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4.栽培技術(オリエンタルハイブリッドユリ)

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こうち農業ネット : 2012/10/28

1)球根の準備

ア.購入球根


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 国内球根は暖地産の養成球は8~9月頃から、一般的には北海道などでの養成球は10月中旬頃より入手可能(国内産球根の規格はオランダ産に準じる)。オランダ産は12月より入手可能。
 国内産球根は、入手後、すでにパッキング済みのものは、それを冷蔵。パッキングしてなければパッキングして冷蔵。
オランダ産球根は冷蔵球、冷凍球で入手できるので、冷蔵処理は必要ない。

オランダでの堀上げ車による球根収穫風景

 a.オランダ産球根


 a)球根規格


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オランダ産球根の荷姿

 

 

球根サイズ 1ケース入り球数
10~12cm 500球
12~14cm 400球
14~16cm 300球
16~18cm 200球
18~20cm 150球
20cm以上 125球

 

 オランダ産の球根規格は基本的には上記のとおりであるが、輸出商社や品種によって基本と違った入り数の場合がある。


 b)ターボ球

 りん片繁殖から球根生産するとき、春定植し秋にいったん掘りあげ、翌年の春に再度定植し、その年の秋に収穫して出荷する。
秋に掘りあげないでそのまま据え置くと、開花が早くなり、球根の充実が早くなるので、早く掘りあげることができる。そこで、以後の冷蔵処理も早くなり、通常の球根より早く入手でき、定植することができる。この球根のことをターボ球という。

 c)冷凍球

 冷凍処理は球根の長期貯蔵技術としてオランダで開発された。
 オリエンタルの球根は11月に収穫され、年内は冷蔵球で、1月以降は冷凍球にして輸出されるため、2月以降に入手する球根は冷凍球である。(2月のはじめの頃は冷蔵球であることもある)
 冷凍球は-1.5℃で貯蔵されるが貯蔵期間としては長いもので、9ヶ月くらいが限度で、それを超えると切り花品質の低下をきたす場合がある。(品種によって限度がもっと短いものがある)

イ.自家養成球根および切り下球根

 球根を掘り上げた後、腐敗球を除き、大きさによって分ける等の選別作業をする。その後、球根消毒をし、パッキングして、冷蔵処理。

2)パッキング処理

 木箱やコンテナ等に換気の小穴をあけたポリエチレン袋をはめ、その中に湿らせたピートやオガクズ等をパッキング資材として球根を重層する形で行う。その後、袋を閉じて包装する。パッキング資材の水分は重量の2倍程度の水分を含ませた状態とする。(強く握ってわずかに水がしみ出す程度)水分が多すぎると良くない。

3)冷蔵処理

ア.養成球

 カサブランカの場合、入手時期が早いと芽が動いていない場合が多い。一般的には、8月から9月初めに入手したものは(暖地産養成球)通常40~50日予冷(12~13℃)する。その後、本冷に移す。2℃で最低70日本冷する。定植までに期間があれば80日した方がよい。
 ただし、予冷の期間は40~50日と決まっているわけではなく、芽の伸びによって予冷期間を加減する。北海道産の球根などは入手時期が10月の中旬くらいになるが、そのころになると予冷をしなくても芽が伸びている場合が多い。その場合には、予冷は必要なく、本冷するとよい。2℃で70日以上。期間があれば80日くらいするとよい。
 予冷から本冷に移す場合にはいくつかの球根を割って芽の伸びを確認し、芽の伸び具合によって予冷期間を加減する。機械的に予冷期間は何日と決められないので、球根を割って確認してから本冷する。
 オリエンタルは低温要求量が大きいので、冷蔵期間が短くて、低温が不足すると生育に影響がある。

 


