グリーンフォーカス 令和5年3月号
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ユリ出荷調製作業効率化(カイゼン)の取り組み
- 地域の現状と取り組みの背景
嶺北地域は標高250~900mの中山間地に位置し、冷涼な気候を生かしてオリエンタル系ユリ、トルコギキョウ等花きの夏秋期出荷を主体とした栽培が行われています。
花きの出荷調製作業は労働時間の多くを占めますが、新規就農者がオリエンタル系ユリの出荷調製にかかる時間はベテラン農家に比べて長くなっています。そこで、新規就農者の調製時間短縮に向け、カイゼンの手法を用いて支援しました。
- 活動の内容
新規就農者が収穫した花を選別して束を作り、スリーブに入れるまでの調製作業の細かな作業内容を動画撮影と聞き取りによって稼働分析しました。ベテラン農家の作業についても同様に分析して新規就農者と比較し、効率化につながる作業内容を検討しました。
- 活動の結果
(1)作業比較結果
新規就農者とベテラン農家の作業映像を比較すると、選別を除く調製作業時間は新規就農者:55秒/1束、ベテラン農家:26秒/1束で、約30秒の差がありました。以下の2つの工程で大きな違いが見られました。
1)調製後に5本の花束を作成する工程で、新規就農者は花を一度作業台に置き、5本たまった後に持ち上げて結束していました。一方ベテラン農家は片手に調製後の花を持ったまま作業し、作業台に置かずに結束していました。
2)ベテラン農家は1人で作業していましたが、新規就農者は仕事を工程で分けて分担していたため、ハサミの持ち替えや移動の時間がかかっていました。
(2)カイゼン案の検討
ベテランのやり方を取り入れ、作業手順を変更した改善案を立てました。身体負担の大きさを考え、ハサミを使う手の負荷が低いパターンの案も用意しました。
図1:作成した改善案
(3)カイゼン案の試行
普及職員が模型を使って改善案を試行して、効果を測定しました。
写真1:カイゼン案を試行する普及職員
改善前の手法では1束40秒必要でしたが、改善案(1)では36秒、改善案(2)では34秒となり、10~15%の削減となりました。調製作業時間の削減により、防除や栽培管理など他の作業に割り当てられる時間が増え、品質向上、販売額増加が期待できます。
図2:カイゼン試行結果
- 今後の展開
次作で新規就農者に改善案を試行してもらい、効果を確認する予定です。また、本事例を他の花き生産者に部会等で周知し、作業カイゼンの考え方を普及させていきます。
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