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グリーンフォーカス 平成25年10月号

須崎農業振興センター 農業改良普及課 : 2013/10/31

中山間地域の持続可能な農業システムの定着

  • 市町名

   須崎市、中土佐町、梼原町、津野町

  • 対象

   中土佐町大野見地区(神母野集落)、梼原町越知面地区(千年杉営農組合)
   松原地区、津野町芳生野営農生産組合、下郷農業生産組合、龍王営農組合

背景

 須崎農業振興センター管内の中山間地域では農業従事者の減少や高齢化が進み、地域農業の維持発展をどうやって行うのかが課題となっています。そこで、地域特性に合った農業システムとして、集落で持続的な営農が成り立つ協業組織や地域に必要な集落営農組織を育成することを目指すこととしました。

1 集落営農組織の育成

  • 組織化の推進

・中土佐町大野見神母野(いげの)集落

 平成23年度に引き続き座談会や役員等との協議を重ね、4月28日には神母野営農組合が20戸で設立しました。

 また、県集落営農・拠点ビジネス支援事業を活用して、機械格納庫、乾燥機、籾摺機、フォークリフトの導入を支援し、10月には収穫・乾燥作業の組織活動がスタートしました。
(収穫作業約2.4ha、乾燥550袋、籾摺575袋)。
 おおのみエコロジーファーマーズ(当時大野見産米エコ研究会)と連携し、大野見米のブランド化の取り組みを行うことになりました(詳細は後記)。


神母野営農組合設立総会 機械格納庫、乾燥機、籾摺機等

      神母野営農組合設立総会             機械格納庫、乾燥機、籾摺機等



・梼原町松原地区

 同地区に隣接してある2つの組織(大向農事組合、中平ファーム)の受託状況の聞き取りや代表者との面談を行い、組織の実態と意向を把握しました。作業受託組織から集落営農組織への組織化の推進を図っています。




・須崎市、梼原町

 関係機関との打合せから始まり、意向調査とその報告、専門技術員を招いての勉強会、そして規約(案)の作成指導等を行い、組織化を支援してきました。平成24年12月25日には須崎市下郷地区に下郷農業生産組合が、平成25年1月16日には梼原町茶や谷集落に龍王営農組合が設立されました。

 また下郷農業生産組合には、集落営農・拠点ビジネス支援事業による田植機の導入を支援しました。


下郷農業生産組合設立総会 龍王営農組合設立総会

      下郷農業生産組合設立総会             龍王営農組合設立総会 



  • 実践を通じた経営管理能力の習得

 梼原町千年杉営農組合(設立1年目)は水稲全作業受託田での利益向上を図るために、米のブランド化に取り組むこととなり、今年度に玄米品質調査や先進地((農)アグリすのうち:愛媛県東温市)調査を企画しました。今後、農協等関係機関と連携して販路も含めた検討を行い、活動を支援していくことになっています(受託面積180a)。


千年杉営農組合役員会 先進地視察(農)アグリすのうち

      千年杉営農組合役員会          先進地視察(農)アグリすのうち


  • 集落営農の推進体制づくり

 地域、集落のリーダー育成や関係機関との集落営農推進の共通認識を図るために、各集落営農組織や関係機関を対象に講座制の研修を4回行いました。この結果、各市町の農業の現状と将来予測や、人・農地プランのアンケート結果を踏まえて、担い手としての集落営農組織の重要性や必要性を共有し、関連事業の概要を知ってもらいました。
 また、機械更新積立の考え方や、法人化のメリット・デメリット、労働基準法に基づく労務管理、法人化設立の手順など、組織運営について理解してもらうことができました。


第1回集落リーダー研修会

                   第1回集落リーダー研修会

2 こうち型集落営農組織の育成

  • 共同経営組織の育成

 芳生野営農生産組合は平成24年度、園芸品目は雨よけ米ナス28a、ショウガ28a(施設8a、露地20a)を栽培しました。米ナスは実証ほの設置や、JAナス部会の現地検討会・産地交流会を通して栽培技術の向上を図ってきました。
 ショウガでは実証ほを設置し、施設と露地栽培の収量、品質について検証を行いました。リーダー研修では法人化の検討を行っています。
 また、生産実績と経営分析に基づく次年度の営農計画について助言を行いました。
 米ナスの収量は9.0t/10a(前年対比96%)、秀品率83%(前年対比107%)となり前年に比べ品質は向上したものの減収しました。ショウガは収穫調査の結果、施設5,140kg/10a、露地4,982kg/10aで収量は良かったのですが、契約単価が175円/kgとなり、昨年に比べ販売単価の低下による所得の減少が損益計算書から見られました。
 このため平成25年度については、雨よけ米ナス栽培の面積を8a増やし36aに、ショウガは露地栽培のみの18aとして所得の向上を目指すことになりました。
 また米ナスについては、在来天敵を促成産地から導入した後は、ハウス内外のバンカーで常時供給できる体系を目指すIPM実証ほを設置しました。
 ショウガでは、植え付けを縦畝方式に変更して栽培実証を行うことや、組合担当者と月一回程度の情報共有を図ることとしました。


