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【高知普及所】敵を知って対策を!(キュウリ黄化えそ病編)

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中央西農業振興センター 高知農業改良普及所 : 2015/06/29
  • キュウリ黄化えそ病の病原体と媒介昆虫

キュウリ黄化えそ病とはMYSV(melon yellow spot virus)というウイルスが原因のキュウリの病気です。MYSVは1992年に静岡県の温室メロンで初めて確認され、高知県では1994年~1995年にかけて、須崎市・土佐市・高知市春野地区のキュウリで伝染が確認されています。
このウイルスはミナミキイロアザミウマという害虫を介して伝染されます。MYSVはとても不安定なウイルスで、種子伝染や土壌伝染、接触伝染などはほとんどありません。黄化えそ病の伝染は、病気にかかった株に産卵され、そこで成虫まで育ったミナミキイロアザミウマだけが黄化えそ病を伝染させることができます。黄化えそ病にかかっていない株で育った成虫が黄化えそ病にかかった株を吸汁しても、体内にMYSVが入るだけで伝染能力はありません。

ミナミキイロアザミウマは1978年に宮崎県で初めて確認された侵入害虫で、体長1.2mm~1.4mmで体色は雌雄ともに黄色をしています。翅の縁に黒い毛が生えているため、翅をたたんだときに背中に一筋の黒い線が見えるのが特徴です。

  • キュウリ黄化えそ病ってどんな症状?

黄化えそ病は主に葉に症状が出ます。はじめは生長点付近の展開中の葉の葉脈に沿って色がぬけてくる症状があらわれて、続いて展開する葉には明瞭なモザイクがあらわれます。この症状があらわれた葉は次第に黄色くなり、固く縮れるのが特徴です。

  • 防除のポイントは?

MYSVに直接効く農薬はないため、ウイルスを媒介するミナミキイロアザミウマの防除が必要になります。現在高知県では、耕種的防除が行われており、さらに天敵昆虫を利用したミナミキイロアザミウマの防除が進められています。天敵昆虫とは害虫を食べてくれる良い虫のことをいいます。スワルスキーカブリダニやタバコカスミカメといった天敵昆虫を利用して、黄化えそ病の拡大を防いでいます。

耕種的防除とは蒸しこみ処理やマルチを利用して防除する方法をいいます。栽培終了後にハウスを締め切り45℃以上で蒸しこみ処理を行うとアザミウマは死滅するため、防除には効果的です。また、天窓などの開口部に防虫ネットや紫外線カットフィルムを使用してアザミウマの侵入を防ぐことも大切です。露地栽培の場合では、アザミウマが嫌うシルバーマルチやシルバーテープの利用が効果的です。
MYSVに感染した株を放置すると、伝染源となってしまいほ場内で蔓延してしまいます。発病が見られた場合はできるだけ早くに抜き取り、土中に埋めるなどして適切に処分してください。


黄化えそ1


黄化えそ2


参考文献
Kimihiko KATO, Kaoru HANADA, Mitsuro KAMEYA-IWAKI(1999):Transmission Mode,Host Range and Election Microscopy of a Pathogen Causing a New Disease of Melon (Cucumis melo) in Japan
竹内繁治(2003):農業総覧原色病害虫診断防除編2-2>黄化えそ病 129-131
竹内繁治(1999):キュウリ黄化えそ症の原因と迅速診断法
渡邊丈夫・青木英子・藤澤春子(2011):キュウリを用いたミナミキイロアザミウマ成虫の感受性検定法の検討
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