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グリーンフォーカス 令和3年3月号

須崎農業振興センター 農業改良普及課 : 2021/03/01

土佐甘とうにおける簡易雨よけハウスの増収効果の検証

  • 地域の現状(背景)

 高知県須崎農業振興センターでは、土佐甘とうの露地栽培において、簡易雨よけハウスを導入した作期延長・病害対策による増収への取組を検討しています。
 JA高知県高西地区津野山営農経済センター管内における土佐甘とうの露地栽培では、6〜9月に斑点細菌病が多発しており、落葉や樹勢低下によって収量・品質が著しく損なわれる事例が多発しています。また、この地域は中山間地域であるため、定植時期および栽培後期は気温が低く、収穫期間が短いことも課題となっています。
 そこで、平成30年度と令和2年度に、梼原町の露地栽培農家2戸が安価なキュウリ支柱の(改良型)アーチパイプを活用した簡易雨よけハウスを設置しました。また、平成31年度に簡易雨よけ栽培の効果を検証するため、収量・品質を調査しました。
 今回は、平成31年度の調査結果や令和2年度の栽培状況について紹介します。

  • 平成31年度実証結果について

1 対象農家および調査内容
 間口1.8mタイプで1.6aの簡易雨よけハウスを設置した農家に依頼し、10月下旬までの出荷量を、簡易雨よけハウス(実証区:図1、2)および露地慣行栽培(対照区)で、規格(A・○A)に分けて記帳してもらいました。また、両区の株あたり開花・着果数を計測しました。


図1

図1 実証区簡易雨よけ:間口1.8m(定植直後)


図2

図2 実証区簡易雨よけ:間口1.8m(現地検討会:7月)


2 調査結果
(1)生育
 初期生育は、実証区が旺盛でした。その後、8月に対照区では斑点細菌病が発生・蔓延し、10月以降はほとんど出荷できなくなりました。一方、実証区は、8月以降も病害の発生も無く順調に生育し、10月以降の気温低下の影響も少なく、収穫は11月下旬まで継続できました(図3)。


図3

図3 簡易雨よけと露地栽培(11月)


(2)収量
 全収量は、実証区が4.7t/10a、対照区が2.7t/10aで、実証区が対照区に対し170%と大幅な増収となりました。中でも、7月上旬までと9月上旬以降の収量は、実証区が対照区に対し大きく増収していました(図4)。


図4

図4 10aあたりの収量比較


(3)品質
 実証区は10月下旬までA品率は安定していました。一方、対照区は天候の影響や斑点細菌病による被害で、8月上旬以降は品質が低下し、ほぼ改善しませんでした(図5)。


図5

図5 A品率の推移


(4)開花・着果数
 8月上旬以降、実証区は開花・着果数とも大きな減少無く推移しましたが、対照区では斑点細菌病の影響で開花・着果数が少なくなり、栽培終盤は外気温の低下もあってほとんど収穫できませんでした(図6、7)。


図6

図6 開花数の推移



図7

図7 着果数推移


(5)費用対効果
 今回設置した簡易雨よけハウス(間口1.8mタイプ)の導入諸経費は、10a当たりで約190万円と、APハウス等に比べ非常に安価に設置でき、両区の販売金額差は、10a当たり約130万円で、1年半程度で償却が可能と見込まれました。


 以上のことから簡易雨よけハウスを導入することで、以下のことが考えられました。
  (1)栽培初期と後期の収量増と作期を通じた品質が維持できる。
  (2)斑点細菌病等の病害を防ぐ効果が期待できる。
  (3)設置コストが安価である。
 しかし、実証農家から間口1.8mでは空間が狭く作業がしづらいという声があり、今後普及していくためには、形状の改善が必要と思われました。
 そこで令和2年度に、梼原町の別の農家で間口3.4mタイプの簡易雨よけハウスを導入しました。

  • 令和2年度実証結果について

1 総括
 間口3.4mタイプで1.7aの簡易雨よけハウス(図8)を設置した農家で聞き取りしたところ、以下の感想を得ました。なお、このタイプの導入諸経費は10a当たり約180万円と、前回設置したハウスと同水準の経費で設置することができました。
 (1)実証区では活着後から生育に勢いがあり、収穫初めが対照区より3週間ほど早かった(図9)。
 (2)夏期の収穫ピーク時に、実証区は対照区に対し5倍/日ほど収穫量が多かった。
 (3)10月以降、対照区の収穫量が少なくなる中、実証区は安定して収穫できた(図10)。対照区は10月下旬に収穫を諦めたが、実証区は11月中旬まで収穫できた(図11)。
 (4)実証区では、4本仕立てでは通路がいっぱいになり、作業性が悪くなるため、来年は仕立てを工夫してみたい。


図8

図8 簡易雨よけ:間口3.4m(定植直後)



図9

図9 簡易雨よけ:間口3.4m(6月)


図10

図10 簡易雨よけと露地栽培(11月)


図11

図11 簡易雨よけ(11月)

  • 今後の展開

 10aに満たない小規模露地栽培農家や、APハウス等の施設導入が難しい農家を中心に、町・JA等の事業を活用して導入を推進していきます。