたいと発言する学生もいました。


5月樹姿 管理作業(つる下ろし)

      5月樹姿                           管理作業(つる下ろし)


収量データ

  • 今後の展望

 今後も継続して学生のプロジェクト課題として環境制御技術や新品種の導入を位置づけ、キュウリの新規栽培者でも30t/10aを目指せるよう指導を行います。
 さらに県開発IoPシステムであるSAWACHIを用い、高収量農家のハウス内環境管理を参考に自らが改善を重ね地域の農業のリーダーとなれるよう担い手の育成指導に取り組みます。




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