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グリーンフォーカス 令和2年9月号

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安芸農業振興センター 農業改良普及課・室戸支所 : 2020/09/01

ユズの生産振興

  • 1管内の概要

 安芸農業振興センター管内では、中山間地域の基幹品目として、ユズ栽培が盛んに行われています。
 JA高知県安芸地区柚子部は、6支部、生産者920名で構成されています。ハウス栽培と露地栽培を合わせた生産量は約5000tを超え、そのうち約9割は加工原料として、残りは青果で周年出荷を行っています。平成24年からはEUへの青果輸出も実施しており、ユズの需要拡大に貢献しています。



ユズ

  • 2活動の背景

 ユズ園地は、飛び地や急傾斜地が多く、規模拡大が容易ではないことから、1ha以上の経営規模の生産者は1割未満となっています。加えて、高齢化や労働力不足により収穫できずに放置された園地や、栽培管理が不十分な園地が増加しています。また人だけでなく、ユズの高樹齢化も進んでいます。樹齢構成の約3割が経済寿命とされる25年を過ぎており、生産力や青果率の低下が懸念されています(図1)。
 そこで、振興センター普及課では、「ユズの生産振興」を普及指導計画の重点課題に位置づけて、活動しています。今回はその一部を紹介します。



図1部会員年齢とユズ樹齢

  • 3活動の内容

(1)園地の若返りと栽培技術の向上
 高樹齢化や高樹高化による品質や作業性等の低下を改善するため、新植・改植を推進しました。苗木を安定して供給するために、普及課、JA高知県安芸地区、生産者で構成される「母樹育成プロジェクト会」を平成22年に発足しました。管内11カ所に県選抜系統の母樹園を設置し、早急に穂木を採取できるよう管理指導や樹体調査を行い、穂木が採取可能となってからは、毎年ウイルスの有無を確認し、健全樹からの穂木採取を徹底しています。
 部会員の栽培技術向上にも取り組み、「ユズ栽培便り」の作成、現地講習会に参加できない生産者を対象にした「ユズ講座」を休日に開催しました。また、生産者から「資料では、実際に発生している病害虫や管理技術が理解しにくい」といった意見を受けて、簡易雨量計による防除時期の予測や、整枝・剪定後の様子を生産者がいつでも観察できるように、管内5カ所にモデル園を設けました(写真1)。



モデル園

(2)ユズ園地の流動化に向けた取組
 北川村は生産者の高齢化が特に進んでおり、生産意欲の低下、収益性の悪化を招いていました。そこで、部会、役場、JA高知県安芸地区と連携して、支部員全戸を対象とした農地の貸借の意思、園地の状態や樹齢などを記載した園地台帳を作成し、園地流動化に向けた課題や対策について検討しました。


(3)担い手の確保・育成支援
 普及課と関係機関とで構成する「担い手育成総合支援協議会(以下、担い手協)」で、産地側が求める生産者像を明記した「産地提案書」を作成し、県のホームページへの掲載や、「新・農業人フェア」等の新規就農相談会で紹介し、担い手の確保に努めました。就農希望者には面談後、指導農業士等の元で2年間の栽培研修を実施後、担い手協等が紹介するユズ園で就農する<サポート体制>を整備しました。さらに、就農後の経営が安定し地域に定着できるよう、個別巡回による経営指導を実施しました。


  • 4活動の成果

(1)苗木の安定供給体制の確立
 母樹の育成が順調に進み、平成27年より本格的に苗木生産用の穂木が採取可能となりました。令和元年度までに約3万本の苗木が供給されており(図2)、約30haの新植・改植が進みました。



図2管内苗木の供給本数

(2)園地の流動化
 園地台帳を活用し、村外出身の新規就農者1戸に70aの園地を確保することができました。さらに、この活動が発展し、担い手への園地集積を目的とした農地中間管理機構関連農地整備事業による基盤整備に繋がり、令和元年度には3.3haの整備が完了しました。波及効果として近隣市町村でも園地台帳を整備する取組が進められています。


(3)担い手の確保・育成
 新規就農者を受け入れるサポート体制の支援により、平成28~30年に管内全体で3名が新たにユズ農家として就農しました。これら3名に対し、関係機関と連携して個別指導を行うことで、栽培管理に関する理解が深まり、技術の向上が見られています。個別指導に対して新規就農者からは「わからないことも普及指導員がすぐに相談に乗ってくれるので助かる」と評価を頂いています。


  • 5今後の活動

 担い手の育成、農地集積、技術指導に加え、収穫時等の労働力確保対策など課題は山積みです。これらの課題を一つ一つ地域と連携しながらスピード感をもって解決し、日本一のユズ産地の維持・発展を目指します。




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