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グリーンフォーカス令和2年1月号

須崎農業振興センター 農業改良普及課 : 2020/01/01

促成シシトウの春以降の労働力不足対策として栽培方法を検討


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  • 地域の現状(背景)

 高知県須崎農業振興センターでは、シシトウの促成栽培で春以降の労働力削減について検討しています。
 JA土佐くろしお管内の促成シシトウは県内でも有数の産地で、令和元年度の栽培面積は約5.3ha、農家数は41戸となっており、うち約半数はミョウガとシシトウの複合経営農家で占めています。また、約30%の農家は厳寒期に炭酸ガス施用を行っています。
 そうした中、特に複合経営農家においては、春以降にミョウガの収穫が始まることに加え、シシトウの収穫量の大幅な増加により、作業が間に合っていない事例が見られていました。また、このことが炭酸ガス施用機の導入率が約30%に留まっている要因となっていました。
 そこで、須崎農業振興センターはJA土佐くろしおと協力し、労力に余裕があり、かつ単価の高い冬期に炭酸ガス施用で増収を図り、春以降には労力に見合うよう計画的にシシトウの株や枝を削減する方法によって、収入を減らさず労力軽減ができないか、検討しました(図1)。
 このうち、今回確認できた結果について、紹介します。



モデル

図1 労力不足対策をイメージした収量モデル


  • 活動内容

1 対象農家
 平成29〜令和元年度の2作において、須崎市で促成シシトウ(炭酸ガス施用機器を導入)とミョウガを複合経営しており、なおかつ春以降に労働力が不足している農家1戸(2作とも同一農家) に協力してもらいました。

2 削減方法の検討
 厳寒期の収量と単価を確認し、労力が軽減できると考えられる枝や株の削減方法を実証農家と検討しました。

3 削減作業の実施と実証内容の検証
 以下の方法で削減を実施しました。
(1)1年目:平成29〜30年(以降:1年目)
 3月上旬〜下旬に、主枝を残し、生長点と側枝を折り取って除去する方法で、段階的に3回、5〜12%/旬の割合で、栽植本数の約27%を削減しました(図2)。



図1

図2 削減作業の事例:1年目


(2)2年目:平成30〜令和元年(以降:2年目)
 1年目の5月に大幅な増収となったため、2年目は3月上旬〜4月中旬にかけ区画単位で、根元からの株の削減と、下位〜中位の側枝の除去を、段階的に行い、全体で栽植本数の約18%の削減を行いました(図3)。

 あわせて、削減作業の実施前後における労働時間と、作期を通じての収量と品質について、調査しました。



図2

図3 株削減作業の事例:2年目


4 結果の報告と普及活動


 平成30年度〜令和元年度にかけ、環境制御技術普及推進協議会で、JA・役場・地域の篤農家に報告しました。また、現地検討会や巡回で情報提供を行い推進しました。
 また、JA土佐くろしおハウスシシトウ部会の現地検討会でも、削減方法について講習を行いました。


  • 活動の結果

1 管内および実証農家の収量データや月毎の平均単価を参考に、削減時期を提案しました。その内容を元に、実証農家から自主的に削減方法が提案されるなど、計画的な削減作業を実施することができました。

2 (1)1年目
 3月に枝削減を行ったことで、4月の収量は2月に比べ、4割程度(通常は5〜7割程度)の増収に抑えることができましたが、5月の収量は4月と比べ6割増しになりました。これは、枝削減した隣の株の光条件が良くなり、1ヶ月ほどで新芽の発生が促進されたためと考えられます。そのため、4〜5月の労働時間は3月と比べて3割増しになりました(図4、5)。また、この調査によって、収量と労働時間には高い関連性があることが裏付けられました。



図4

図4 1年目における月別の労働時間


(2)2年目
 削減を区画単位に3〜4月にかけて行ったことから、3〜5月の収量を2月並みに抑えることができました(図5)。

 品質については、通常の栽培では収量が増えてくる3月以降に、A品率が80%以下に徐々に下がってきますが、実証農家では栽培期間を通して収穫作業など労力不足になることはなく、A品率は80%以上と高水準を保っていました。

 労働時間は1〜4月は1年目に比べ多くなっていますが、5月は3〜4月に削減したため、増加しませんでした(図6)。
 その結果、収量と労働時間は1年目のように増加することはありませんでした。



図5

図5 2作における10a当たりの収量と削減を実施した時期



図6

図6 2年目における月別の労働時間


3 取組内容は、喫緊の課題に対する対策として、管内のシシトウ農家や環境制御技術に取り組む篤農家、および関係機関に理解が得られました。また、平成30年〜平成31年にかけ、実証農家の他にも労働力不足対策やミョウガへのスムーズな栽培移行のため、2戸が試験的に実施しました。このように、枝削減方法が注目され始めています。

 これらの結果より、春以降に枝削減を行うことは品質低下と労力不足に対して効果があることが確認され、削減方法について一定の目処をつけることができました。


  • 今後の展開

 今後も、削減方法や時期について実証試験を通じて検証していくとともに、JA等関係機関と協力して、(1)春以降、作業が遅れている農家や、労働力が不足している農家、(2)炭酸ガス施用農家(検討者も含む)に対し、農家の状況に合わせた削減方法の提案と普及を行っていきます。