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グリーンフォーカス 令和7年10月号

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中央西農業振興センター 高吾農業改良普及所 : 2025/10/02

トマト産地の維持・発展

  • 地域の現状

 管内の日高村・佐川町はトマト栽培が盛んな地域であり、特に高糖度トマトは高知県内有数の産地となっています。JA高知県日高支所ハウス園芸部会(以下、部会と表記)では県内の高糖度トマト産地で唯一、糖度センサーによる選果を行っており、令和6年度は19戸が高糖度トマトを生産しています。
 令和5年度に部会の高糖度トマト生産者を対象に実施した産地規模に関する意向調査では、「現状維持」が「拡大」をやや上回る結果となりました。また、安定した経営維持のために必要な目標出荷量7t/10a以上の生産者の割合は26%と低い状況であり、出荷量7t/10a未満の生産者の生産量向上が課題であることを確認しました。
 そこで、出荷量7t/10a未満の生産者を重点指導農家に位置づけ、出荷量向上に取り組むとともに、部会の年間総出荷量470tを達成するために、産地課題の抽出及び、課題解決に向けて取り組むこととしました。
 また、就農5年未満の新規就農者の栽培技術力の向上及び早期の経営安定が課題となっており、課題の解決に向け、重点的な栽培管理及び経営管理指導に取り組みました。


  • 活動内容

(1)高糖度トマトの出荷量向上
  1)個別面談の実施
重点指導農家に対し、JAや町村とともに個別面談を実施しました。個別面談では経営分析や出荷データ(高糖度率や出荷量)に基づく栽培面、経営面の課題の整理を行ったうえで、各生産者が目標収量等を設定しました。
  2)個別巡回指導
  生育診断(茎径や葉色、萎れなど)及び出荷データ(糖度や玉サイズなど)、環境測定データ、かん水量データに基づき、かん水管理や肥培管理、温湿度管理の指導を実施しました。また、かん水量やハウス内の環境測定データについては、篤農家と比較することで改善を促しました。
  3)現地検討会の開催
技術力向上を目的とした現地検討会を毎月開催し、各回2~3戸を回ることで栽培管理について生産者同士で活発な意見交換をしやすい場を設定しました。



現地検討会 かん水量等のグラフ

       現地検討会                       かん水量等のグラフ

             

(2)新規就農者の経営安定
  1)個別面談の実施
    新規就農者と個別面談を行い各々の経営計画に対する進捗状況の確認を行いました。
  
  2)個別の栽培講習や簿記講習の実施
    必要に応じて個別の栽培講習を行うとともに簿記講習会を開催し、栽培技術の向上、経営管理能力の向上を支援しました。
  
  3)個別巡回指導
    生育診断(茎径や葉色、萎れなど)及び出荷データ(糖度や玉サイズなど)、環境測定データ、かん水量データに基づき、かん水管理や肥培管理、樹勢に応じた温湿度管理の指導を実施しました。

  4)関係機関との情報共有
    新規就農者の栽培及び経営状況、栽培上の課題について関係機関と共有し、指導の方向性等を協議しました。


個別面談

個別面談の様子


(3)産地の今後に関する課題抽出と検討
  部会員に意向調査を実施し、産地の課題等について聞き取りを行いました。また、とりまとめた結果は部会役員、関係機関と共有し、課題ごとの取り組み内容や実施方法、実施時期などを協議しました。

  • 具体的な成果

(1)高糖度トマトの出荷量向上
  1)出荷データ(高糖度率、収量)に基づき、重点指導農家を3つにグループ分けし、グループごとの指導方針を、関係機関や生産者と共有することができました。
 ・重点指導農家への指導を行った結果、生育診断に基づくかん水管理や環境測定データに基づく温湿度管理などの栽培管理が改善されました。
 ・現地検討会では、園主の生産者による栽培状況の説明後、参加した他の生産者から今後の栽培管理などに関する質問が出るなど、生産者同士の活発な意見交換につなげることができました。また、部会員の現地検討会への参加が習慣づきました。

(2)新規就農者の経営安定
 新規就農者の4割が目標出荷量を達成できました。

(3)産地の今後に関する課題抽出と検討
 ・産地課題の抽出調査の結果、出荷量の向上に加え、単価の維持向上、認知度の向上や規格外品の販売などが課題であることがわかりました。
 ・部会役員と協議した結果、単価の維持向上については、有利販売を目的として出荷予測調査を部会として始めるなど、取り組みが始まりました。また、認知度向上のため、県内及び関西の量販店等で試食販売等の販促活動を行い、産地をPRしました。
 ・規格外品の販売については市場と検討会を行い、糖度が規格に満たない規格外品を試験的に出荷販売することとなった。




販促活動の様子 取引市場との検討会

販促活動の様子                                取引市場との検討会


  • 現状・今後の展開等

(1)高糖度トマトの出荷量向上
  重点指導農家の個々の栽培上の課題解決や目標収量の達成に向けて、生育診断に加え、環境データやかん水量データ、出荷データなど客観的なデータを活用し、課題に応じた栽培指導管理指導を継続して行っていきます。

(2)新規就農者の経営安定
  重点的な栽培管理指導、経営管理指導を行うとともに、経営計画に対する進捗状況や栽培状況を関係機関で共有し、新規就農者の経営が早期に安定するよう継続して支援を行っていきます。

(3)産地の今後に関する課題抽出と検討
  今年度の部会活動の反省点や改善点等を協議するとともに、次年度の部会の活動計画の作成について支援を行っていきます。また、認知度向上のための販促活動や新たな販売先の開拓等に向けた部会の販売戦略について、助言等を行い支援を行っていきます。





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