果樹カメムシ類参考資料
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病害虫防除所 : 2012/10/18
スギ・ヒノキの花粉量とカメムシの発生量の関係
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県下10ヶ所合計(東部:室戸・安芸、中央部:土佐山田・本山・高知・佐川、中西部:須崎・窪川、西部:中村・土佐清水)
上のグラフで『大発生』とある時期は、 テレビ・新聞等でカメムシの大発生が大きく報じられた時期と一致します(H3秋~4春、H7秋~8春)。このように、春に花粉が極端に多かった年の秋や翌年春に、カメムシ類が多発する傾向にあります。
果樹カメムシ類の大まかな生態
果樹カメムシ類の寿命は約1年で、年1回(夏)だけ主にスギ、ヒノキの果実(毬果)に産卵し、それをエサとして大きくなります。
毬果の結実量はその年に飛散した花粉の量と比例することから、春(1~5月)にスギ、ヒノキの花粉飛散量が多ければ、毬果も多く、それをエサとして繁殖する果樹カメムシ類が多くなる傾向が見られます(下図参照「花粉量とカメムシの発生量の関係」)。
花粉量とカメムシの発生量の関係
ただ、翌年の春の越冬量は冬季の気象に左右されるため、暖冬で推移した年は凍死数も少なく越冬量は相対的に多くなることが予想されます。
平均、最低気温:
高知市の前年12月~当年2月末までの平均、最低気温。
例:20=平成19年12月1日~平成20年2月29日の平均気温
スギ、ヒノキ花粉の多い年は、その年の秋の果実(カキ、ナシ、カンキツ等)被害に注意し、なおかつ暖冬で推移した年は翌春の果実(ビワ、ウメ、日向夏、カキ幼果等)被害に十分注意してください。
ライトトラップに集まった果樹カメムシ類の大群
(平成7年秋、三原村、高井幹夫氏撮影)
カキ被害果数による発生密度の推察
カキ園で見られるチャバネアオカメムシ
現在高知県で経済栽培されている中で、カキは果樹カメムシ類の被害を最も受けやすい果樹です。カキ園での被害状況を見ることで、他の果樹(ナシやカンキツ類など)の防除要否の目安になると思われます。
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県中央部4ヶ所カキ園平均(香南市香我美町山北、同山南、春野町弘上、同弘下)
データの利用と防除について
果樹カメムシ類の吸汁害にあったカキ果実
以上のことから、果樹種別に果樹カメムシ類対策を行う場合、以下の表を参考にしていただければ幸いです。
収穫時期 | 果樹種 | 春 | 夏~秋 | 秋 | 冬 | 春 |
初秋~秋 | カキ・ナシなど | 花粉飛散状況 | フェロモントラップ誘殺数 | |||
実際の防除 | ||||||
秋~冬 | カンキツ類など | 花粉飛散状況 | フェロモントラップ誘殺数 | カキ果実被害状況 | ||
実際の防除 | ||||||
春~初夏 | ビワ・スモモなど | 花粉飛散状況 | フェロモントラップ誘殺数 | カキ果実被害状況 | 冬季の温度 | 花粉飛散状況 |
実際の防除 |
防除は、個別よりも地域でできるだけ広範囲に行うほうが効果的です。
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