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鱗片を剥いで、それ以上剥げなくなったときの芽の状態。

左上:堀上げ時

右上:予冷中

左下:本冷前

イ.切り下球

 切り下球は12月~6月頃までに掘り上げたもので、充実しているものは利用できる。
 3月いっぱい迄(低温期)に掘りあげた球根は土壌中で予冷を受けており、予冷せずに本冷する。秋遅くまで保存したい場合、冷蔵では芽が伸びすぎるので、1~2℃で1ヶ月程度(4~6週間)本冷して球根の浸透圧を高めた後、冷凍(-1.5℃)する。冷凍処理は厳密な温度管理を必要とするため、信用できる業者に依頼した方がよい。自分でする場合は精度の高い冷蔵庫を必要とする。
 冷蔵(2℃)で長期間おくとかなり芽が伸びる。早くに掘りあげたものは冷蔵では秋遅くまでの貯蔵は無理なので、早めに植える。
 6月頃に掘りあげたものは、予冷をしてから本冷する。その方法は、暖地産養成球に準じる

ウ.プレ・ルーティング


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冷蔵庫に積み上げてルーティング

ルーティング中に芽が伸びる。


 高温期には定植床の地温が発根適温(9~13℃)を上回るため、球根を植え付けても上根がなかなか発生してこない。そこで、上根をうまく発生させるため、発根適温にした冷蔵庫に球根を入れ、発根を促す処理を行う。
 その方法は、解凍後、球根コンテナに薄く(1cmくらい)ピートモスを敷き、その上に球根を1列に並べ、その上にピートモスを被覆し、十分に灌水する。その後、発根適温に設定された冷蔵庫にコンテナを積み上げて2週間程度置き、芽(茎)を伸ばす。温度設定は解凍後の芽の伸び具合や、植え付けまでの期間によって調整する。
 球根を湿ったピートモスで覆うのは、球根の乾燥を防ぐとともに、芽を伸ばすのに必要な水分を供給するためである。
このようにすると、植え付ける頃には根の原基ができているので、植え付け後速やかに上根が発生してくる。

4)本ぽ

ア.定植準備

 ユリの連作ほ場では、夏季作物のない時には、湛水処理やビニルを早めに除き、雨水に当て、塩類除去を行う。
 完熟堆肥等の有機物資材を1ヶ月以上前から10a当たり3~5t施用し、pH調整のため苦土石灰等を入れ、よく深耕し、土となじませる。
 基肥は定植2~3週間前より有機質肥料や緩効性肥料等を10a当たり窒素、りん酸、加里各成分10~20kgを全面施用し、土壌とよく混和する。
 


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畦たて後、臭化メチル等で土壌消毒する。

イ.遮光

 オリエンタルは強い光を嫌うため、20,000~30,000ルクス程度がよいとされている。一般的には低温期には遮光しないが、葉やけしやすい品種は伸張が盛んな時期には、低温期でも遮光する。

 


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遮光は、高温期の地温低下や草丈の伸張にも効果がある。高温期に定植する作型では、あらかじめ遮光をして地温を下げておく。(遮光率70~80%)
 また、遮光の期間が長すぎると、軟弱になって品質が低下するので必要以上にはしない。
遮光には一般的には黒やシルバーの寒冷紗を用いる。遮光率は栽培時期、生育ステージにより30~80%程度にする。

ウ.定植

a.栽植密度

畦幅180cm(ベッド幅120cm、通路60cm)の場合
 カサブランカ:

  株間18cmの4条植え:40球/坪

 ルレーブ、ゲーザー等の小型種

  株間16cmの8条植え:80~90球/坪

 アカプルコ、マルコポーロ等の中型種

  株間16cmの6~7条植え:60~80球/坪

同じ品種でも球根サイズが異なると定植球数が異なる。

 b.球根の深さ

 上根は球根の上部1cmくらいのところから出て、土壌の表層部に横に張る。植え付けが浅いと、上根が地上部に出て生育が悪くなるので、覆土が7~10cmくらいになるよう深めに植える。

 c.高温期の定植

 


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ルーティングしたものを納屋などで外気にならす。
コンテナから箱に移す。芽をおらないよう注意して作業する。
 


