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グリーンフォーカス 令和5年12月号

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高知県農業技術センター : 2023/12/04

促成ナスつる下げ誘引栽培の増収技術の開発

  • はじめに

 高知県の冬春ナスの出荷量は日本一を誇るが、栽培面積は暫減傾向にあり、今後の販売額の減少が懸念されています。また、炭酸ガス施用を始めとする環境制御技術の普及により、増収効果は得られていますが、大規模経営農家では整枝・収穫作業にかかる労働時間の増加が課題となっています。出荷販売額を維持・拡大するためには、労働力に見合った単位面積当たりの収量増加が必要です。近年、省力化技術として、つる下げ誘引栽培が注目されており、現地でも試験的に導入が進んでいますが、目標どおりの収量を得られていない事例があることから、つる下げ誘引栽培において、多収生産で省力化となる栽培技術を開発しました。


  • つる下げ誘引栽培について

 つる下げ栽培とは、主枝を摘心せずに誘引を続け、適宜つる下ろしをする栽培方法です(写真1)。
ポイントは、主枝が柔らかい定植直後から主枝を寝かせてくせづけを行う必要があります(写真2)。そうすることで、その後のつる下ろし作業が効率よくできるようになります。


写真1 2

側枝の収穫は、2果(4月以降は3果)で収穫して基部から切除します。


側枝の整枝方法

  • 作業性の評価について

 摘心栽培と比較して、つる下げ誘引栽培では、収穫を除く摘心、誘引、寝かせおよび整枝にかかる作業時間は全期間で10aあたり42時間の削減となりました(図左)。栽培初期に寝かせの作業が増えるため、11月までの作業時間が多くなりますが、12月以降は、作業性が良くなり作業時間が短くなりました。また、収穫作業時間では、23%の削減となりました(図右)。


グラフ

  • 増収技術について

 つる下げ誘引栽培で、側枝での収穫果数を比較した場合、2果収穫は1果収穫に対して32%増収しました。また、摘心栽培と比較しても18%の増収となりました。


図

  • さいごに

 つる下げ誘引栽培は、初期に寝かせなどの作業が増えますが、作業の単純化が図れることから、春先から労働力の不足する生産者や、雇用の多い大規模経営体への栽培技術として期待されます。






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