●整枝・せん定をする理由 / ●樹形の種類 / ●各部位の名称 / ●整枝・せん定とは / ●整枝・せん定の手順 / ●整枝・せん定の基本的な考え方 / ●側枝(結果枝)の更新方法 / ●計画的密植栽培 / ●改植 / ●間伐 / ●結果年齢 / ●樹冠 / ●主幹(幹長、幹周) / ●結果枝、結果母枝 / ●長果枝、中果枝、短果枝、徒長枝、花束状短果枝 / ●結果習性 / ●単芽・復芽 / ●頂芽、腋(えき)花芽 / ●分岐・分枝 / ●車枝 / ●負け枝 / ●懐枝 / ●陰芽(潜芽) / ●盲芽 / ●環状はく皮


整枝・せん定をする理由

整枝・せん定は行わなくても、果実は成るし、樹齢や年によっては収量は多くとれる場合がある

■成る年と成らない年ができる(隔年結果)
■品質にバラツキができる(大きな果実小さな果実、糖度の高低)
■作業性が悪くなる(登れない樹、受粉や袋がけ等各種作業)
■病害虫防除の効率悪くなる


 

樹形の種類

■主幹形
主幹が中央にまっすぐ立っている樹形で、リンゴ、ナシなどを放任しているとこのような樹形になる。カキやクリでは、幼木期はこの樹形を用い、光の透過が悪くなった時点で変則主幹形か開心自然形に移行する方法もある。また、近年栽培スペースが限定されているハウスミカンで、この樹形を上手に使い、無駄な空間を作らない仕立て方法をとっている。

■変則主幹形
主幹を2〜3mの高さで切り、主枝を3〜4本配置する樹形で、カキやクリで多く用いられている。

■開心自然形
放任しておいても主幹が高く立ちにくく、枝が開張しやすいモモ、ウメ、スモモ、カンキツなどで用いる。主幹は60〜90cmとし、主枝を2〜4本立てる。

■開心形(杯状形)
主幹を40〜50cmとし、ほぼ同位置から主枝を杯状に開張させる樹形。モモなどで用いられていたが、樹勢がやや弱りすぎる欠点がある。

■棚仕立て
ブドウやナシに多く用いられいる。経費が多くかかるや樹勢のバランス維持が難しいという欠点はあるものの、利点も多い。
・本県のような台風の多いところでは、樹体の損傷や果実落果を防ぐ
・果実の熟期や品質が揃う
・各種作業が地上部よりできるので省力である
・病害虫の防除効果が高い

■わい性樹の樹形
リンゴの紡錘形(スピンドルブッシュ形)や細がた紡錘形(スレンダースピンドルブッシュ形)などの整枝法。主幹形に似ているが、根本的に異なるのは骨格枝が主幹だけで、それに直接短小な側枝がついている点である


 

各部位の名称

■主幹
地際から主枝の分かれ部位まで。

■主枝
その樹体の骨格をなす枝。多くの樹種では3本主枝が一般的

■亜主枝
主枝から出た、樹体の骨格をなす枝。下部より第1亜主枝、第2亜主枝とよび、その間隔は落葉果樹では1.8〜2m程度である。

■側枝
亜主枝から出る枝で、これに結果枝や結果母枝がつく。また、ナシなどで腋花芽を利用する場合は、側枝が結果枝となる。側枝以下の細い枝は2〜4年で更新していくのが、品質の高い果実を連年生産するポイントである。

■結果枝
長果枝=長さ30cm以上(徒長枝も含む)
中果枝=20cm前後
短果枝=10cm以下


 

整枝・せん定とは

■整枝
大きな枝をノコギリで切りこと。主枝や亜主枝の配置や数の制限を行ったり、側枝更新、あるいは間縮伐も整枝にあたる。

■せん定
主にハサミで切ること。樹勢の調整や予備枝づくり、細部での受光体制を整える。また、結実数の制限の役割もある。せん定には大きく分けて二通りある。樹勢の弱い、あるいは結実が多い(表年)と予想される場合は切り返しせん定を主体とし、樹勢が強い場合は間引きせん定を主体とする。