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定植作業

溝を切りながら覆土する


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定植後、敷きわらする。

定植後、芽が伸び出した様子。


 高温期には定植床の地温が発根適温(9~13℃)を超えるため、発根のための処理(プレ・ルーティング)を行った球根を植え付ける。
プレ・ルーティングを行った球根は、定植の前日に冷蔵庫から出して納屋など涼しいところで外気にならしておく。出した後コンテナに灌水しておく。
この処理をしたものは芽(茎)が伸びているので、折らないよう注意して植え付ける。
作業は、日中をさけ朝夕の涼しい時間に行い、定植後は十分に灌水する。
定植後、地温上昇を防ぎ、乾燥防止のため軽く稲わらでマルチする。厚くしすぎると病害虫の発生のおそれがあるので注意する。

エ.温度管理

 生育適温は昼温は22~23℃、夜温は15~18℃(ルレーブやマルコポーロなど品種によっては12~13℃)。昼夜の温度差は10℃以内に管理する。

オ.ビニル被覆

 10月上中旬にビニルを張るが、サイドは落とし、夜間の温度が12~13℃以下になる  と加温の準備をする。11月下旬~12月上旬になれば二重被覆する。

カ.灌水・追肥

 オリエンタルは定植後約1ヶ月間は、ほとんど養分を吸収しない。この間は母球の貯蔵養分を消費して茎を伸張させ、根群を発達させる。従って、この時期には土壌中に肥料分が多くあっても、ほとんど利用されない。  
 また、この時期には茎を伸ばすために灌水量も非常に多いので、土壌から溶脱される肥料分も多くなる。
 このようなことから、基肥は控えめとし、生育に応じて追肥を行うのがよい。上根が発達するとともに、茎葉の生育も旺盛になる。また、上根は土壌の表層部に横に張るので、追肥を行うとき、一度に多量に施用すると大事な根を傷める原因になるので注意する。

キ.生育障害

a.葉やけ


 葉やけの発生のメカニズムは不明だが、葉やけの直接的な原因はカルシウム不足で、欠乏により葉の細胞が破壊されるために生じるものと考えられている。ユリ類においてカルシウムは葉に特異的に吸収の多い元素で、しかも発蕾前は吸収量も多い時期であるため、吸収がスムーズに行われない場合に、障害を生じやすいものと考えられる。
 葉やけは上根の発達が不十分で茎葉の発達が急速なとき、特に発蕾前に起こりやすい。 また、施設内の相対湿度が急激に低下するときにも生じやすいことから、蒸散量と吸水量のアンバランスによって生じるものと考えられている。このため、葉やけを防ぐには、定植後地温を発根適温に保ち、上根の発生を促し、発生しやすい生育ステージや気象条件の時には、蒸散を抑える管理をすることが重要である。
 葉やけは大球ほど発生しやすいが、これも地下部の発達に比べ地上部が発達しやすく、水分バランスをくずしやすいからである。
 超促成や抑制の作型では、温度が高いことに加えて、使用される冷凍球は節間伸張が非常に良いため、地下部の発達に比べ地上部の発達が非常に大きい。そこでこの作型では葉やけの発生が多い。11月頃でも葉やけしやすい品種は葉やけするので、遮光や葉水などこまめな管理をする必要がある。
 スターゲーザー、アカプルコ、ルレーブ等が葉やけしやすい品種である。ルーブルは小球ではあまりしないが、大球では葉やけしやすい。
 葉やけ以外に、スミ症等あるがまだ、はっきりした原因や対策はわかっていない。

 b.スミ症

 花蕾の周辺葉を除く下位から上位間での葉に発生し、葉脈ぞいに筋状に黒変する。発生は畦の通路側および南面のサイド側に多い。発生のステージは発蕾時期からが多い。
原因はまだ明らかではないが、多肥や乾燥が重なると発生が助長されると思われる
 


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