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グリーンフォーカス 令和6年3月号

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安芸農業振興センター 農業改良普及課・室戸支所 : 2024/03/01

室戸市日南・大平地区集落活動センター「ひなたぼっこ」における‘ぼたなす’の生産振興


  • 取組の背景

 室戸市日南・大平集活活動センター「ひなたぼっこ」は令和元年8月に設立され、地域の活性化に取り組んでいます。その中でも「ひなたぼっこ」が取り組む伝統野菜‘ぼたなす’の振興は事業の核となっています。‘ぼたなす’とは、室戸市日南地区で古くから栽培されてきた大型のナスです。いつから作られていたのか、どこから伝わってきたのか、不明なことだらけのミステリアスなナスですが、良食味で地元の評判は非常に良いです。しかし生産者の高齢化によって栽培面積は年々減少し、種の存続が危ぶまれたことから安芸農業振興センター農業改良普及課室戸支所では平成30年から伝統野菜‘ぼたなす’の振興を支援しています。
                                      



写真1

伝統野菜‘ぼたなす’

  • 活動内容

1)活動体制の整備
 安芸農業振興センター農業改良普及課室戸支所、室戸市および高知県計画推進課安芸地域地域支援企画員とひなたぼっこで推進チームを整備しました。


2)種の保存
 日々の巡回中に日南地区の生産者から「昔のぼたなすはもっと丸かった、細長い形に変わってきている」という声がありました。地区内では生産者が各々で自家採種しており、近くで長ナスなどの他品種のナスも栽培されていたため、交雑によって形質が変わっている可能性がありました。
 そこで、令和4年からひなたぼっこが管理するほ場で生産者を集めて、ぼたなすを守るための現地検討会を開催しました。現地検討会では、昔ながらのぼたなすの形に近いナスを選定し、開花直後の花に被覆して他のナスと交雑しないようにしました。また、採種の際には講習会を開催して技術指導しました。


3)生産者の確保
 日南地区のみの生産では、高齢化によって生産者が減少し、ぼたなす生産の存続が危ぶまれました。実際に令和2年に9戸だった生産者は令和4年には7戸に減少していました。
 そこで、栽培地域を日南地区から室戸市全域に拡大して生産者の確保に取り組みました。令和5年からは、日南地区で採種された種子から生産されたぼたなすを‘ぼたなす’として出荷できるようにルールを定めました。また、初めて栽培する人にも分かるように栽培技術マニュアルを作成し、現在は動画版のマニュアルも作成中です。令和5年には室戸市佐喜浜町を中心に栽培希望者を集めた説明会を開催してルールや栽培技術について共有しました。


写真2 佐喜浜町での栽培指導

佐喜浜町での栽培指導


4)集出荷事業への誘導
 栽培が拡大して生産量が増加していく中で、主な販路が直販所のみのため販売先が少なく困っていました。もっと栽培株数を増やす意向はあるのに、販路がなくて諦めている生産者もいました。
 そこで、ひなたぼっこが集出荷を担い、生産者からぼたなすを買い取る仕組みを提案しました。買い取ったぼたなすは、定量出荷や販路拡大を行い、生産者の所得向上につなげていく予定です。集出荷事業開始のために出荷規格や販売単価を設定し、それらをひなたぼっこ役員や生産者へ説明して合意形成を図りました。


写真3

ひなたぼっこ役員を交えた関係機関定例会


  • 活動の結果

1)活動体制の整備
 定期的に打合せすることで関係機関と連携し、情報の共有や進捗状況を確認できました。


2)種の保存
 ひなたぼっこ役員や室戸市集落支援員を中心に採種株を選定して昔のぼたなすに近い形を生産者や関係機関で共有し、令和5年度から他品種のナスとの交雑を減らした採種に取り組む仕組みができました。


3)生産者の確保
 栽培地を室戸市全域へ拡大することで、令和5年度の生産者は17戸になりました。令和6年度には、さらに栽培株数を増加する生産者もいました。


4)集出荷事業への誘導
 集出荷組合の発足が決まり、令和6年度からひなたぼっこが集出荷事業を開始することとなりました。定期的に出荷実績や販路について関係機関と協議する場も設けることとなりました。


  • 今後の展開

 種の保存、生産者確保や集出荷事業によって、ぼたなすの生産拡大、ぼたなす生産者やひなたぼっこが所得向上できるように支援していきます。また、栽培技術の向上や集出荷の仕組みの再検討によってぼたなすで営農できるモデルを作成して、担い手を呼び込む土台を構築します。




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