●切り返しせん定=枝の途中で切るやり方
・枝の伸長を調整する
→強く切り返すと=春に勢いの良い枝伸びる
→弱く切り返すと=春に枝余り伸びず、果実着きやすい
・枝の大きさを調整する
→強く切り返すと=枝が大きく丈夫になる

●間引きせん定=枝を元から切って間引くやり方
→いらない枝を除け、樹全体に光があたるようにする
→樹勢に影響は少ない


 

整枝・せん定の手順

■整枝=ノコギリによる太枝の整理(カンキツの幼木の場合誘引を先に行っておくとわかりやすい)
・2度手間を防ぐ(細部を切ったあとで大枝を除けない)
・切りすぎを防ぐ
●チェック
・隣接樹と混み合っていないか
・主枝本数は多くないか
・亜主枝間隔(2m程度)は十分あるか(側枝の先端が込み合わない程度)

ノコギリによる徒長枝の整理=明らかにいらない徒長枝を除去
主枝などの枝先からせん定を始める(迷わないようにするため)
棚仕立ての場合、誘引は同時にやっていくとわかりやすい(慣れれば後でもよい)


 

整枝・せん定の基本的な考え方

■養分はまっすぐ流す
主枝、亜主枝の先端は切り返しせん定を強くいれる
→先端が伸びなければ樹の元に徒長枝が出やすい
→先端が伸びなければ樹体の拡大できない
→先端まで養分が流れなけれなば均一の果実の生産は不可能(主幹近くのみが高品質の果実になる)

主枝や亜主枝はまっすぐつくる(弓形にしない)
→弓形ができると、その部分に徒長枝乱立

主枝、亜主枝の枝先が弱った場合は、枝を多く残す
→葉数を確保し、葉に養分を吸い上げるポンプになってもらう
→果実をならせすぎると逆効果

側枝上側枝は厳禁
→樹形が乱れる元

■寝れば弱り、立てれば元気
誘引や切り返しで枝の伸びの強弱ができる
→強く伸ばしたい場合=先端の切り返しを強くし、枝を立たすようにする
→伸ばしたくない場合=切り返しを入れず、寝かし込むように誘引などをする

■よらば大樹の元
大きい枝の側の果実ほど大きい(主枝上は問題があるが)

側枝は3年ぐらいで更新していく
→亜主枝の側部から出た枝を側枝として更新利用

■上芽より横芽が良い
側枝の発生位置は主枝・亜主枝の側部か下部が良い
→上芽は強くなりすぎる=徒長枝になりやすい
→誘引する場合、上芽発生の新梢は弓形になる
→上芽の花芽に結実した果実は、初期肥大は旺盛だが、やがて果実の重みで果梗部が曲がると肥大鈍る


 

側枝(結果枝)の更新方法

なぜ側枝を更新しなければならないか→ 大きいおいしい果実は新しい花芽に結実する(側枝は3年程度で更新)

■更新できる側枝がとれない?
「ふかぬならふかしてみせよう更新枝」→更新枝(新しい側枝)が出現する確率を高めるために
枝を除ける場合、直立枝の場合は発生部位のかっつけで切り(再び直立枝を出ささないため)、側面から出ていた枝は基部(下部)を残して切る。

芽傷を入れて陰芽の利用→陰芽のあるところの枝先側に傷を入れる
→更新予定枝の基部に傷を入れる

養分を更新枝をふかしたい枝元にもまわす
→弱った側枝の思い切った切り詰め
→頂芽優勢を邪魔する=更新予定側枝の先端部を除去し頂芽優勢を崩す、


 

計画的密植栽培

果樹を高密度に植え付けておき、樹が生長して過密状態になったときに間伐し、各時期の収量が最大になるように計画的に逐次栽植距離を拡大していく方法である。

生育が遅く未収益期間の長いカンキツにおいて、初期収量を高めるために、同種の果樹を間作するという考えから始められた。この栽培方法の最大の問題点は、心情的に適期に間伐できず、過密障害をおこしやすい事である。そのため、最後まで残す樹(永久樹)、樹冠が隣接樹と接したら最初に間伐する樹(第1次間伐樹)、その後数年したら間伐する樹(第2次間伐樹)などを最初から決めて植え付け、目的にあった栽培方法をとるとよい。


 

