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グリーンフォーカス 令和3年2月号

中央西農業振興センター 高吾農業改良普及所 : 2021/02/01

仁淀川流域茶の生産力の向上


  • 地域の現状

 高吾農業改良普及所管内は仁淀川上中流域に位置し、日高村、佐川町、越知町、仁淀川町の4町村からなり、施設園芸や露地野菜、果樹、水稲、茶、薬用作物など多様な品目が栽培されています。なかでも茶については、351戸の農家が105.5haの栽培を行っており、高知県の茶栽培面積の約60%を占める県内一の産地です。しかし、生産者の高齢化や収穫作業に労力がかかることなどから栽培面積は年々減少しており、茶園の老朽化による生産量の減少や、荒茶価格の低迷による売り上げの減少も課題となっています。そこで、茶園の老朽化対策、生産量の向上等に向け、普及所では以下の取り組みを行いました。


  • 活動の内容

写真1自走式茶園管理機

1)省力化への取り組み
 従来、可搬型の管理機で摘採・整枝作業を実施する場合、2〜4人の労力が必要で、省力化が望まれているところです。そこで、摘採・整枝が1人で行える自走式茶園管理機(写真1)に関する試験が平成28年度から高知県茶業試験場で開始されたことをきっかけに普及所も管内への導入に向け検討を始めました。この機械は軽トラックで運搬できるため、軽トラックで行けるほ場であれば使用することができます。しかし、導入にあたっては、「ほ場の傾斜が20°以下」、「機械が畝を移動するため2.5m幅の枕地が必要」、「管理機の幅に合わせた畝幅への変更が必要」等の条件を満たす必要があります。普及所では、平成30年度と令和元年度にデモ機を使った実演会を一番茶摘採時に開催し、機械の能率を生産者に見てもらいました(写真2)。実演会では茶業試験場からの機械の説明と普及所からは購入時に利用できる補助事業について説明を行いました。実演を行う一方で、急傾斜地が多い管内でどれだけ導入が図れるかを明らかにするため、仁淀川町寺村地区で自走式茶園管理機が導入できるほ場のマッピングを実施しました。


2)新技術の普及
 近年、お茶の収穫は一番茶および二番茶の年2回から、年1回一番茶のみとする茶園が増加しています。しかし、一番茶収穫後、秋整枝まで枝条を管理しないと翌春には一番茶の芽数減少、発芽・生育の不揃いが起こり、収量・品質低下を引き起こす原因となってしまいます。そこで、高知県茶業試験場が開発した省力・高品質・多収になる栽培体系「年1回一番茶のみの収穫に適した栽培管理技術」の実証ほを設置し、夏整枝や秋整枝後の樹高、病害虫発生状況、収量、品質について調査を行い、実証結果を部会で情報提供するなど、新技術の普及を図りました。


3)台切りの普及
 新植・改植よりも短い年数で若返りが図られる技術である台切りは、処理後の管理が確立されておらず、これまで生産者の経験を基に処理後の整枝や追肥などの栽培管理が行われてきました。そこで、台切り後の栽培管理を確立し、普及に向けたマニュアル作成を目的に令和元年度から3年度にかけて台切りの実証ほを2カ所設置しています。佐川町では、台切り1年目の春整枝の高さを10cm違えた、高整枝区と低整枝区の実証を、越知町では、「やぶきた」と「かなやみどり」を用いて2品種での実証を行っています。2カ所とも台切りは令和元年の夏に実施し、実証ほでは整枝前後の樹高、樹幅を継続的に調査しています。この結果と他県の事例を照らし合わせながら、実演会や部会等で台切りについて紹介するとともに、改植、台切りで利用できる国や県の事業についても紹介しました。


  • 活動の結果

写真2自走式茶園管理機の実演会

1)令和元年度に自走式茶園管理機が1台導入されました。また、令和2年度にその1台を用いて現地実演会を2回開催したところ、合計14名の生産者が参加しました。参加した生産者は自走式茶園管理機に興味を示してくれたものの、所有ほ場が急傾斜地であったり、石垣があるなどの理由で、自走式茶園管理機をすぐに導入できるほ場はかなり少ないとの声がありました。


2)一番茶のみの収穫に適した管理技術の実証ほを調査した結果、整枝後の樹高は試験区の方が約11〜17cm高くなりました。病害虫の発生は慣行区の方がチャトゲコナジラミが多くなりましたが、それ以外の病害虫についてはほとんど差がありませんでした。生葉の収量は試験区が763kg/10a、慣行区が556kg/10aとなり試験区の方が慣行区よりも多くなりました。品質調査の全窒素量や繊維量については差は見られませんでした(表1、表2、図3)。今回の実証結果を受け、試験に協力してくれている農家は、この栽培体系を10aから60aに拡大しました。



表1 樹高調査結果 図1 病害虫発生状況 表2 収量・品質調査結果

3)台切りの実証ほについてはまだ、収量等の調査ができる大きさになっていませんが、高整枝区では秋整枝後の樹高は70.7cm、樹幅は148.8cmと、低整枝区(樹高:57.9cm、樹幅:138.2cm)に比べて樹形が大きくなりました。一方では秋整枝後の「やぶきた」の樹高は57.2cm、樹幅は122.5cmと、「かなやみどり」(樹高:50cm、樹幅:141.6cm)と比べて背が高い樹形になりました(写真4〜7)。



写真4と写真5

 写真4 台切り実証ほ1、実施直後(令和元年7月30日) / 写真5 台切り実証ほ2、1年後(令和2年7月29日)



写真6 台切り実証ほ2

写真6 台切り実証ほ2(やぶきた)、実施直後(令和元年8月2日)



写真7 台切り実証ほ2

写真7 台切り実証ほ2(やぶきた)、1年後(令和2年7月30日)


  • 今後の活動

 自走式茶園管理機については実演会を継続し、生産者に導入を促すとともに、導入可能なほ場のマッピングを他地区でも実施していきます。また、自走式茶園管理機が導入できないほ場でも利用できるような新たな省力機械についても検討していきます。
 一番茶のみの収穫に適した管理技術については、実証ほでの現地検討会などを通じてさらなる普及を図っていきます。
 台切りの実証ほは令和3年度から、収穫調査が可能になることから、一番茶の収量の違いについて比較検討していきます。実証結果をもとに台切りのマニュアルを作成し、生産者に情報提供することで台切りの普及を図っていきます。