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グリーンフォーカス 平成28年12月号

安芸農業振興センター 農業改良普及課・室戸支所 : 2016/12/01

安芸地域での集落営農の推進について

  • 地域の現状(背景)

 安芸地域の営農類型は、平坦部は施設園芸、中山間地域は果樹(ユズ等)による個別完結経営が中心で、集落住民が集落の農地・農業を守っていく集落営農の取り組みが遅れていました。
 一方、集落の担い手不足や高齢化は一層進んでおり、安芸地域9市町村で見ると2011年からの5年間で経営耕地面積は241ha、農業就業人口は916人減少しました。(2015農林業センサスより:経営耕地面積1,905ha、販売農家の農業就業人口4,228人、農業就業人口の平均年齢は64.9歳)。
 現在、安芸地域9市町村には360の農業集落(農業センサスの農業集落名より)があり、10組織(内こうち型集落営農組織は3組織)が活動していますが、全農業集落数の3.9%(14集落)をカバーしているに過ぎず、組織化が進んでいない状況です。既存組織は、オペレーターの高齢化や後継者の確保等、組織運営の課題を抱えており、いずれの組織も法人化には至っていません。
 そこで、関係機関との推進体制を整備するとともに、集落営農の研修会を開催して関係機関や集落リーダーの集落営農に対する理解と取組意識の向上を図るとともに、集落営農組織の設立に向けた合意形成や、既存組織に対する組織活動のステップアップに取り組むことにしました。


  • 活動内容

(1)推進体制の整備
 9市町村の農業関係機関の定例会等で、新規推進集落の選定、既存組織の運営支援方法、研修会の内容や開催方法について協議しました。
 また、これまでJAと集落営農について協議する場や共通の目標を持って連携して取り組む体制がありませんでしたが、JA土佐あきへ働きかけをし、「JA土佐あき・安芸農業振興センター集落営農担当者連絡会」を立ち上げました。


(2)集落営農塾(組織化・ステップアップ)
 関係機関や集落リーダーを対象として、集落営農のあり方を事例を通して学んでもらう研修会として「集落営農塾(組織化)」を開催しました。研修会では、集落営農の必要性や国及び県の支援策等についての座学研修、講演会(H28年度は島根県津和野町の(農)おくがの村)、先進地視察研修(平成28年度は四万十町)を実施し、組織化に向けて、集落営農の必要性や関連する支援策について学んでもらいました。
 また、既存組織を対象として「集落営農塾(ステップアップ)」を開催し、任意組織の会計処理や新規品目の導入等についての座学研修、先進地視察研修(香川県)を実施し、組織運営の課題の解決や今後運営を継続していくためのポイントについて情報提供しました。また、法人化への転換に向けての意識啓発も併せて実施しました。


集落営農塾 講演会 先進地視察

(3)新規組織の設立
 集落営農塾(組織化)で組織設立に向けた意向が確認できた集落については、推進集落として選定し関係機関と連携して集落座談会開催に向けて支援をしました(H28年度は室戸市小山集落、奈半利町百石集落の2集落)。いずれの集落でも、集落座談会を開催し集落アンケートの実施、集落ビジョンや営農計画の作成、協業栽培品目の選定等設立に向けて支援しました。
 推進集落以外の集落についても、関係機関と連携して水稲受託農家への今後の受託の意向の聞き取りや集落営農勉強会の開催、集落アンケート調査の実施等について支援しています。


ビジョン作製 説明

(4)既存集落営農組織の活動強化
 集落保全営農組織平・花田(奈半利町)、庄毛集落営農組合(室戸市)を重点指導対象として、役員会の開催や、協業栽培品目の選定、栽培、販売支援、営農計画作成等を支援しました。
<平成28年度の各既存組織の取り組み事例>
・集落保全営農組織平・花田では、県の集落営農ステップアップ支援事業を活用し協業栽培品目の候補であるサツマイモの実証ほを設置しました。次年度以降の品種選定のために定植した4品種(土佐紅、べにはるか、ベニアズマ、安納いも)の収量や品質を確認し、次年度は土佐紅を選定しました。
・庄毛集落営農組合では、協業栽培品目であるソバの栽培指導や、次年度以降の協業栽培品目について指導しました。