改 植

樹齢が経た樹体および品質が良くない樹を掘りとって、そのほ場に他の固体を植えかえることを改植という。また、この場合に、以前に植わっていたものと同一の種類を植える場合に限って改植という場合もある。

同一の作物を栽培すると、特殊な養分を特に多く吸収してしまったり、特殊な病害虫が繁殖したりする。これらは、後作の他種の果樹にも影響を及ぼす可能性もあるが、同種の果樹に対しては、特に悪影響がある場合が多いと考えられるから、同種に改植するときには注意を要する。

樹が老齢化した果樹園を改植する場合には、後作の種類に留意すると共に、低収益期間をなるべく短くするよう、密植を行ったりし、技術的、経済的に努力する必要がある。


 

間 伐

果樹園の過密植の樹数を減少させ、残された樹の環境を改善し、果実生産力を向上させるために一部の樹の切除が間伐である。間伐は果樹園全体としての葉数の減少や、残存樹の光条件の改善効果をもたらすことからせん定の一種といえる。

年次別の間伐を前提として、10a当たり100〜300本の苗を定植する計画的密栽培法があるが、永久残存と間伐の各予定樹の間で、生育が逆転するなどのため、あるいは心情的な問題から、間伐が遅れて過密植の弊害がみられることが多い。

高品質の果実を生産する葉面積を維持するために、多数か少数のいずれの樹数が望ましいかで、間伐の必要度は大きく異なる。ただ、病害虫や災害で樹数が減少するのを考慮すると、やや多い樹数の維持が妥当である。


 

樹 冠

樹の枝葉が水平、垂直両方向に向かって伸長し占有している範囲を樹冠という。若樹の時期までの根の分布は、樹冠の投影面積とほぼ同じである(地上の樹の姿をそのまま土に埋め込んだ形に根が分布)。樹齢が進むと、内部に樹冠無効容積(枝ばかりで葉が少なく光合成が行われていない)を生じる。

果樹の植栽密度の適正度として、樹冠と樹冠の距離が用いられ、また、果樹の生産力の一つの表し方として、樹冠容積当たりの収量、結果数が用いられる。


 

結果習性

果樹は種類によって着果(花)の仕方がそれぞれ違っている。しかし、同一種類の果樹のなかでは、花芽を着ける位置、果実着ける位置(結果部位)がほとんど規則的である。これを果樹の結果習性と称し、この習性を十分知ったうえで栽培管理にあたる必要がある。

枝の種類別に着果の仕方を分類してみると、カキ、クリ、ブドウ、イチジクなどは今年の枝に着果(花)し、モモ、ウメ、アンズ、オウトウなどは前年生枝に着果する習性がある。


 

単芽、復芽

一つの葉腋の基部に着生する芽が1個であるものを単芽、2個以上のものを複芽という。複芽の場合、原則として最初に分化したものを主芽、それ以外を副芽というが、副芽は休眠芽となることが多い。

秋冬期になるとモモは1本の新しょう上に、単芽と複芽ともに着生しているのがみられる。単芽は多くの場合花芽となる。複芽は花芽が2個つくもの、2個の花芽の中間にやや細い花芽があるもの、花芽を葉芽が並んでいるものなどがある。


 

結果年齢

結果年齢とは=果樹の一年生苗木を植えてから、初めて開花、結実する樹齢を結果年齢といい、初めて実の成る現象を初成りという。それは果樹の種類、品種によっておおよそ定まっている。なお、初成り果はまだ品種固有の品質を十分に発揮しないが、ある一定年齢以後にほぼ一定した品質を現すもので、この樹齢を品質年齢という。

経営的に見ると=果実などの収入が、その年に消費した肥料、農薬、労賃などの流動資本を上回る年を結果年齢という。それ以後を成園とし、成園より前を育成期間、未成園とする。統計用語では一年生の接ぎ木苗を植えてからの育成期間は、ミカン8年(成園期間、20〜30年)、カキ8年(20〜25)、リンゴ7年(20〜25)、ブドウ4年(20〜30)、ニホンナシ年(20〜25)、モモ5年(15〜20)、クリ5〜6年、ウメ6〜7年とされている。

早期成園化=密植栽培、わい性台木の利用、ハウス栽培などの技術開発により育成期間の短縮化が図られている。


 

主幹(幹長、幹周)

