県内で発生するカイガラムシ類
>> ホーム >> 県内で発生するカイガラムシ類
カイガラムシ類は外見や生態が多種多様です。ここでは高知県内で発生するカイガラムシ類の害虫のうち一部の写真や生態を掲載します。
ナスコナカイガラムシ


雌成虫 雌成虫と幼虫
雌成虫は、体長2~5mm、体色は橙褐色で、白色粉状のロウ質物で覆われている。雌は3齢幼虫を経て成虫となる。雄は見られず単為生殖を行う。
主に葉や茎に寄生して吸汁し、排泄物にすす病が発生して茎葉や果実を汚す。発生が多くなると、吸汁による生育不良や、すす病による光合成の阻害や品質の低下といった被害を及ぼす。
寄主範囲が広く、ナス科、キク科、ショウガ科など多くの作物の他、さまざまな観葉植物類、果樹類、樹木類、雑草類などに寄生する。
マデイラコナカイガラムシ


雌成虫 卵のう
雌成虫は、体長3~5mm、体色は黄褐色~灰緑色で、白色粉状のロウ質物で覆われている。ナスコナカイガラムシと似ているが、尾端の突起が長い点で見分けることができる。雌は3齢幼虫を経て成虫となるが、雄では2齢幼虫のあと、前蛹、蛹を経て成虫となる。
被害症状はナスコナカイガラムシと類似する。
クロテンコナカイガラムシ
雌成虫 雌成虫と幼虫
雌成虫は体長は3~5mm、背面に白色のロウ質物を分泌するため、全体としては白く見えるが、ロウ質物は一部が薄くなるため、2対の黒斑があるように見えることが特徴。成虫はワタ状のロウ質物の卵のう内に平均で350 個程度産卵する。雄成虫は1対の翅を持つ。
海外からの侵入害虫で、高知県内では平成29年に施設栽培ナスで初めて発見された。国内では、ナスの他にトマトやヒマワリなどで発生が報告されている。
- かんきつで問題となるカイガラムシ類
ヤノネカイガラムシ



雌成虫 雄幼虫 寄生された雌成虫
雌成虫は体長約3mm、雌は成虫、雄は幼虫主体で越冬する。1雌当たりの産卵数は約150個で孵化直後の雌幼虫はしばらく歩行し、新葉や枝などに定着する。雄幼虫は母虫の近くに集団で定着する。
ヤノネキイロコバチ、ヤノネツヤコバチという天敵がおり、寄生後の脱出腔(右の写真、雌成虫の中央付近の穴)がしばしば確認される。
県下では年3回発生する。第1世代は5月上旬頃から発生し、5月中下旬にピークとなる。第2世代は7月下旬頃から発生し、発生のピークは8月中下旬である。第3世代幼虫は9月頃から発生するが、発生量は少ない。
イセリヤカイガラムシ


雌成虫 幼虫群
雌成虫の体長は4~6mmで綿状の卵のうを形成する。越冬は幼虫で行われ、年2~3世代を経過する。産卵は約1カ月にわたって行われ、200~600個を産卵する。ふ化幼虫は歩行して若葉や新梢に寄生し、成長すると枝などにも移る。ふ化から40~60日で成熟し、産卵を始めるようになる。
高知県内では年3回発生し、第1世代は5~6月、第2世代は7~8月、第3世代は10~11月である。
幼虫および成虫が幹、枝、葉裏に寄生して樹液を吸汁するため、木を衰弱させる。また甘露を分泌してすす病を誘発して、葉や果実を汚し、果実の品質低下や同化作用を妨げる。
ルビーロウムシ

枝に寄生する雌成虫
雌成虫の体長3~4mm、年1回発生し、雌成虫で越冬する。通常、1齢幼虫の初発時期は高知市で6月上旬頃である。幼虫の発生期間は約1カ月間。ふ化幼虫は歩行あるいは風に飛ばされて分散し、枝に固着する。固着した幼虫は2、3日後からロウ物質を分泌しながら成長し、8月下旬から9月中下旬頃に成虫になる。
ツイート