定植後の管理 潅水・追肥
ピーマンは水分要求量の多い作物であり、やや多めの潅水で増収効果が高いが排水の悪い圃場での多潅水は過湿による根痛みを生じやすいがので注意する。潅水量は土壌条件によるが1日当たり約2t/10aを目安に潅水をする。
乾燥すると樹勢が低下し、石実や果頂部に花弁の付着したハチマキ(通称)が多くなる他、モザイク病発生の引金ともなるので、潅水は少量多回数とする。
また、潅水ムラは根腐れ等による病害の原因となるため、配管は水平にして均一な潅水を行うようにする。追肥の1回の施用量は液肥の場合、窒素成分で10a当たり0.6〜0.8kgを目安に行う。砂地で置肥をする場合は、1回に2〜2.5kgまでとし、多量施用によりガス害を出さないように注意する。
表 ピーマンの収量と尻腐れ果の発生に及ぼす潅水量の影響 (高知大学農学部・福元・1984年)
潅水日
mm/day正常果 尻腐れ果 尻腐れ果
発生率%果数 果重kg 一果重g 果数 果重kg 一果重g 1 24,988 648.43 25.9 644 25.09 39.0 2.58 2 27,088 819.55 30.3 26 0.81 31.2 0.10 4 26,510 792.10 29.9 9 0.42 46.9 0.03 6 26,806 803.79 30.0 9 0.31 34.3 0.03
定植〜収穫始めの潅水管理
潅水管理は収穫開始までは樹の負担が少なく、外気温も高いため潅水量が多すぎると軟弱徒長になりやすいので注意する。軟弱徒長になると、側枝再生が悪く開花と収穫の山谷が大きくなりやすいので注意が必要である。この時期の潅水のポイントは完全活着までは鉢の周囲のみとし、活着後は1回量を少なめとして栄養生長と生殖生長のバランスを確認しなが量と回数を調整する。収穫始め〜年内の潅水管理
11〜12月の収量のピーク時には、土壌条件にもよるが2日に1回程度の潅水を目安とし果実の肥大を促す。果実が少なくなると潅水量を減すが、極端な潅水不足減は成りづかれと根傷みはモザイク病が発生を助長する場合があるので、1回量を少なくして回数は減さないようにする。厳寒期の潅水管理
厳寒期は天候にもよるが3日に1回の潅水を基本とする。ときどき土の湿り具合を確認し、さらに着果状況や樹勢を見ながら1回量を調整する。なおマルチをしている場合は、底土が乾燥しすぎることがあるので注意する。3月以降〜夏季の潅水管理
3月以降は外気温が上昇し、ハウス内温度が高くなり葉からの蒸散量が激しくなる。そのため、着果量が多く晴天が続く場合は、天候を見ながら全体の潅水量や回数を増やし樹勢を維持する。温度管理と換気
ピーマンの生育適温は昼温27〜28℃、夜温18〜20℃とされている。日中は適温よりやや低めの25〜28℃、作業がしやすい温度管理をする。夜間は定温管理では18〜20℃。変温管理の場合は、20時までは21℃、20時〜24時までは19℃、24時からは18℃を目安に管理する。
石果:樹勢のバランスが崩れたり、夜温が低い場合などに発生する。 加温始めはハウス内温度が15℃に下がる頃から開始するが、一時に温度を上げるのではなく、1週間程度かけて徐々に適温に上げていく。厳寒期はサイドの三重張りなど保温に努めるが、30℃以上になると樹勢の低下や着果不良の原因となるので、28℃以上にならないように管理する。また、曇雨天日には20℃を目安除湿暖房を行い、夜間もやや低め(1〜2℃)に管理する。
地温が低いと根の活力が低下し、樹勢の低下にともない側枝の再生が悪くなり花数が減少したりするので、冬期は株元まで光が当たるように整枝を行い、地温確保(最低地温18℃目安)に努める。光 線
ピーマンの光飽和点は3〜4万ルックス(トマトは7万ルックス)と果菜類の中では低い方であるが、日照が少ない冬期にはフィルムの汚れや曇雨天の影響が大きく、着果が不安定となりやすい。特にふところ部分は1万ルックス以下になるので、整枝により光線の投下を良くし、着果させる。誘引・摘葉
誘引方法:主枝の誘引は定植して20日までに主枝が垂れ下がらないうちに行う。