地上部で直立し、主枝などを分枝し、基部にその樹の樹齢に相当する年輪を有する茎を主幹という。主幹の形状により樹性の判断がある程度でき、幹長は短いほど樹勢が強いとされている。幹周の肥大は光合成産物の果実への配分の残部の意味あいもある。


 

結果枝、結果母枝
果実が直接着生している新梢(カキ、リンゴなど)、もしくは2年生の枝(モモ、ウメなど)が結果枝である。結果枝となる花芽がある枝が結果母枝であり、結果母枝は結果枝より年次が1年古い枝である。

花芽をもたない発育枝に対して結果枝とよんでいる。


 

長果枝、中果枝、短果枝、徒長枝、花束状短果枝

結果枝の長さの相対的な表現として、長、中、短果枝がある。長さの区分として、短果枝が5〜10cm以下、中果枝は30〜50cm以下、長果枝はそれ以上の長さ(長大な場合は徒長枝)をいうが、その区分はあいまいである。核果類(果実のなかに大きな種のあるもの。モモやウメなど)において、花芽が短果枝上に節間がごく短く密着している状態を花束状短果枝という。


 

車 枝

幼樹〜若樹において、主幹より分枝した主枝相互の間隔が短い場合、その後の各主枝の肥大により、成樹になると主枝間隔は減少し、主幹を中心とした車軸に似た状態を車枝という。車枝は強風や果重などによって裂損しやすいため、主枝間隔は30〜50cm程度が望ましい。


 

負け枝

主枝や亜主枝に予定していた枝が、隣接の枝との伸長や肥大生長の競合に負けた状態の表示である。相互に隣接する枝の強弱に影響する要因としては、病害虫または強風による頂部生長点の枝折れ、頂部優勢の有無、結実数の多少、各枝の葉面積の大小などがある。負け枝を生じさせない対策としては、競合する枝の除去、せん定による枝の管理等がある。


 

頂芽、腋花芽(えきかが)

枝の先端の葉のもとに形成される芽を頂芽といい、これより下位の葉の元に形成される芽をえき芽という。このえき芽に誘引等の処理を行い花芽が着生した芽を腋花芽という。植物は植物ホルモンオーキシンの働きによって頂芽は最も早く萌芽生長し、えき芽は下位にあるほど萌芽と生育が遅れるのが一般である。


 

分岐、分枝

分岐、分枝とは=2個以上に枝分かれする状態を表現し、果樹においても、分岐と分枝の区別は不明確である。一般的な用法は、小枝や若齢の同一年次の枝分かれは分枝を用いる。

主幹からの主枝の分枝角度は、分岐部に枯死部を巻き込むと裂開の原因となりやすいため、60度以上が望まれる。


 

懐 枝(ふところえだ)

擬人的表現の一つで、樹冠の中心部に発生し、日照を受ける程度が少なく閉じこめられた状態の枝の総称である。樹冠の中央部に向かって伸長した内向枝や逆行枝も含めてた老化した枝で、着花は少なく、良品質の果実は期待できない。


 

陰芽(潜芽)

葉のもとの部分に生じるえき芽のうち、1年も2年も萌芽せず、新梢上に休眠したままの状態で経過するものがある。そして、頂芽や他の側芽がせん除されたり、障害を受けると発芽するような芽を陰芽または潜芽といい、枝梢の基部に着生しやすい。

 

混合花芽がほう芽(芽がでること)して開花結実する場合、通常1〜2本の新しょうが出て葉をつけるが、葉芽を欠いていたり、発芽しなかったりして、新しょうを着生しなくなる芽。


 

環状はく皮(環状除皮)

植物の茎や枝の形成層の外側の樹皮を環状にはぎ取ることをいう。形成層の内側には道管があり、外側には師管があるので、環状除皮を行うと根からの水の上昇は妨げられず、しおれないが、師管を通しての光合成産物などの移動は妨げられるので、処理した上の部分に炭水化物などが蓄積される。

果樹園芸では栽培技術として、実験手法として用いられることがあり、これにより花芽の分化の促進や花芽数の増加、果実の肥大や着色の促進等の効果がある。しかし、長期的にみた場合養水分の移動が妨げられるので樹勢の低下など樹体に好ましくない影響が出ることから、現在では栽培技術としてはあまり用いられていない。