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新しい病害虫 VOL.4 ピーマン退緑斑紋病(CaCV)

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病害虫防除所 : 2013/06/18
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退緑斑紋病(CaCV)

病原ウイルス:Capsicum chlorosis virus (CaCV)
発生作物:ピーマン


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写真1.葉の輪紋症状

発生経過

 平成14年12月、高知県安芸郡の施設栽培ピーマンでこれまでとは異なった退緑斑紋や極めて明瞭な輪紋症状が発生(写真1、2)し、平成15年には南国市、平成16年には香美郡および土佐市の施設栽培ピーマンでも同様の症状が発生しました。そこで、九州沖縄農研センターに依頼して同定したところ、日本では未確認のウイルスによる新しい病害であることが明らかになりました。このウイルス病は、平成13年にオーストラリアのトウガラシ類とトマトで発生しており、現在、オーストラリアと高知県でだけ認められています。
 


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写真2.退緑斑紋や輪紋症状が発生


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写真3.初期症状


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写真4.奇形を生じた果実

病徴

 葉の病徴はかなり特徴的で退緑斑紋や極めて明瞭な輪紋症状(写真3)を生じ、軽度であるが奇形を生じる場合もあります。また、果実では奇形や軽度のモザイクを生じます(写真4)。現在のところ発生は株単位で、ほ場内で一気に多発した事例は報告されていません。
諸性質および伝染方法
 本ウイルスはTSWVなどと同じトスポウイルスに属し、アザミウマ類により伝搬されます。媒介種は現在調査中で、アザミウマの幼虫が罹病植物を吸汁して伝搬能力を獲得すると死ぬまで能力を有しますが、経卵伝染やアザミウマ類以外の虫による伝染、土壌伝染、種子伝染はしないとされており、汁液伝染もしにくいといわれます。
潜伏期間はこれまでの試験から2週間程度であることが確認されており、宿主範囲はピ-マンとトマト以外の植物については現時点では不明です。

防除対策


  1. 発生ほ場では感染株の抜き取り・埋没処分などを行い、媒介虫であるアザミウマ類の防除を徹底します。
  2. アザミウマ類の防除に当たっては薬剤防除のみではなく、ハウス開口部への防虫ネットの被覆、シルバーポリマルチの利用、栽培終了時のハウスの蒸し込み処理、ほ場及び周辺の除草など耕種的、物理的な防除法を取り入れます。
  3. 診断の際には病徴からも識別は不可能ではありませんが、現時点では遺伝子診断でのみ可能です。


平成17年5月作成




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