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グリーンフォーカス 平成29年度8月号

農業技術センター茶業試験場 : 2017/08/01

急傾斜地茶園におけるスプリンクラー間断散水法による霜害軽減効果

はじめに

  茶では、平成21、22年に連続して凍霜害が発生し、大きな被害を受けました。防霜対策としては、スプリンクラーによる散水法や防霜ファンによる送風法等があり、散水法は送風法に比べて高い霜害軽減効果が認められています。しかし、通常の散水法では、降霜時に10a当り3t/時と大量の水が必要となるため、急傾斜地で、用水の確保が困難な本県の茶産地では、より効果的な散水法が求められています。
  そこで、急傾斜地におけるスプリンクラーの間断散水法が散水量、霜害および茶葉の品質に及ぼす影響を明らかにしましたので、その概要を報告します。


スプリンクラー間断散水法による霜害軽減効果

1) 2分間隔の間断散水で氷結させるスプリンクラー間断区の葉温は、摘採面高の温度が氷点下となり、無処理区の葉温が-3℃になった時でもほぼ0℃に保たれ、スプリンクラー慣行区と同等の推移を示しました(図1)。

2) スプリンクラー間断区は、スプリンクラー慣行区と同様、無処理区と比べ、荒茶の水色を赤くする茶葉の一部褐変や茶芽の奇形等の被害は少なく、霜害の発生が抑えられました(表1)。

3) スプリンクラー間断区の散水量は、スプリンクラー慣行区の64%でした(表2)。

4) スプリンクラー間断区の生葉収量は、無処理区より多く、スプリンクラー慣行区とほぼ同等でした(表3)。

5) スプリンクラー間断区の荒茶品質は、スプリンクラー慣行区と同等で、無処理と比べて優れました(表4)。


留意点

1.  試験は場内のほ場で実施しました。

1)  スプリンクラー間断区は、傾斜度22°の茶園にスプリンクラーを2畝(3.6m)毎に5m間隔で設置し、スプリンクラーヘッドは、ボールドライブスプリンクラー(サンホープ社製)を使用し、2分間隔で電磁弁を開閉するタイマーを設置しました。摘採面高の位置にスプリンクラー作動用の温度センサーを設置し、2013年、2014年は3月14日、2015年は3月20日から摘採日前日まで摘採面高の温度が3℃以下で作動するように設定しました。

2)  スプリンクラー慣行区は、傾斜度19°の茶園にスプリンクラー間断区と同様にスプリンクラーとスプリンクラー作動用の温度センサーを設置しました。

3)  防霜ファン区は、傾斜度16°の茶園で防霜ファン(フルタ電機 DFC920 1.98KW)を650mに1機設置して使用しました。摘採面高の位置に防霜ファン作動用温度センサーを設置し、2013年は3月20日、2014、2015年は3月23日から摘採日前日まで摘採面高の温度が4℃以下で作動するように設定しました。

4)  無処理区は、傾斜度19°の茶園で調査しました。

5)  品種は「やぶきた」で、植栽密度は畝幅180cm、株間30cm、1条植で、樹齢はスプリンクラー間断区37年、スプリンクラー慣行区・無処理区12年、防霜ファン区35年の茶園で試験しました。施肥は慣行肥料(商品名:一茶(春肥)、うまいっ茶(芽出し肥)、一茶(秋肥))を用い、窒素成分で約50kg/10a施用しました。製茶は2kg製茶機を用い、蒸しは送帯式蒸機で40秒間行いました。


おわりに

  急傾斜茶園において、スプリンクラーによる防霜対策を行う場合、2分間隔の間断散水法を行えば、通常の散水法の散水量を36%削減し、通常の散水法と同等の霜害軽減効果、生葉収量、荒茶品質が得られることが明らかとなりました。


図1


表1


表2


表3


表4


写真1


写真2