ページの先頭です。

メニューを飛ばしてメインへ

>> ホーム >> グリーンフォーカス 平成30年12月号

グリーンフォーカス 平成30年12月号

須崎農業振興センター 高南農業改良普及所 : 2018/12/01

環境制御技術の普及による促成キュウリの生産量拡大

  • 地域の現状および取り組みの背景

 四万十町では、ニラ、ミョウガ、キュウリ等の施設野菜が栽培されています。その主幹品目のキュウリは、平成12年に6戸で部会が発足しましたが、他産地に比べて収量が低い(18.7t/10a)ことが課題となっていました。一方、県域ではナスやトマトで環境制御機器の導入による増収効果が確認されていることから、キュウリでも環境制御機器導入による栽培技術の改善を図ることで、増収による農業所得の向上が可能だと考えました。
 そこで、炭酸ガス発生機を導入した農家で実証試験を行い、環境制御技術を組立て、その先進技術を部会内へ波及させることで、農家の収量向上に取り組みました。

  • 活動内容

(1) 実証試験の実施および個別巡回による技術指導
 平成27年に環境制御技術として炭酸ガス発生機を導入した農家(以下、実証農家)と同じ品種を栽培している慣行栽培農家を選定し、果実の肥大日数等の生育状況や炭酸ガス濃度等のハウス内環境を調査しました。
 また、週1回の個別巡回を実施し、実証農家と生育調査結果や環境データを共有し、翌週の栽培管理や炭酸ガスの施用方法について助言・指導を行いました。併せて、販売額や炭酸ガス施用における経費等の経営状況を確認し、経済性について検討しました。


1 2

個別巡回の様子


(2) 現地検討会および講演会の開催
 管内にある農業担い手育成センターでは、促成キュウリで環境制御技術を実証していることから、そのほ場を活用して現地検討会を開催しました。厳寒期の12月、気温が上昇した5月に現地検討会を開催することで、農家が生育ステージごとの炭酸ガス施用方法等を把握しやすいようにしました。また、農家が環境制御技を導入する上で必要な植物生理を学ぶため、大学教授等の有識者を招いた講演会も開催しました。


担い手

農業担い手育成センターでの現地検討会


(3) 有効性の周知および導入の推進
 栽培終了後、実証農家の意見とともに、実証試験結果や増収効果を部会員へ周知しました。また、環境測定データをもとに炭酸ガスの濃度を調整することから、ハウス内環境の見える化の必要性を周知し、炭酸ガス発生機と環境測定装置の導入も促しました。その際、活用できる補助事業を併せて紹介し、早期導入に向けて支援しました。

  • 活動の成果

(1)実証試験の結果、炭酸ガスを施用することで、果実肥大が12月〜1月の厳寒期には約5日、1作を通して約3日早まること、12月下旬から2月中旬の低日照期に収穫果率が向上すること等が明らかになりました。また、実証農家では慣行栽培農家に比べて132%の増収となり、実証農家からは、厳寒期を中心に草勢の維持や増収が期待できる等の声がありました。


果実肥大 収穫

果実肥大日数および収穫果率、収量の調査結果


 また、収支においては、炭酸ガス施用による収入の増加額は約69万円/10aでした。一方、炭酸ガス発生機の導入費用は約54万円/10aで1年間の増加額で回収できることが明らかになりました。


(2)現地検討会の開催によって、生育ステージに応じた炭酸ガス施用濃度や施用方法が理解され、効果的な炭酸ガス施用につながりました。また、講演会の開催によって、植物生理面から炭酸ガスの必要性や生育・収量に及ぼす効果が理解され、環境制御技術への関心が高められました。


(3)有効性を周知したことで、炭酸ガス発生機は部会員8戸全戸が導入し、環境測定装置は6戸が導入しました。また、環境制御機器導入による栽培技術の見直しや、環境制御技術を活用することで、当初部会でのトップ収量は25t/10aであったが、平成30園芸年度には30t/10aを超える農家も出てきました。

  • 今後の展開

 今後は、実証で得られた環境制御技術を地域のキュウリ農家に普及し、部会員が収量30t/10aを目指していけるように取り組んでいきます。