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「農福連携と安芸地区での取り組みとこれから」

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安芸農業振興センター 農業改良普及課・室戸支所 : 2021/11/17

 農福連携の現状や安芸地区での状況等について、令和3年7月9日に開催した「農福連携高知県サミットinあき」での講演を引用してご紹介します。サミットではJA共済総合研究所の濱田健司主席研究員、「こうち絆ファームTEAMあき」(多機能型事業所)、雇い入れ農家(長野久氏)による講演や体験談等がありました。

 全国では、農福連携の様々な形態の取り組みが行われています。濱田先生からは、その幾つかについて紹介がありました。ナシやブドウの生産を行うとともに、撤退したスーパーを利用した産直市の運営を行う福祉法人。農業者等と社会福祉法人等とのマッチングを行う社会就労センター。多くの障がい者を雇用し、葉物の養液栽培を行う農業生産法人など、いずれも農福連携により障がい者等の就労機会の創出とともに、経営面積の拡大や売上増に繋がっています。

 一方、安芸の「こうち絆ファーム」では、協力農家から集めたナスを利用者が袋詰めするとともに、所有ハウスでのナスやオクラの収穫作業や袋詰めを行っています。
 令和2年の事業所立ち上げから利用者、協力農家ともに増加し、現在35名の障がい者等が利用しています。
 また農家(7月現在18戸)が障がい者等を直接雇用したり、JAの集出荷場(同4場)でも働いています。

 障がい者等が農作業を行う場合のポイントとして、作業を切り分けて単純作業を行ってもらう、指示を一つずつ行う、などが上げられますが、長野さんも「葉かきや芽かきなど出来ることを少しずつやってもらっている」とのことで、その結果「自分の労働時間が減った」と以前に述べられていました。
 また障がい者等への接し方として、ストレスを与えない声かけや対応が重要と言われており、「ワンパターンの仕事では疲れるため、長めの休憩を取ってもらっている」、「暑いなら帰って良いよとの声かけを行っている」との話がありました。実際には、「暑いき」と言って帰った例もあったようで、講演では面白く話していましたが、農家としては正直大変だと思います。仕事の出来映えに期待するのは当然ですが、「作業の細かい要求はしない」、「右腕を育てようとは思っていない」、「自分の仕事の50%程度と考えている」とも述べており、農家が余裕を持ち、期待しすぎないという事も大切だと感じます。
 また長野さんの体験談では、福祉の関係機関やJAの就労支援サポーターに間に入ってもらい、直接言いにくいことを聞いてもらったり、丸投げして作業を指導してもらうこともあり、助かっているとの話もありました。関係機関が連携し取組みを行ってる安芸ならではの成果だと思います。

今後の課題
 濱田先生によれば、現在日本には、障がい者、生活困窮者、ひきこもり、シングルマザー、高齢者などを含めると、困難を抱える人は5000万人にもなるそうです。講演では、農業生産と加工、クラフトビール製造、レストラン経営、グループホームなどを運営し、地域の障がい者や農業を支えるとともに地域住民のコミュニティーの場や観光拠点にもなっている例がありました。今後も農福連携が様々な連携に発展し、元気な地域を造っていくことが地域の雇用創出にも繋がリます(課題)。

 振興センターでは、関係機関と協力しながら、一歩ずつ農福連携の取り組みを検討・推進していきます。


2021年7月9日

↑写真:農福連携高知県サミットinあき(令和3年7月9日)




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