昆虫担当
>> ホーム >> 昆虫担当
昆虫担当では、農作物の安定生産および品質向上のために、各種害虫の生態解明と防除に関する研究を行っています。近年では、薬剤散布の省力化や薬剤に抵抗性をもった害虫への対策として、天敵昆虫や防虫ネットなど様々な防除方法を活用した総合的な防除体系の確立を目指しています。

<業務内容>
1.各種害虫の発生生態の調査
2.生物的防除法(天敵昆虫・微生物など)、化学的
防除法および物理的防除法を組み合わせた総合的
害虫管理技術の確立
3.省農薬・省力防除技術の推進
4.害虫に関する発生予察
令和7年度試験研究課題
(1) 土着天敵を基幹とした施設ピーマンのナスコナカイガラムシの防除体系の確立(R7~R8)
施設ピーマンのナスコナカイガラムシに対して、これまでの研究で栽培終了時のキルパー処理とヒメカメノコテントウのバンカー法を中心とした総合的防除体系が有効であることを明らかにした。しかし、大規模養液栽培ほ場等では、これらの防除技術が利用できない場合があり、新たな防除技術の開発が求められている。
そこで、施設ピーマン類のナスコナカイガラムシに対して、土着天敵である寄生蜂(A.californicus)を基幹とした防除体系を確立し、その防除効果を明らかにする。
(2)ニラフシダニ(仮称)の発生生態の解明と防除対策の確立(R7~R9)
令和5年に県内の施設ニラほ場において、葉に水疱状の隆起が形成されたり、葉が湾曲、奇形化するなどの症状がみられ、これらの被害株にニラフシダニ(仮称)が寄生していることが確認された。ニラフシダニ(仮称)の体長は約0.2mmと非常に小さく、発生初期の症状は目視では分かりにくいことから、被害の拡大が懸念されている。しかし、ニラフシダニ(仮称)は新たに確認された害虫であり、発生生態や侵入経路および防除方法が明らかになっていない。
そこで、ニラフシダニ(仮称)の発生生態を解明するとともに、薬剤防除や物理的防除について検討し、本種に対する防除技術を開発する。
(3)施設果菜類における有機栽培技術の開発(R6~R8)
これまでナス、ピーマン類などにおいて、天敵を基幹とした総合的害虫管理体系が確立されているが、天敵での防除が困難な一部の害虫については、化学合成殺虫剤による防除が行われており、有機JAS水準を満たす栽培体系にはなっていない。
そこで、施設果菜類の総合的病害虫管理体系のなかで使用されている化学農薬による防除を新たな物理的、耕種的、生物的防除技術や有機JASに適合する農薬・資材に転換し、有機JAS水準の栽培技術を開発する。
(4)中山間傾斜茶園における有機栽培技術の確立(R5~R9)
茶の有機栽培については、本県の様な中山間地の急傾斜茶園での安定的な栽培技術は確立されていない。そのため、本県の生産者は、有機栽培の取り組みには不安を持っており、指針となる栽培技術の開発が求められている。また、輸出を希望する生産者も、有機栽培について関心をもっている。
そこで、有機JASの規格に準拠した肥培管理、病害虫防除法を検討するとともに、収量性、摘採茶葉の品質を明らかにし、本県の中山間傾斜茶園における有機栽培技術を確立する。
(5)病害虫に対する新農薬の効果検定試験(S60~)
本県の主要病害虫に対する新農薬の防除効果および作物に対する影響等を検討するとともに、防除対策を確立するための資料を得る。
(6)突発性病害虫、成育障害等の原因究明と対策(H11~)
迅速な原因究明と応急対策技術を策定し、被害の拡大や現場での混乱防止を図る。また、課題化に向けた基礎的データを得る。
ツイート