  • 活動の成果

(1)推進体制の整備
 7市町村では、各市町村の農業関係機関の定例会で集落営農の推進や集落営農塾の内容について協議するなど、連携して推進する体制になりました。その中で、集落営農の必要性や既存組織のステップアップについても理解が深まりました。
 また、25年度まではJAと集落営農について協議する場や共通の目標を持って連携して取り組む体制がありませんでしたが、26年度からJA土佐あきと共通の目標を設定して集落営農を推進する取り組みが始まり、27年度以降はJA土佐あきと定期的な連絡会を設置して連携して取り組む体制ができ、各支所担当者と連携して取り組んでいるところです。


担当者会

(2)集落営農塾の開催(組織化・ステップアップ)
 平成28年度の集落営農塾については、組織化及びステップアップの各講座ともに、平成28年度予定している研修会の全4回中3回が終了した状況です。組織化では30集落のべ60人、ステップアップでは6組織のべ15人が参加しました。組織化では、集落営農の組織化に向けた理解が向上するとともに、設立に意向のある集落を把握することができました。また、ステップアップでは、任意組織の会計処理方法や新規品目の導入等、活動のステップアップに向けた情報提供ができた他、集落営農組織の活動状況や運営の課題について参加した組織間で共有できました(28年11月現在)。


(3)新規組織の設立
 集落営農塾終了後、組織化に向けた意向のある集落については、関係機関で連携して集落に入り、集落での勉強会の開催、集落アンケートの実施、組織化に向けた集落の合意形成に向けて支援しています。
 これらの取り組みにより、平成28年6月15日に奈半利町百石集落で「百石ファーム」が設立され、水稲の作業受託計画の作成や協業栽培品目(ふるさと納税の返礼品向けの野菜)の作付けが進んでいます。野菜については、ふるさと納税の納税者へ栽培の状況を写真で伝え収穫までの様子を楽しんでもらう「バーチャル作付け」に取り組むなど、設立後間もない組織ですが、町内でもその活動が注目されています。
 また、百石集落以外でも、安芸市東川地区や安田町中山地区でも集落での集落営農勉強会や集落アンケートの実施等に取り組んでおり、組織化に向けた話し合いが進んでいます。


田植え 設立総会

(4)既存集落営農組織の活動強化
 集落保全営農組織平・花田は、役員会の開催支援等を通して、適正な部門別簿記記帳が実施されるようになったことや、組織内での情報共有体制の確立に向けた話し合いがされる等、組織運営の発展に向けた動きが出ています。また、協業栽培品目(水稲、サトウキビ、ジャガイモ、サツマイモ)の取り組み面積が年々増加する等組織が集落の農地の受け皿として認知されている他、生産物はふるさと納税の返礼品として出荷される等、町の農業振興にも貢献しています。
 庄毛集落営農組合は、設立間もない組織ですが、役員会を中心に新規協業栽培品目の検討や協業栽培品目(ソバ)の適正な栽培管理について指導し、実践され、27年3月には収穫されたソバを使い「そば祭り」を開催する等、地域へも活動が認知されだしました。また、法人化の意向もあり、今後法人化に向けた勉強会を開催する予定です。


サツマイモ収穫 ソバ祭
  • 今後の課題・展開

 安芸地域は県内でも集落営農が進んでいない地域であり、今後も継続して関係機関と連携して、施設園芸地帯における集落営農の推進方法を模索しながら、集落リーダーの掘り起こしや育成等、集落営農の裾野の拡大に取り組みます。また、現在取り組んでいる集落営農塾(組織化、ステップアップ、法人化の各コース)を今後も継続して実施します。さらに組織化と併せて、既存組織の組織運営が自主的になされ、ステップアップされるように今後も継続的に組織運営を支援します。