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グリーンフォーカス 平成25年3月号

中央東農業振興センター 農業改良普及課 : 2013/03/14

6次産業化による地域の活性化〜南国市農家レストラン「まほろば畑」グループの育成〜

  • 1 普及活動の背景とねらい

(1)背景
 南国市は県中央部に位置し、県内有数の稲作及び施設園芸地帯であり、小学校の給食に地元の棚田米を用いた炊飯給食に平成12年から取り組むなど「食育のまち」として「地産地消」に積極的に取り組んでいる地域である。
 しかし、野菜に関してはシシトウやピーマン、ニラ等の県内有数の産地であるにもかかわらず、そのほとんどが県外へ出荷され地産地消の取り組みは進んでいなかった。


図

 一方、南国地区農漁村女性グループ研究会(以下「研究会」という)は消費者向けに郷土料理や南国市産野菜を使った料理講習会を実施する中で、消費者からの「野菜をもっと食べたい、食べ方を教えて欲しい」と言う声を受け「野菜の食べ方を提案する場づくり」の必要性を強く感じていた。さらに、平成20年に農業改良普及課が企画した県内農家レストランの先進事例調査に参加したことで、「自分たちも農家レストランをやれないだろうか」と考えるようになった。
 そこで、農業改良普及課では、県や南国市の推進する地産地消の方針と合致する重要な課題として、農家レストラン実現に向け重点的に取り組むこととした。

(2)活動のねらい
 農業改良普及課は、研究会を対象として「農家レストラン開設と継続的な運営のための仕組みづくり」と「6次産業化に取り組む人材の育成」を目標とした。

  • 2 普及活動の内容

(1)普及指導活動計画への位置付け
 平成22年度から普及指導計画に位置づけ、地域営農担当チーフ、6次産業化担当、南国市地域担当によるチーム体制により重点的に取り組むこととした。活動を行う上では、農家レストランの運営が早期に対象者による自主的・自立的な活動となるよう関係機関との連携を重視した。
(2)農家レストラン開設準備期間の活動
ア 地域アクションプランへの位置づけと支援体制の整備
 農業改良普及課は、研究会から「野菜のおいしい食べ方を直接消費者に提案したい。
何か良い方法はないだろうか。」との相談を受け、平成20年6月に「十和おかみさん市」の事例調査を企画した。
研究会代表は、その調査結果をもとに産業振興計画地域座談会で取組を提案、「生産者と消費者をつなぐ場づくり〜まずは農家レストラン〜」として地域アクションプラン(実施期間:平成20年〜23年)に位置づけられた。
 それを受け、研究会代表者、農業改良普及課、南国市、県地域づくり支援課で構成する「南国市農家レストラン推進チーム(以下「推進チーム」と言う)」を立ち上げた。
イ 農家レストラン実施方法の決定
 南国市と研究会役員が中心となり、参加希望グループを募った結果、平成22年4月に5グループ(67名)の参加が決定した。その名称は、公募により「まほろば畑」となった。
 また、5グループを交えた推進チームで協議した結果、道の駅レストランの定休日(毎週火曜日)を利用し、グループ毎の輪番制で、バイキング方式で実施することを決定した。さらに、市の特産野菜を広くPRするため、全グループ「シシトウ料理」と「ナスのたたき」を常設メニューとした。
 運営ルールについても推進チームで協議を行い、10項目((1)運営、(2)衛生、(3)献立、(4)調理、(5)配膳、(6)接客、(7)後片づけ、(8)セキュリティー、(9)情報共有、(10)開店準備)に関する41種類の運営ルールを取り決め、参加グループ全員を対象に講習会を実施し周知を図った。
(3)人材育成支援
 参加グループ決定時には、農家レストランの目的や期待される効果が共有されてはいなかった。そこで、農業改良普及課は、県が実施する6次産業に携わる人材育成を目的とした「農業創造セミナー」への参加を提案した。
 5グループのリーダー5名が参加し、農家レストランの意義や目的を確認し、「取り組みテーマの決定」、「事業計画」、「具体的な活動計画」を作成した。


