新しい病害虫 VOL.6 黒点根腐病
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病害虫防除所 : 2013/06/18
黒点根腐病
病原菌名:Colletotrichum atramentarium
発生作物:ナス(米ナス、小ナス)
写真1:発病株
発生経過
平成18年5月に高知県中西部の雨よけ栽培の米ナス、小ナスで、下葉の黄化や株の萎凋が発生しました。高知県農業技術センター生産環境部において調査をしたところ、本県ではこれまで発生が確認されていないColletotrichum atramentariumによる黒点根腐病でした。県内で本病の発生が確認されているのは、今のところ同地域だけです。
病徴
初めは下葉から黄化し、その後生長点部分以外の株全体が黄変萎凋して、生育が著しく悪くなり、さらに病勢が進むと枯死します(写真11)。株は根及び地際部が侵され、罹病した株の主根には、褐色から淡褐色のひびわれたような病徴を生じ(写真12)、やがて多数の小黒点(剛毛を伴う分生胞子層)が形成されます(写真13)。そして、そのまわりの細根は淡褐色に腐敗し、脱落します。
病原菌の形態・性質
糸状菌の1種で不完全菌類に分類され、PDA培地上では白色の菌叢を形成し、のちに黒色の分生胞子層を散生します。生育適温は20~28℃で、ナス科植物に病原性があり、ナス以外ではトマト、ピーマンの黒点根腐病やジャガイモの炭疽病が知られています。
伝染
罹病した根などの残さや有機物などとともに土壌中で生存、越年し、分生胞子等により伝染します。
写真2:根の症状
写真3:根の黒点)
防除対策
- 発病株は今後の伝染源となることから、できるだけ土壌中へ残さないように丁寧に除去し、ほ場外へ出す。
- 発生が見られたほ場では土壌消毒を行う。また、ナス科以外の作物との輪作あるいは他科作物への転作を行う。
平成19年3月作成
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