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グリーンフォーカス 令和5年6月号

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中央西農業振興センター 高吾農業改良普及所 : 2023/06/01

強いニラ産地づくりと次世代ニラ農家の経営安定

  • 地域の現状

 高吾農業改良普及所管内は仁淀川流域に位置し、施設園芸や露地野菜、果樹、水稲、茶、薬用作物など多様な品目が栽培されています。ニラについては、佐川町で主に冬春期の施設栽培、越知町・仁淀川町で主に夏秋期の露地栽培が行われています。
 JA高知県コスモスニラ生産部は、高単価が期待できる冬場の秀品率が52.7%(R4園芸年度)と低いことが課題となっており、環境測定装置の導入等によりハウス内環境を把握し、病害発生の少ない環境を作る取り組みを進めています。
 併せて、今後の部会の担い手である新規就農者や若手生産者の経営安定に向けた指導の重点的な実施と、そぐりセンターの活用による、出荷調製作業労力の確保対策に取り組んでいます。


  • 活動内容(令和4年度の活動)

(1)周年安定生産と品質向上への支援
 生産安定に向けた技術指導として、佐川町斗賀野地区の施設ニラ農家を中心に月例会での栽培講習や個別巡回指導等 
により、生育ステージに応じた栽培管理やネギアザミウマ等の病害虫防除の徹底を呼びかけてきました(写真1、2)。


写真1 露地ニラ栽培講習会の様子

写真1 露地ニラ栽培講習会の様子


写真2 月例会での講習の様子

写真2 月例会での講習会の様子

 特に、7月に行われる腐敗対策会議では、高温期に腐敗等による市場事故が発生しやすくなることから、収穫後の黄化葉による品質低下防止対策について情報提供を行いました(写真3)。
 また、高温期は、病害虫が発生しやすく、収量・品質が低下しやすい時期であることから、収量・品質の高位平準化を目指して篤農家のほ場で現地検討会を開催しました(写真4)。


写真3 腐敗対策会議の様子

写真3 腐敗対策会議の様子


写真4 現地検討会の様子

写真4 現地検討会の様子

 これまでハウス内の温湿度管理は、農家の経験や勘によって行われる場合が多くなっていましたが、ハウス内環境データを測定し、データに基づく温湿度管理を普及するため、環境測定装置の導入を啓発しました。
 その結果、R4年度に生産者2戸が新たに環境測定装置を導入し、IoPクラウドに接続しました。
 これにより、ニラ生産部の環境測定装置設置農家は3戸となり、その3戸のほ場で生育調査を行い、生育及び環境測定データを活用したハウスの温湿度管理指導を行いました(写真5、図1)。
 また、環境測定装置導入農家3戸の環境測定データを、月例会などの場で厳寒期における温湿度管理指導に活用してきました。


写真5 環境測定装置の設置状況の様子

写真5 環境測定装置の設置状況の様子


図1 環境測定データのグラフ

図1 環境測定データのグラフ


(2)担い手支援対策
1)そぐりセンター作業効率改善支援
 そぐりセンターの作業効率向上に向けて、人員配置や作業状況等を確認し、作業性調査を行いました(写真6)。
作業を行う際の人員配置やニラの配置、作業員の動線等について、確認された改善点をJA担当者に提案し、作業効率向上に取り組みました。
また、そぐり手不足や収穫作業遅れの生産者に対しては、そぐりセンターの積極的な活用を呼びかけました。


写真6 そぐりセンターの様子

写真6 そぐりセンターの様子


2)経営管理能力の向上
 就農5年以内の新規就農者2戸を重点指導対象と位置づけ、収量や販売額の目標を設定して指導に取り組みました。
 重点指導対象の経営改善目標の達成に向けて指導を行う中で、秀品率の向上等の課題が明らかになったため、個別面談や巡回指導等の場で病害虫防除のポイントを指導しました。
 また、冬場には、ハウス内環境データを測定し、そのデータに基づいてハウス内環境の改善に取り組みました(写真7)。


写真7 個別巡回指導の様子

写真7 個別巡回指導の様子


 また、女性生産者の経営管理能力の向上を目的に、SAKAWAニラ女性部の活動を支援し、県内の他産地視察やニラ育苗現地勉強会、ニラを使ったレシピの作成等の活動を行い、消費者を意識することで、安全・安心な農産物の生産に向けた意識を高めました(写真8)。


写真8 SAKAWAニラ女性部視察研修

写真8 SAKAWAニラ女性部視察研修


  • 活動の成果

1)4月から2月までの通年の秀品率は前年の54.1%から54.6%と0.5%向上しました。月別の秀品率は4月~12月までは前年よりも高めに推移したが、1月から2月は寒害により秀品率が低下しました(図2)。
2)そぐりセンター出荷量(4~2月)は、そぐり手不足によってそぐりセンターを利用する農家が増えてきたことから、65.5tから93.3tに増加しました。
3)重点指導対象農家2戸のうち1戸は、ニラの生育が順調でそぐり手の確保もできたことから、年度当初に設定していた経営目標を達成しました。


図2 月別秀品率の推移

図2 月別秀品率の推移


  • 今後の展開

 月例会等での講習や個別巡回指導によって病害虫防除の徹底を図ってきた結果、秀品率の向上は見られましたが、ネギアザミウマや白斑葉枯病等の病害虫防除の指導は継続して行う必要があります。
 また、生育及び環境測定データに基づいた適正な栽培管理の指導を行い、12~2月(高単価期)の増収を目指します。
 令和4年度に重点指導対象者としていた2戸については、次年度も栽培及び経営面での支援を継続して行っていきます。
 また、女性生産者の活動も継続して支援し、女性が共同経営者として能力を発揮できるよう支援していきます。
 さらに、作業性の良い高品質なニラづくりを支援するとともに、適期収穫を徹底するためにそぐりセンター活用の呼びかけを行うことによって、そぐりセンターの安定した運営を支援していきます。




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