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グリーンフォーカス 平成27年9月

安芸農業振興センター 農業改良普及課・室戸支所 : 2015/09/01

日本初EU向け青果ユズ輸出の取り組み

  • 1 背景・ねらい

 高知県は日本最大のユズ産地であり、栽培面積793ha(H24:全国シェア35.8%)、出荷量10,389t(同54%)を誇っています。特に安芸農業振興センター管内では、古くからユズの栽培が行われており、県内でも主要な産地である安芸市、北川村ではユズが基幹品目となっています。
 ユズの生産量は近年、増加傾向にあり、加工用ユズ(果皮・果汁)の出荷割合も増加しています。しかし、平成21年の大豊作以降、果汁の供給過剰と単価の低迷が続き、加工出荷割合の高い生産者は経営が厳しい状況となり、新たな需要・販路開拓が望まれていました。
 ユズ果汁の供給過剰等の対策として、県では海外での販路開拓・拡大を目指し、官民共同でアジア向けの輸出拡大や、パリで「ユズ賞味会(H23.6)」を開催するなど、「ユズ=高知」のブランド化に取り組んできました。
 この中で、パリ賞味会後、ユズ玉の引き合いが商社に多く寄せられたことを機に、振興センターでは、ニーズへの対応、市場の可能性、果汁・加工品販売への波及効果を検討し、関係機関と連携して平成23年からEU向け青果ユズ輸出の取り組みを支援してきましたので、その活動をご紹介します。


  • 2 普及活動の内容

(1)活動の体制づくり
 EU輸出への取り組みを県産業振興計画(地域アクションプラン)に位置づけ、県の農業振興部(環境農業推進課、産地・流通支援課、農業技術センター、病害虫防除所)や産業振興部(地産地消・外商課)、JA土佐あき、流通業者等とも連携し、各機関の役割分担を明確にすることでEU向け青果輸出の取り組みを支援できる体制を整備しました。


関係機関との打合せ

(2)園地の選定、検疫制度の対応
 輸出園地の選定にあたり関係機関で協議を行い、当振興センター管内で過去にEU向け果汁輸出の実績がある北川村内で、青果ユズ輸出の条件に合う園地を選定しました。その後、園主の意向を確認したうえで、神戸植物防疫所や関係機関等と現地確認・調査を実施しました。現地調査では、EU向けカンキツ属果実の検疫条件である、かいよう病及びミカンバエについて発生調査を実施しました(H23.12〜H24.10)。


現地確認(1) 現地確認(2) ミカンバエ調査

(3)残留農薬基準への対応
 県関係機関(環境農業推進課、産地・流通支援課、農業技術センター等)と連携して、EUの残留農薬基準に対応した防除暦を作成し、生産者への防除指導や収穫前に生産履歴の確認を実施しました。また、農業技術センターの協力を得て、輸出前の残留農薬検査等についても支援しました。


(4)計画出荷への対応
 立木調査を実施し、生産量、規格別収量等を予測したうえで、生産者及び流通関係者と収穫スケジュールや出荷作業の手配等を検討するとともに、長期輸送で品質トラブルを発生させないための選果の徹底を指導しました。


出荷・梱包作業の確認

(5)本格輸出に向けた商談会(H24.10)への対応
 ユズの着色前の10月にパリで開催される商談会へ参加するために、県果樹試験場が開発した「簡易カラーリング方法」を参考にし、輸出用ユズの簡易カラーリング処理を支援しました。また、農業技術センター(品質管理)が過去に調査した航空便輸出の温湿度調査の結果を参考に、カラーリング処理後の温度管理等について輸送業者に情報提供することで、輸出時のトラブル防止に努めました。


  • 3 普及活動の成果

(1)生産から流通まで一体となった取り組みを実現
 振興センターが産地への輸出に関する情報提供や、関係機関との調整・体制整備、課題への対応等を行ったことにより、生産者や流通業者等の関係者が、生産から輸出、販売の流れを把握でき、円滑に輸出に向けた取り組みを進めることができました。また、関係者がチームとして行動しており、毎年、定期的に打合せや検討会を開催して情報共有することができています。


(2)EU向け青果ユズ輸出の実現と継続
 簡易カラーリング処理を支援したことで、10月のパリ商談会用に33kgの青果ユズを輸出できました。また、商談会で青果ユズが高い評価を受け、予想以上に多くの予約注文が入りましたが、立木調査等の結果を踏まえた計画出荷の実施と関係機関の連携により、当初の輸出計画600kgを大幅に上回る3,134kgの青果ユズをトラブルもなく輸出することができました(H24.11)。平成25、26年も、関係機関と連携して取り組みを継続し、毎年約3tの青果ユズの継続的な輸出ができるようになりました。


商談会(1) 商談会(2) 選果作業

(3)日本初EU向け青果ユズ輸出の波及効果
 北川村で取り組んだ日本初のEU向け青果ユズ輸出の成功は、日本初という話題性から、日本国内に対するユズのPRや、他産地も輸出に向けて動き始めるきっかけになるなど、ユズの需要・マーケットの拡大につながりました。また、青果ユズの輸出や商談会の成功で、EUを始めとする海外からの果汁の引き合いが強まり、果汁の輸出量は平成22年に比べて26年では2倍に増加するなど、果汁の販路拡大が図られました。


  • 4 今後の課題と展開方向

 関係機関と連携して取り組んできたことで、平成24年から毎年約3tの継続的な輸出が行えており、今後も流通業者、生産者等と情報共有・検討を重ねながら青果ユズ輸出の取り組みを継続的に支援していきます。中でも、防除暦については、EUの残留基準値の変更等にあわせて内容の検討が必要となるため、病害虫防除所や農業技術センター(農薬)、産地・流通支援課と輸出時期・量に適した防除体系を検討し、輸出用果実の品質アップに向けた指導を行います。また、海外からの新たなニーズへの対応支援、生産者への情報のフィードバックなど、青果ユズ輸出の取り組みへの継続的な支援により、海外販路の維持・拡大や産地の活性化につなげていきたいと考えています。


輸出園地とフランス国旗