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グリーンフォーカス 令和8年4月号

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高知県農業技術センター : 2026/04/01

トルコギキョウにおける低濃度エタノールを用いた土壌還元消毒方法の検討

  • ・地域の現状

 高知県のトルコギキョウは、冬期の温暖と豊富な日照などの気象条件から全国有数の産地です。平坦部の主要産地では8月~10月上旬に定植し、11月~翌年6月頃まで出荷されています。この花は土壌深く根を伸ばすため、土壌深部の病原菌による枯死株や萎凋株の発生が以前から大きな問題となっており、これらの病害の防除技術の確立が待ち望まれていました。現地では、みどりの食料システム戦略緊急対策交付金「グリーンな栽培体系への転換サポート事業」を導入して国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下 農研機構)が開発した低濃度エタノールを用いた土壌還元消毒方法(図1)での青枯病・立枯病の土壌病害対策に取り組んできました。しかし、一部の産地では、萎凋細菌病の発生が増加傾向でした。そこで、当センターでは令和6年から7年に「持続的生産強化対策事業のうちジャパンフラワー強化プロジェクト推進」の事業を活用して、萎凋細菌病に対する防除効果や処理方法を検討しました。


図1
  • ・活動の内容

 試験は芸西村のトルコギキョウ栽培ハウスで行いました。現地では低濃度エタノールを用いて畝立て前に土壌還元消毒(平畝処理)を実施した場合、消毒後に耕起することで萎凋細菌病が多発する事例が発生していたため、令和6年度は畝立て後に畝間に点滴チューブを設置して土壌還元消毒(以下、畝間処理)を行い防除効果を調べました(表1、写真1)。しかし、同処理では畝立て後に大量の潅水を行うため畝表面が硬くなり、定植作業や生育への影響が出る恐れがあったため、令和7年度は防除効果にあわせ、畝上に点滴チューブを設置する畝上処理および畝間処理における畝表面の硬さや生育に及ぼす影響も調査しました(図1、表1、写真1)。


表 写真1
  • ・活動成果

 令和6年度試験は、処理前は調査地点6カ所全てで萎凋細菌病菌が検出されましたが、処理後は検出数、菌密度とも大きく減少し(図2)、収穫時の枯死・萎凋株の発生率は、前年が30%に対して0.37%と大幅に病害株の発生を削減できました(写真2)。
 令和7年度は、畝上処理では枯死・萎凋株の発生や生育への影響がなかったものの、畝表面の土が硬く締まり定植の作業性に問題がありました。畝間処理では枯死・萎凋株が1.3%発生しましたが畝表面は処理前と同等に表面が柔らかい状態を保つことができました(図3)。
以上の結果から、畝間処理は、畝表面の土を処理後も柔らかい状態で維持しながら、萎凋細菌病菌の菌密度や枯死・萎凋株率を低下させることができました。低濃度エタノールを用いた土壌還元消毒は、高知県では平坦部を中心に畝間処理が普及しつつありますが、処理時期やほ場の水はけ等の土質によって効果に差が出る場合がありますので、導入時にはお近くの農業振興センター、JA等へご相談ください。
 なお、具体的な処理方法の事例は、こうち農業ネット「トルコギキョウにおける低濃度エタノールを利用した土壌還元消毒 現地実践マニュアル」をご参照ください。


図2 写真2 図3


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