2条植え直立2本仕立ての場合、主枝2本を畦に対して並行に吊り上げる。株間90cmの場合には主枝間隔は45cmとなる。主枝本数は3.3u当たり8本となる。
1条植えの場合は、主枝3本仕立てと4本仕立てにする場合があり、33u当たりの主枝本数は12〜15本位となる。誘引方法は畦幅によって直立に近いV字型からふところを大きく広げたU字型の方法がある。腋芽かきと親葉摘葉:第1分枝から下に発生する腋芽は育苗中に一度適除しておく。定植後もすぐ伸びてくるので、大きくならないうちに適除する。分枝下の本葉は11月に入ってから2回に分けて摘葉する。作業は必ず晴天の午前中に行い、傷口からの軟腐病等の侵入を防ぐ。
整 枝
直立2本仕立て2条植えの場合
樹勢は旺盛で側枝が強くなりやすい。下位の枝にも常に光が当たるように整枝を行い、着果を促進する。主枝の摘心は、草丈が畦上から1mの高さを目安とする。摘心するときは着果量と摘心部位に注意し、着果の少ない時や生長点だけの摘心すると徒長ぎみの側枝が2〜3本同時に出やすくその後の管理に苦労するので、摘心は上段部分に親指大の果が少なくても4〜5個確認できしかも、開花中の花を摘除するつもりで行う。
2月以降側枝の生育が盛んになってきたら、込み合った部分の側枝は1〜2節残して整枝する。徒長枝は着果が悪いので、早めに元から除去する。
‘みはた’は、枝の再生力が弱く、一時的な着果過多は樹勢の低下を招くので注意する。強い側枝は1〜2節で摘心し、その他の側枝は3〜4節で摘心する。ふところの第3〜4節までの側枝は年明け以降に間引く程度に1〜2節残して整枝を行う。
‘トサヒメ’の場合は、第1〜2節の側枝は4〜5節で摘心し、収穫後1〜2節に切り戻す。その他の側枝は2〜3節で摘心し、収穫後1節を残して切戻す(この摘心作業は中上段も繰り返し行う)。冬期の採光を良くし、下位の着果率を向上させるために、これらの作業は12月上旬まで行い、早いほど、側枝の再生が早くなるので遅れないよう行う。
3〜4本仕立て1条植えの場合
1条植えは主枝3〜4本でU字型に誘引することが多いが、樹勢が弱まると回復が遅れるのでV字型に立てる誘引法が良い。1株当たりの着果数が多く、心止まり状態になり易いので側枝を早めに摘心して着果数を調整する。さらにふところ枝および株全体に光線があたるように整枝をこまめに行い、樹勢の回復と果実の肥大に努める。主枝の摘心と側枝の整理は2条植えに準ずるが直立2本仕立てに比べると側枝の発生は弱い。摘 葉
整枝と併せて摘葉するが、この作業は古い葉で結果枝に光が入らないような葉を順次摘葉し、過度な摘葉はさける。マルチ被覆
スリップス類の発生防止、冬期の地温確保、土壌水分の適湿維持のためにマルチは効果が高い。透明ポリエチレンフィルムを使用し、定植2ヶ月後(11月中〜下旬)位を目途に畦上に敷く。時期が早いと水分を求めて根が上がってきて高温障害を受けやすいので注意する。またマルチの下が湿っていても掘ると土中が乾いていることがあるので、時々土壌水分を確かめ潅水は十分に行う。病害虫防除
問題となる病害は、モザイク病(TMV・TSWV)、青枯病、斑点病、疫病、軟腐病、へた腐病などがある。TMVは一度発病すると汁液伝染、土壌伝染をし、蔓延が早くしかも毎年発生することがい。 害虫は、新しくミカンキイロアザミウマの発生が確認されている。スリップス類は薬剤の防除効果が低くなって防除の難しい害虫となっていると同時に、TSWVの媒介虫としても懸念されている。自走式防除機による薬剤散布 収 穫
収穫は定植20日後くらいから始まる。開花から収穫までの日数は温度、着果数によって異なるが、高温期は15〜20日で収穫となるが、厳寒期は25〜30日かかる。長果、白果、石果は厳しく選別して出荷る。6月下旬まで収穫し、目標収量は16tとする。栽培終了後
スリップス類対策として、地域的な取り組みとして栽培終了直後には蒸し込み処理を行い、発生密度の低下を図る。
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