グリーンフォーカス 令和4年1月号
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高知県GAP第三者確認制度を活用したGAPの取り組み ~JA高知県れいほく園芸部~
- 取組の背景
JA高知県れいほく園芸部は、これまで環境保全型農業による地域のブランド化を目的の一つとして、ISO14001嶺北版(以下ISO)の自主運営を行ってきましたが、全国的な動きに対応したブランド力の強化に向け、平成29年から、農林水産省ガイドラインに準拠した高知県版GAPに取り組みを移行しました。
平成30年に高知県GAP第三者確認制度(以下確認制度)が制定されたことから、オリンピック・パラリンピックへの食材提供を目指し、令和元年度に、当制度の確認登録を受け、GAPへの取り組みを続けています。
- 令和3年度までの活動内容
1 推進体制の整備
GAPへの取り組みを、ISOから引き続き園芸部の活動として行うことから、JA等関係機関と園芸部で組織する園芸戦略推進会議品質管理向上チームの活動に位置づけました。
また、活動内容はJAと普及の担当者で毎月行っている営農連絡会で検討しました。
2 農家の取り組み推進
GAPの意味や必要性について農家の理解が深まるように、基礎項目は全体研修会で、また、取り組みの徹底が必要な項目については部会ごとの研修会で確認しました。継続した意識啓発としては地域独自の広報紙「GAP通信」の発行や、JA広報紙地域版への記事掲載による広報活動を行いました。
また、高知県版GAPは取り組み項目が69あり、自己点検の取り組みが進みづらかったことから、自己点検用のシートに改良を加え、点検を時期別に対応させたり、イラストを多用して文字数を少なくするなど、見やすさを工夫した嶺北版をJA担当者とともに作成しました。平成29年に作成したこのシートは農家の意見を聞きながら、その後も改良を続け、記入や回収・確認についても部会活動と一体で行うことで、農家の負担を減らすようにしました。
3 確認制度事務局支援
事務局を担うJA営農担当者とともに、団体で運用していく農場と団体事務局のマニュアルを作成し、毎年見直しました。また、内部点検の方法については、ISOの取り組みで行ってきた農家主導の一斉環境点検とJAによる農家巡回指導を組み合わせ、より効率的に行えるように、点検様式や体制を整えました。
- 活動の成果
自己点検を中心としたGAPの取り組みが園芸部の活動に位置づき、事務局体制も確立できたことから、令和元年度に確認制度の申請を行いました。県の調査を受け、3部会76名が県下で初めて登録されました。その後、令和2年度に更新、令和3年度には2部会が新たに加わり、5部会86名にまで拡大しました。
確認制度の登録および更新のための調査は年1回行われることから、この調査での指摘事項を共有し、園芸部全体の改善につなげてきました。この結果、令和3年度には調査農家のうち1名で指摘事項が全くない状態に至りました。
園芸部役員の農家からは、産地の信頼性をPRできる手段として活用していきたいという声が聞かれるとともに、新規就農者からは指導や確認を受けることで、農業経営のうえで気をつけなければならないことがわかってありがたい、という声も聞かれるなど、取り組みは評価されています。
- 今後の展開
GAPは、高齢化でよりリスクが高まる労働安全への意識向上や、新規就農者の定着や技術向上につながり、ひいては産地の維持・発展にもつながる取り組みです。確認制度を活用することで、産地のブランド力維持につなげるとともに、GAPへの理解をさらに深め、園芸部全体でのGAPの取り組みの継続とレベルの向上に取り組んでいきます。


広報誌「GAP通信」


確認制度調査の様子

確認制度の確認証を持つ園芸部長とJA事務局担当


内部点検の様子
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