ページの先頭です。

メニューを飛ばしてメインメニューへ

新しい病害虫 VOL.2 クリバネアザミウマ

>> ホーム >> 新しい病害虫 VOL.2 クリバネアザミウマ

病害虫防除所 : 2013/06/20

学名:Hercinothrips femoralis REUTER


発生作物:
ピーマン・シシトウ

発生確認の経過

  1. 平成15年1月、県中央部の香美郡野市町の農家から下葉に退緑斑点やスス状の汚れが発生しているシシトウ(ハウス促成栽培)が普及センターを通じて持ち込まれ、被害発生部で黒褐色のアザミウマが認められました。
    高知県農業技術センター生産環境部昆虫科によりクリバネアザミウマと同定されました。
    平成15年2月、県東部の安芸市のピーマン(ハウス促成栽培)で同様の被害が発生し、クリバネアザミウマの寄生が確認されました。また、芸西村のハウスミョウガでも発生しているとの情報もあります。

形態

  1. 雌成虫は褐色で体長は1.2~1.5mm。頭部は褐色で単眼と複眼の間が黄色、前翅も褐色で基部と先端は淡色です。また、頭部中央と前胸背板の網目状刻紋内部に多数のしわ模様があるのが特徴です(写真左)。
    幼虫の体色は黄色ですが、腹部背面は排泄物が固着して茶褐色に見えます。尾端部に褐色で球状の排泄物を保有することも多いです(写真右)。

image

image
クリバネアザミウマ成虫
クリバネアザミウマ蛹

生態及び被害状況
  1. ピーマン・シシトウでは下葉から発生が見られ、順次、株の上方に上がっていきます。口器で葉をなめるように食害するため、葉には退緑斑点が見られ、排泄物によりスス状の汚れが発生します。また、密度が高くなると茎部や果実にも食害や汚れが見られます(写真下)。
    国内では北海道、関東および近畿地方の施設内で発生が報告されており、県内でもハマユウなどで発生が確認されていましたが、施設野菜での確認は初めてです。
    海外ではキク科、サトイモ科、サクラソウ科、シソ科、サボテン科、イラクサ科、ウコギ科、コショウ科、キョウチクトウ科、バラ科、ユリ科、カヤツリグサ科の植物で被害の報告があります。近年国内では静岡県のディフェンバキア(サトイモ科の観葉植物)で発生の報告があり、寄主範囲が広い害虫です。

image
クリバネアザミウマ被害葉(左)および被害果

防除対策

  1. 本種は成幼虫ともに各種殺虫剤に対する感受性が高いとおもわれるので、アザミウマ類に登録のある薬剤(シシトウについては改正農薬取締法に基づく経過措置承認薬剤を含む)により防除を行うが、発生が局所的であるため、特に天敵導入ハウスではスポット散布で対応する。
    本種は寄主範囲が広いため、雑草等に寄生する可能性があるため、ほ場内外の除草に努める。


技術情報ライブラリー目次に戻る

平成15年3月 高知県病害虫防除所作成


PAGE TOP