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グリーンフォーカス 平成27年2月号

農業技術センター茶業試験場 : 2015/02/01

寒冷紗を茶株に直接被覆して生産する加工用抹茶原料の生産技術


津野山ビール

津野山ビール

はじめに

 最近、抹茶の機能性や濃緑色の色沢・香味などが注目され、抹茶を添加した加工品が増加しており、全国的に加工用抹茶の生産も増加しています。県内では、被覆して茶を栽培するところがほとんどないために、煎茶の粉末茶が加工用として販売されていますが、抹茶と比べて色沢や香味が劣ることから、加工用抹茶原料(荒茶)の簡易な生産技術の開発が望まれていました。
 そこで、加工用抹茶原料を製造するため、寒冷紗を一番茶期に直接茶株に被覆する栽培での最適な寒冷紗の遮光率とその被覆期間、被覆栽培で生産された茶葉の蒸し時間を検討しましたので、その概要を報告します。


寒冷紗被覆栽培技術

 黒寒冷紗の遮光率75%・85%・93%、茶芽の生育ステージ1.5開葉から3.0開葉、被覆期間10日間・15日間を組み合わせた8区で生葉収量を比較した結果、遮光率75%・2.0開葉・15日間被覆区、遮光率85%・2.0開葉・15日間被覆区、遮光率85%・3.0開葉・15日間被覆区の収量が多くなりました(図1)。この3区のうち、荒茶の品質が良好で、緑色が濃く、全窒素量・アミノ酸量が高かったのは、遮光率85%・2.0開葉・15日間被覆区でした(表1、2)。
 このことから、寒冷紗を用いた被覆栽培方法は、一番茶2.0開葉期に遮光率85%の黒寒冷紗を直接茶株に被覆し、被覆する期間は15日間が良いことが明らかになりました。


図1 表1

表2

加工用抹茶原料の製造技術

 収穫した生葉の蒸し時間を20秒から40秒まで5秒毎に変えて製造した荒茶の品質を調査した結果、蒸し時間35秒区が外観、内質とも優れていました(表3)。
 このことから、加工用抹茶を製造するための蒸し時間は、35秒程度が良いことが明らかになりました。


表3

被覆栽培の経費試算

 加工用抹茶原料生産には、被覆経費として寒冷紗代とマジックピンチ代が必要になりますが、加工用抹茶原料は煎茶用の一番茶荒茶に比べ、荒茶収量で約160%、品質の向上により高単価となりますので、所得の向上に繋がると考えられます(表4)。


表4

留意点

1. 茶業試験場内での栽培試験は、次の条件下で実施しました。
  1)栽植密度は、畝幅180cm、株間30cm、1条植えで、品種は「やぶきた」、樹齢は29年でした。
  2)摘採は、可搬型摘採機を使用しました。
  3)施肥は、秋肥、春肥に一茶(14-4-5)、芽出し肥にうまいっ茶(22-0-0)を窒素成分で60kg/10aを
    施用しました。
2. 寒冷紗の種類の検討には、黒寒冷紗のダイオネット1002A(遮光率75%・ダイオ化成(株)製)、ダイオ
  ラッセル85P(同85%・同社製)、ダイオラッセル2000(同93%・同社製)を用いました。
3. 凍霜害を受けやすいので、防霜施設のある茶園で行いましょう。また、被覆期間中に強風を受けると
  葉擦れを起すので風当たりの弱い園を選びましょう。


終わりに

  今回紹介した栽培・製造技術により、高品質な加工用抹茶原料の安定生産が可能となりました。この技術を利用して昨年から、JA津野山で加工用抹茶原料生産が始まっています。JAでは出来上がった加工用抹茶原料を粉砕して粉末茶を製造し、商品開発に取り組み、お酒の好きな方へ「津野山ビール」、「土佐茶カクテル」、甘党の方へ「みるく豆」などを開発しています。見かけられましたら、ご賞味ください。人気は上々のようです。
  なお、製造方法は、茶工場の能力等により、アレンジしていく必要があると思いますので、関心のある方は当場にご相談下さい。



画像1 画像2

黒寒冷紗の被覆作業(左)、被覆した茶園(右)




画像3 画像4

被覆茶園での収穫作業(左)、茶工場での製茶作業(右)




画像5 画像6

津野山ビール(左)、土佐茶カクテル(右)




画像7

みるく豆