グリーンフォーカス 平成28年10月号
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高温下でも品質が優れる水稲極早生良食味系統「高育76号」
- はじめに
高知県の早期栽培では、登熟期の高温による白未熟粒の多発に伴う1等米比率の低下が問題となっています。一方、高温下でも品質が良い‘ナツヒカリ’は耐肥性に優れるものの、食味評価があまり高くなく、‘コシヒカリ’並みに食味が良く、ブランド化が可能な早生品種の育成が求められていました。そこで、これらの特性を満たす高育76号を育成しましたので、特性をご紹介します。
- 特性
高育76号は、高温耐性が優れる‘ふさおとめ’を母親に、食味の良い‘コシヒカリ’を父親として交配し(図1)、得られた種子を世代促進し、その後個体選抜により育成しました。
‘ナツヒカリ’と比較すると、出穂期、成熟期ともに同時期で、稈長はやや長く、穂数はやや少ないですが、玄米千粒重はほぼ同程度で、収量は8~17%多くなっています(表1)。
玄米品質は‘ナツヒカリ’と同程度で、標肥栽培では、整粒割合が高く、白未熟粒割合、玄米タンパク質含有率ともに低く優れています(表2)。
特性検定では、穂発芽性や耐冷性は‘コシヒカリ’並みであり、葉いもち抵抗性は‘コシヒカリ’と同等で‘ナツヒカリ’より劣ります(表3)。
食味の官能評価では、年によりやや評価は異なりますが、炊飯後の外観ではやや優れる傾向が見られ、総合では‘コシヒカリ’並みで‘ナツヒカリ’より優れています(表4)。
写真1 高育76号の草姿
左:‘ナツヒカリ’ 中央:高育76号 右:‘コシヒカリ’
写真2 高育76号の玄米
左:‘ナツヒカリ’ 中央:高育76号 右:‘コシヒカリ’
- 留意点
稈長がやや長く、また、葉いもち抵抗性についても‘ナツヒカリ’に比べ弱いことから、多肥栽培は避けることが必要です。
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