グリーンフォーカス 令和8年5月号
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甘長トウガラシにおける遮熱シートを用いた高温対策の検討
・取組の背景
甘長トウガラシは促成栽培や夏秋栽培をとおして周年生産されている品目です。しかし、高知県での生産面積は令和3年度の5.7haをピークに、令和7年度は3.9haにまで減少しており、生産者数も令和3年度は70戸でしたが、令和7年度は38戸と約半分になっています。現在は‘ 甘とう美人’ が主流の品種ですが、高温や乾燥による影響で夏場を中心に尻腐れ果の発生率が高く、生産者の所得や意欲を低下させてしまうのが大きな課題となっています。
そこで、農業担い手育成センターでは高温期に遮熱展張資材を利用し、高温期のハウス内環境と収量と品質への効果を検討しました。
また、併せて高知県農業技術センターで育種された、尻腐れ果になりにくい「試交6号」も試験栽培しました。
・活動内容
当センター圃場内の実証用ハウス(約100m²、単棟、フッソ系フィルム展張)2棟を用い、遮熱シート(T社製)を展張する試験ハウスと、展張しない対照ハウスを設置し、令和7年5月2日に‘ 甘とう美人’と「試交6号」の定植を行いました(表1)。台木は、‘ 甘とう美人’には‘チャガマラン’を、「試交6号」には‘台助’を用いました。仕立て方法は1条4本仕立てで、側枝は(1)寝かせと(2)下位側枝の除去の2つの方法で管理をしました。(1)の寝かせは、籠を編むように側枝を伸ばしていく方法で、(2)の下位側枝の除去は下から1つめと2つめの側枝を元から除去する方法にです。梅雨明け頃の7月2日に遮熱シート(写真1)を天窓およびサイドに全面展張(固定張り)しました。調査期間は収穫開始日の6月20日から栽培を打切った9月30日までとし、可販果収量や尻腐れ果率、ハウス内気温、地温について調査しました。
写真1 外から見たハウスの様子(左:展張なし、右:遮熱シート展張)
表1 耕種概要
・活動の成果
晴天日が多かった7月は遮熱シートの有無にかかわらず、可販果収量はおおむね同程度でしたが、曇雨天が多かった8~9月にはいずれの品種・仕立て方法でも遮熱シートありで著しく少なくなりました(図1~4)。
尻腐れ果率については、遮熱シート展張以降、遮熱シートなしに比べて低くなる傾向がみられました(図5~8)。
ハウス内気温は曇雨天が続いた8月上中旬を除き、最大5℃の温度抑制効果がみられました(図9)。また、地温については遮熱シートハウスでは、対照ハウスに比べて遮熱シート被覆期間を通して低く推移し、平均で1.0℃、最高で1.8℃、最低で0.5℃低くなりました(図10)。
図1 甘とう美人 寝かせの可販果収量
図2 甘とう美人 第1・2側枝除去の可販果収量
図3 試交6号 第1・2側枝除去の可販果収量
図4 試交6号 寝かせの可販果収量
図5 甘とう美人 寝かせの尻腐れ果率
図6 甘とう美人 第1・2側枝除去の尻腐れ果率
図7 試交6号 第1・2側枝除去の尻腐れ果率
図8 試交6号 寝かせの尻腐れ果率
図9 遮熱シート被覆期間中の群落内気温の推移(各日12時の温度)
図10 遮熱シート被覆期間中の畝面下15cmの地温の推移
・今後の展開
遮熱シートの展張により、尻腐れ果率は減少しましたが、収量も減少しました。これは、固定張りとしたことで曇雨天時には遮熱シート被覆下での日射量が少なくなってしまったためと考えられます。そこで、次年度では巻上式にし、曇雨天には開けるなどして、適宜、調整するように検討します。
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