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グリーンフォーカス 平成26年6月号

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安芸農業振興センター 農業改良普及課・室戸支所 : 2014/06/01

安芸地域での環境制御技術の導入による増収に向けた取り組み

  • 1 地域の現状・背景

 県東部の安芸地域は日本一の生産量を誇る促成ナスを中心にピーマン、ミョウガ、キュウリなどの施設園芸が盛んに行われています。近年、燃油価格高騰や農業資材価格上昇などで生産コストが増加していますが、これまでの地上部の環境管理は温度中心に勘や経験値重視のため、収量は年次変動や農家格差が大きく、所得も伸び悩んでいます。そのため、今後、産地を維持・発展させていくためには所得向上に向けた飛躍的な増収技術の早期確立が求められています。

  • 2 活動内容

(1) 活動の経過 −実証圃を活用した新技術の検証−
 25園芸年度から県の「まとまりのある園芸産地活性化事業」を活用したCO2施用現地実証(25園芸年度:ナス1地区、26園芸年度:ナス3地区、ピーマン1地区)に取り組み、環境測定とCO2施用を中心とした環境制御技術の早期確立と実践の呼び掛けに取り組んできました(写真1、2)。


写真1

(2) ハウス内環境の把握 −環境測定装置の活用−
 「ハウス内環境の見える化」により多くの発見がありました(写真2)。
【光環境】
 当地域のナス栽培での天井部の内張は固定式が多く、ハウス内光透過率は50〜60%程度で、特に厳寒期(晴天日)には上段の部位では光飽和点(40klux)には達しているものの、中下段の部位では光が不足していることが推察され(図1)、落花(蕾)、赤果、青べた果などの生理障害の発生要因の一つと考えられました。

【CO2濃度】
 雨天日を除き、日中のCO2濃度は大気レベルの400ppmを下回り、特に換気量の少ない厳寒期には200〜300ppm程度で推移していることが確認され(図2)、光合成速度の低下が収量の制限要因になっていることが推察されました。

【温度】
 これまで自動天窓用の温度センサーには直射光が当たらないように紙皿や紙コップで覆いをして温度を測定・制御していましたが(写真3-左)、通風状態で測定する環境測定装置での測定データと比較することで、これまでしっかり確保できていると思われていた日中の温度が実際は確保できていなかったことも明らかになり、「環境測定装置での温度で管理するだけでもメリットがあった」という農家の声も多くありました。

【相対湿度】
 ナス促成栽培での厳寒期の午前中の湿度は低夜温管理の関係もあり(夜間は95%RH前後で推移)、日出後もしばらく90%RHを下回らないなど蒸散、ガス交換、病害などの面から改善が望まれました。比較的早期(ハウス内気温18℃目安)からの「ちょい換気」による蒸散促進、湿気抜きおよび急激な温度上昇抑制などの対策を提案することができました(図3)。


写真2


写真3

(3) 実証結果と成果の周知
 26園芸年度にはナス3地区、ピーマン1地区でCO2施用を中心とした実証を実施していますが、ここでは25園芸年度から実証しているナスの1地区での事例(品種‘土佐鷹’、8月下旬定植)をご紹介します。
 25園芸年度には濃度コントローラ付きCO2発生装置(写真1)を用いて、2012年11月9日から2013年3月15日まで、日中に大気レベルの400ppmを下回らないように濃度施用を実施しました(図4)。その結果、対照のCO2無施用ハウスに比べて樹勢の強まりや開花数・着果数の増加がみられ、12月、1月、3月には増収となりましたが、3月下旬以降には樹勢の低下がみられ、4月には減収し、CO2施用開始以降の収量では5%増に留まり、CO2施用終了後の樹勢維持などに課題が残りました(図5)。
 そこで、26園芸年度には施用期間を2013年10月20日から2014年5月7日まで広げて、換気量の多い10月、3〜5月にはタイマー制御による量施用とし、その他の期間は濃度施用としました。さらに環境測定装置を導入し、その測定値に合わせて温度やCO2濃度などを正確に管理しました。なお、午後の温度は午前中よりも2℃程度下げるのが慣行の温度管理ですが、実証圃では転流を意識して、午前中よりも下げない管理を行いました。その結果、前年度に比べて、2回目以降の着果周期が早まり(図6)、3月下旬以降も大きく樹勢低下はみられず、12〜4月に増収となり、4月末までの総収量で前年度対比18%増となりました(図7)。
 経済性では労働時間の増加分は除いて、5%程度の増収で初期経費と運転経費は回収できると試算され(データ略)、今年度の成果などから日中の低濃度CO2施用は増収・増益が見込める技術として、各地区の部会・研究会、営農相談などの機会を活用して広く周知を図りました。


写真4


写真5

  • 3 地域の動きや活動の成果

 このような環境制御技術への関心が高まる中、地域の限界収量突破に向けて特に意欲の高い施設園芸農家が集まり、2013年7月30日に「土佐あき新施設園芸システム勉強会」が発足しました。本勉強会では、部会や品目の枠を越えた「学び教え合う場」として、オランダ型統合環境制御技術に関する勉強会や現地検討会、先進地視察研修(写真4)、生育調査方法の検討や調査結果の共有と検討、環境モニタリングに基づく栽培管理の検討等の活動を行っています。特に自身のハウス内環境モニタリングデータを持ち寄って栽培管理について共有・検討する場では、活発な意見交換をしあうことで会全体の連帯感が高まっています。
 現在、本勉強会の会員を中心に環境測定装置やCO2施用技術を導入する動きが広がり(表1)、新技術を導入・実践された農家は前年の収量を上回るなど、成果がみられています。
 その他、これまで厳寒期の曇雨天時には温度を優先して天井の内張を開ける農家は少なかったですが、温度と光合成と呼吸の関係を理解・意識して、内張を開ける農家も増えてきています。また、一部では白マルチの設置や柱の白色ペンキ塗装などを実践するなど、光環境改善にも関心が高まってきています(写真5)。


写真6


写真7


写真8

  • 4 今後の展開

 当管内での環境制御技術の確立・普及に向けた取り組みは始まったばかりですが、実践された農家は確実に収量が伸びており、周囲の農家も注目しています。これらの動きが点から線、線から面へと拡大されるよう支援していきます。次のステップとして、株元へのCO2局所施用によるさらなる施用期間の拡大と施用の効率化、内張被覆の巻き上げ幅の拡大による光環境の改善などにより限界収量の早期突破の実現を目指します。さらに、将来的には若手生産者を中心に環境制御への関心が高まることで産地の活性化につなげたいと考えています。




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