米ナスの誘引作業にて 収穫時の露地栽培ショウガ

       米ナスの誘引作業にて              収穫時の露地栽培ショウガ


収穫した米ナスを前に、はいポーズ

                収穫した米ナスを前に、はいポーズ

3 米のブランド化への支援

 中土佐町大野見の神母野営農組合が「大野見産米エコ研究会」(以下エコ研、平成25年9月「おおのみエコロジーファーマーズ」に名称変更)と連携し、平成23年度より大野見米のブランド化に取り組んでいます。
 活動母体であるエコ研は消費者に選ばれる米産地の形成をめざし、平成22年度より栽培方法や販売方法の検討を進めてきました。平成23年度は4戸の農家が特別栽培米(エコ米)に取り組み、「ヒノヒカリ」の1等米は12,000円/30kgと高単価で販売でき、出荷量も1.7tに増え、徐々に手応えを感じていました。しかし、農家間の栽培技術には差があり、品質の統一、出荷量の増加が課題となっていました。
 そこで、生産の安定と出荷量の増加、また販路の拡大などを視野にブランド化に向けた取組を関係機関とともに支援を行いました。


  • 高品質・高収量生産の確立

先進地視察

 
 品質の統一を目指すため、研修会を開催し肥料や農薬のエコ研独自の栽培ルールを決め、基準に達した米を出荷することを取り決めました(4月)。また、高品質生産に向けた実証ほを設置し(6カ所)、現地検討会(溝切機試乗7月、9月)や先進地視察(四万十町9月)を通して、栽培技術の向上を図りました。その結果、平成24年度は曇雨天日が多かったにもかかわらず、「ヒノヒカリ」は7戸、「にこまる」は2戸でエコ米(四万十の清粒)として出荷することができました。


    先進地視察


  • 販売支援

 大野見新米フェスタ(10月)では、エコ米の試食販売とともに、アンケートをとり消費者の嗜好や購買に関するアンケート調査を支援しました。また、ふるさと祭り(高知市10月)には初めて生産者も参加し、消費者の声を直接聴くなど、積極的に販売活動が行われました。



  • 研究会活動の充実への支援

テキスト

 

 研修会では、ブランド米産地の事例紹介や、ブランド化に至る計画の作成を促し、研究会活動の充実を図りました(4月)。その結果、エコロジが主体的に他産地のブランド米との試食評価を行い大野見米の特徴を表現できるようになりました(6月、7月)。また、農業創造セミナー(県事業)に参加して農産物のブランド化の手法を学び(馬路村8月、十和9月、長崎県10月)、大野見米の活性化計画の作成(11〜12月)や、PR資材となるテキストの作成、料理の研究も行われました(7月、1月)。 
さらに、高知県立大学の協力のもと試食評価を行い、
次年度に向けて消費者交流の足掛かりを作ることができ
ました(1月)。

取組結果と今後の推進方向

 平成24年度は、須崎市においては市内の平坦地で水稲や施設園芸が盛んに行われている下郷地区おいて、地元の有志と関係機関が一体となり水稲の作業受託を行う集落営農組織(下郷農業生産組合(平成24年12月設立))ができました。

 中土佐町大野見地区では、神母野集落が、農家意向調査の結果に基づき集落営農の組織化に取り組み、作業受託と機械の共同利用を行う集落営農組織(神母野営農組合(平成24年4月設立))ができ、米のブランド化への足掛かりもできました。

 梼原町については、松原地区で既存の作業受託組織(大向農事組合、中平ファーム)リーダーと、作業受託組織から集落営農組織への再編案の検討を行いました。また、四万川地区に対しては組織化を働きかけ、作業受託を行う集落営農組織(龍王営農組合(平成25年1月設立))ができました。

 津野町の芳生野営農生産組合については、設立4年目となり一定事業活動の仕組みづくりはできたことから、作目の栽培面積の増加による所得の向上を支援しました。
 また、組織のリーダーや関係機関に対しては講座制の集落リーダー研修会を開催しました。その結果、集落営農の組織運営や関連制度、事業の理解が深まりました。
 これらを踏まえ、推進方向として次のとおりです。


  • 集落営農組織化の推進

 中土佐町旧中土佐地区、津野町高野地区への集落営農活動の啓発を行い組織化を推進します。梼原町松原地区については、既存の作業受託組織から集落営農組織への組織のステップアップを検討します。また、集落リーダー育成研修等を行うことによりリーダーの育成や新たな地区の掘り起し、安定した組織運営への支援を行います。


  • 持続性のある集落営農組織の育成

 芳生野営農生産組合は設立5年目になり、雨よけ米ナスと露地ショウガの生産に取り組み、自立した集落営農組織としてのシステムは一定出来上がったため、複合経営による所得向上を支援します。設立後間もない他の集落営農組織については、安定した組織運営ができるように支援していきます。