ページの先頭です。

メニューを飛ばしてメインメニューへ

2-5.茶園

>> ホーム >> 2-5.茶園

こうち農業ネット : 2012/10/31

 茶園は山間部の急傾斜地に多く、一般に作土が浅い。施肥は畝間の通路部にしか行わないため、通路部では土壌pHが低下し、りん酸含量は多い。また、中刈りなどによる枝条が土壌に還元されるため、腐植含量は高い。土壌物理性の改良目標値は果樹園に準じるが、pH、塩基含量、有効態りん酸含有量は果樹園とは異なる。

表5-1   茶園土壌の改良目標値(高知県)

 





   土壌の性質
             
 

     土  壌  の  種  類

 砂 質 土 

 壌質~強粘質土

  黒ボク土

砂丘未熟土  
 

褐色森林土、黄色土、暗赤色土、赤色土

多湿黒ボク土、灰色低地土下層黒ボク

主要根群域の厚さ(cm)

          60以上  

主要根群域の最大ち密度(mm)

            22以下

主要根群域の粗孔隙率(%)

            10以上

主要根群域の透水係数(cm/秒)

            10-4以上

主要根群域の易有効水分含有率(%)

             5以上

腐植含有率(%)

  2以上  

  3以上

   5以上

pH(HO) 

           4.0~5.0

陽イオン交換容量(me)

  8以上

 12以上

  15以上

     
塩基状態
     

 

塩基飽和度(%)

             20~40 


塩基組成 

カルシウム、マグネシウム及びカリウム含有量の当量比が
  (65~75):(20~25):(2~10)であること

有効態りん酸含有量(mg)  

                 30~60

  1. 灰色低地土下層黒ボクは、作土にも黒ボク土が混入しているので、黒ボク土に分類した。
  2. 腐植含有率は、全炭素含有率に1.724を乗じて得た数値である。
  3. 陽イオン交換容量は、塩基置換容量と同義で、pH7における測定値を乾土100g当たりに換算したものである。
  4. 有効態りん酸は、トルオーグ法による分析値を乾土100g当たりに換算したものである。
  5. カリウム(K2O)の含有量は乾土100g当たり最低15mgとする。

(1)主要根群域の厚さ

 栽培圃場の選定に際しては、できるだけ有効土層の深い場所とする。植え付け前には、植穴または畦を中心に深耕を行う。この場合、深耕の効果を安定させるため、堆肥、わら等の有機質の土壌改良資材を投入する。
 既存の茶園のほとんどは侵食を受け易い傾斜地に分布しており、有効土層も浅い。したがって、既成園における土壌管理では畝間の深耕と有機物の施用などにより、根群域を拡大することが必要である。

(2)主要根群域の最大ち密度

 茶は果樹と同様に長期間にわたって同じ場所で栽培されるので、主要根群域の物理的性質の良否は生育に大きな影響を及ぼす。優良園は不良園よりも主要根群域が厚く、最高ち密度は20~24以下が多い。ち密度がこれ以上になると根の伸長は明らかに阻害される。
 

(3)主要根群域の粗孔隙率

 粗孔隙は、水で飽和した後の土壌から水が流出したために生じた孔隙、つまり、重力にさからっては水を保持することができない大きさの孔隙である。pF1.5の気相率で示すことが多い。
 粗孔隙量は根の伸長と密接な関係があり、粗孔隙量が一定の値よりも小さくなると根群の分布は急減する。茶園における主要根群域の粗孔隙率は10%以上が改善目標となっている。粗孔隙率は心土破砕や深耕、有機物の施用などによって、比較的容易に増大させることができる。
 

(4)主要根群域の透水係数

 排水不良な圃場では、根痛みや土壌病害の発生を招きやすいので、透水性の改善が必要となる。透水性は、土壌の物理性、特に粗孔隙率や地下水位の高さと密接な関係がある。
 透水性が悪い圃場では、圃場の周辺に明きょを施工して圃場内への過剰な水の流入を防ぐとともに、圃場内に暗きょの施工して透水性の改善を図る。
 

(5)主要根群域の易有効水分含有率

 易有効水分は、土壌に保持されずに下方に流れる重力水や、作物が吸収できないほど強い力で土壌に結合している水を除き、作物が比較的容易に吸収できる水分のことである。
 易有効水分含有率を高めるためには、 耕うん時に堆肥類およびベントナイトなどの保水性に富 む土壌改良資材を施用する。また、わら類や刈り捨て枝等で樹間の被覆を行い、有効水分の確保に努める。
 

(6)腐植含有率

 茶園は整枝くずなどが樹間に刈り捨てられるため、腐植含有率は一般に高い。 腐植が少ない土壌では堆肥やわら等の有機質資材を施用する。
 

(7)pH

 茶園では施肥量が多く、急傾斜地のために塩基の溶脱を受けやすい。このため、土壌pHが目標値以下のほ場が多い。しかし、茶は他の作物に比べてアルミニウム耐性が強いため、pHが低くても問題は少ない。ただ、マンガンの過剰吸収による障害事例も報告されているので、過度な土壌pHの低下には注意が必要である。
 

(8)陽イオン交換容量

 陽イオン交換容量が大きい土壌では、保肥力が大きく、濃度障害を受けにくくなる。茶園土壌は腐植が多いため、陽イオン交換容量は高い。しかし、腐植による陽イオン交換能は、土壌pHが低いと小さくなるため注意が必要である。陽イオン交換容量が小さい土壌では、有機物の補給や優良粘土の施用などを行う。
 

(9)塩基状態

 茶園では、前述のように、降雨による塩基の溶脱を受けやすいため、塩基含量の少ない土壌が多い。ポット試験の結果では、塩基含量が少ないと生育が抑制されているので、必要量を確保する。
 


image

(10)有効態りん酸含有量

 土壌に施用されたりん酸は、アルミニウムや鉄と結合して移動しにくくなる。また、施肥量が多いため、りん酸が蓄積している圃場は多い。茶は他の作物と異なり、アルミニウム型りん酸も吸収利用できるため、りん酸欠乏症は生じにくい。りん酸蓄積土壌では施肥りん酸の利用率が低下するため、コスト低減や環境負荷の低減などの観点から過剰なりん酸施用を控えることが必要である。
 




メルマガ・LINE登録

keyboard_arrow_down

メルマガ・LINE登録

ここに誘導する文章などが表示されます。
文章などが表示されます。文章が表示されます。
QR CODE

PAGE TOP