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購入できるカブリダニ類の生態と特徴

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高知県農業技術センター : 2019/08/08

 カブリダニ類は様々な作物で利用されている天敵です。その種類は数多く、捕食できる害虫や利用可能な植物など性質も様々です。ここでは、天敵製剤として販売されている主要なカブリダニ類4種の生態と特徴を紹介します。


 スワルスキーカブリダニ Amblyseius swirskii Athias-Henriot

 成虫の体長は0.3mm、体色は淡い黄色。卵は大きさ0.15mm程度の乳白色で植物の葉裏にある毛の先端などに好んで産卵する。コナジラミ類の卵・幼虫やアザミウマ類の1齢幼虫をよく捕食する(自分より体の大きいアザミウマ2齢幼虫や成虫は捕食できない)。高温多湿を好み活動適温は28℃、低温には弱いため厳寒期には活動が低下する。餌となる害虫がいないときでも植物の花粉を食べ生き延びることができるため、花粉が多いピーマンなどと相性が良い。一方、トマトではトマチンという分泌物質を嫌うため利用が難しい。


スワルスキーカブリダニ スワルスキーカブリダニ 卵

    スワルスキーカブリダニ成虫                  卵


 大きさ  成虫=0.3mm、卵=0.15mm
 体色  成虫=淡黄色、幼若虫=乳白色、卵=乳白色
 活動条件  最適温度=28℃ (15~35℃、高湿度を好む、低温期は活動が低下する)
 寿命  35日(卵~成虫=約5日、成虫期間=約30日 (温度26℃) )
 捕食対象害虫  コナジラミ卵、1齢幼虫、ミカンハダニ、チャノホコリダニ
 アザミウマ1齢幼虫 (大きな幼虫や成虫は捕食できない)
 適用作物    施設栽培

 野菜類・豆類(種実)・いも類・果樹類

 花き類・観葉植物

 ※露地栽培  野菜類・豆類(種実)・いも類 

 ※放飼後の厳寒期の月平均気温が10℃を下回る地域に限る

(土着種ではないので、露地で越冬しない温度条件を満たす地域限定)


ミヤコカブリダニ Neoseiulus californicus McGregor


ミヤコカブリダニ

 
 日本土着のカブリダニで果樹園などで見ることができる。成虫の体長は0.35mm、体色は透明(捕食した餌の色で変化する場合がある)で背中にオレンジ色のX字模様がある。
 ナミハダニ、カンザワハダニ(Tetranychus属)やミカンハダニ(Panonychus属)など幅広い種類のハダニ類を捕食する。アザミウマやコナジラミを捕食するという報告もあり同時防除にも期待できる。また、スワルスキーと同様に植物の花粉も食べることができる。飢餓耐性が高くハダニの発生前に放飼すると、ハダニを待ち伏せて捕食できるため効果が高い。

大きさ 成虫=0.35mm、卵=0.15mm
体色 成虫=透明(背中にオレンジ色のX字模様がある)、幼若虫=乳白色、卵=透白色
活動条件 最適温度=28℃ (12~35℃、高湿度を好む、低温期は活動が低下する)
寿命 27日(卵~成虫=約6日、成虫期間=約21日 (温度25℃) )
捕食対象害虫 ハダニ類(ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニなど)
アザミウマ幼虫やコナジラミ幼虫なども捕食することが報告されている。
適用作物 施設栽培 野菜類・果樹類・豆類(種実)・いも類・茶・花き類・観葉植物
露地栽培 野菜類・果樹類・豆類(種実)・いも類・茶

チリカブリダニ  Phytoseiulus persimilis Athias-Henriot


チリカブリダニ

 
 成虫の体長は0.45mm、体色は赤橙色、卵は乳白色。ナミハダニ、カンザワハダニなどTetranychus属のハダニのみを捕食する。ナミハダニと外見は似ているが、ミカンハダニ(Panonychus属)は捕食しないので注意が必要。ハダニ卵の捕食量はミヤコカブリダニの3倍程度あり、ハダニの密度を素早く減少させる。しかし、花粉やその他の害虫を捕食しないため、餌となるハダニを食い尽くすとその後チリカブリダニもいなくなる。

 大きさ  成虫=0.45mm、卵=0.2mm
 体色  成虫=赤橙色、卵=乳白色
 活動条件  最適温度=28℃ (12~30℃、低温期は活動が低下する)
 寿命  36日(卵~成虫=約6日、成虫期間=約30日 (温度25℃) )
 捕食対象害虫  ナミハダニ、カンザワハダニ(Tetranychus属のハダニ)
 ミカンハダニ(Panonychus属)は捕食しない。
 適用作物   施設栽培  野菜類・豆類(種実)・いも類・果樹類・花き類

リモニカスカブリダニ Amblydromalus limonicus (Garman & McGregor)


リモニカスカブリダニ

 成虫の体長は0.3mm、体色は透白色。卵は大きさ0.15mm程度の乳白色。コナジラミ類の卵・幼虫やアザミウマ類の幼虫を捕食する。性質はスワルスキーと似ているが、アザミウマ2齢幼虫も捕食することができ、スワルスキーよりやや低温に強い。反対に高温には弱く、30℃以上になると活動が低下する。

 大きさ  成虫=0.3mm、卵=0.15mm
 体色  成虫=透白色、卵=乳白色
 活動条件  最適温度=26℃ (10~30℃、高湿度を好む、低温期は活動が低下する)
 寿命  35日(卵~成虫=約6日、成虫期間=約30日 (温度26℃) )
 捕食対象害虫  コナジラミ卵、1齢幼虫
 アザミウマ幼虫 (成虫は捕食できない)
 適用作物   施設栽培  野菜類

特性比較表


特性比較表





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