図

(4)農家レストラン開設後の継続的な業務改善指導
 平成22年10月のオープンを受け、推進チームの活動内容を経営及び業務改善支援に移行し、半年間は毎週農家レストランの作業を支援しながら各グループの運営状況の点検を行なった。
 また、徐々にまほろば畑グループが主体的に点検、実行できるよう、作業内容反省表を作成活用した。
ア 入店方式の改善
 オープン時、開店時間に来店者が集中して長時間待っても入店出来ない、開店30分で準備した料理が無くなる等の問題が生じ、自由入店から食事時間50分の3回完全入れ替え制に改善した。
 これと合わせて、待ち時間を利用してレストラン周辺の観光施設に行ってもらうよう、「周辺ぶらりMAP」を作成し、1万部を配布した。
イ 接遇の改善
 平成22年11月、お客様アンケートから接遇やクレーム対応に関する不満が多いことが明らかとなった。そこで、平成23年2月、県の産業振興アドバイザー制度を活用して接遇研修を実施し、1年後には満足度を高めることができた。
ウ 常設メニューの調理技術の改善
 平成24年1月、「シシトウ料理」のレパートリーが少なくなったことに危機感を抱き勉強会開催を提案し、各グループの調理方法やレシピをグループ員同士が講師になり教え学びあう調理相互講習会を実施した。また、「シシトウ料理レシピ集」の作成に取り組んだ。
(5)農家レストラン「まほろば畑」としての意識統一
 農家レストランの目的を再確認するため、全員でワークショップを実施し、コンセプトを「温かいおもてなしと、ほっと安心できる場所を提供するレストラン」、キャッチフレーズは「農家のおばちゃん達のあったか、ほんわかレストラン」に決定した。
 また、借用する道の駅からの運営改善の指摘が続いていたため、施設返却マニュアルの作成や作業内容反省表の記帳を行い関係者で情報を共有し、改善を図っていった。


  • 3 普及活動の成果

写真

(1)農家レストランの開設と継続的な運営のための仕組みづくり
 南国市農家レストラン「まほろば畑」が平成22年10月12日に開設した。既存の道の駅レストランの定休日を利用し、週に1回、5つの女性グループが輪番制で行う形でスタートし、開設から約1年後の平成24年1月には、来客数1万人、販売額1,000万円を達成した。平成24年9月現在も集客数は衰えず、毎週180人程度の来客が有り、「農家のおばちゃんの味」が評価されている。
 農家レストランを通して、県内外からの来客者に対し直接野菜の食べ方の提案ができ、「ナスのたたき」と「シシトウ料理」を常設メニューとすることで、南国市産野菜の消費拡大(シシトウ:192kg/年、ナス:960kg/年)にも繋がった。
 また、作業マニュアルやチェックリスト、作業内容反省表などを活用した業務改善とコンセプトの共有などを通して、5つのグループの集合体が一つの組織として機能し、グループ間で助け合いながら農家レストラン「まほろば畑」として継続的に運営される仕組みが整った。
(2)6次産業に取り組む人材の育成
ア 自立運営実現
 作業マニュアルやチェックリストの活用により徐々にグループ員による点検や改善の仕組みが整い、現在では自主的な運営が行われている。また、レストランの利用客にはリピーターも多く、安定した集客数により黒字経営となっている。


図3 マップ

(3)地域経済への波及効果              
 来店者にレシピを直接紹介したり南国市ホームページにレストラン情報を公開することで、道の駅内の農産物直販所における野菜の売上増につながる仕組みができた。
 その結果、農家レストラン開設後の平成22年10月から平成23年2月までの火曜日の直販所の販売額は前年比126%となり、現在もほぼ同様の傾向が続いている。
 さらに、火曜日が定休日であった道の駅の土産物売り場が、定休日を廃止し年中無休で開店することになり売上が向上した。
 また、当初は想定していなかった効果として、農家レストランが「周辺ぶらりMAP」を作成したことにより、周辺観光施設への入場者が増加するなど、観光分野の活性化にもつながった。

  • 4 今後の普及活動に向けて

 今後さらに地域経済や農業・農村の活性化を図るため、南国市の野菜の消費拡大に効果的に繋がるよう、市内各地に多数ある農産物直販所との連携を強化する。
 また、「野菜の栽培方法について説明ができる」、農家にしかできないおもてなしを提供できるレストランにする普及活動に取り組む必要があると考えている。