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IPM(総合的病害虫・雑草管理)

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こうち農業ネット : 2018/07/23
農薬だけに頼らない農業を進めます

■ 各種農薬の天敵類に対する影響表を更新しました!


  • IPM(Integrated Pest Management)

 IPMとは、病害虫や雑草防除において、化学合成農薬だけに頼るのではなく天敵、防虫ネット、防蛾灯などさまざまな防除技術を組み合わせ、農作物の収量や品質に経済的な被害が出ない程度に発生を抑制しようとする考え方のことです。これに基づく防除技術は安全・安心な農産物の安定生産と、環境への負荷を軽減した持続能可能な農業生産を両立させるために有効なのです。


技術の組み合わせ

 IPM技術の中でも特に「天敵」の利用が盛んで、高知県は日本で一番天敵を利用しています。


導入データ

 

  • 導入の経過

 技術開発の分野では、試験研究機関を中心に化学合成農薬に頼らない栽培技術の研究は行われていました。しかしこれまでは防除効果の高い農薬があり、これらの技術は一部の地域でしか使われていませんでした。一方、高知県の主要品目であるナスでは省力化のため交配昆虫の導入が検討されていましたが、農薬の影響により導入に失敗するという現状もありました。しかし、ナスやピーマンの重要害虫であるミナミキイロアザミウマで農薬の効果が低くなるなど化学合成農薬を中心とした防除の限界も見え始め、生産現場においても新しい技術を求める声がでてきました。
 そこで、試験研究における技術開発と併せて、日本一のナス産地である安芸地域で平成4年から交配昆虫、平成9年から天敵の導入試験が開始され、平成11年からはこれらの技術を中心としたIPM技術の本格的な導入が始まりました。安芸地域では、国の補助事業も活用しながら、平成12年からは県の出先機関である安芸農業振興センターが中心となり、農業者やJAなどの関係機関と一体となってIPM技術の導入に取り組み、国内の施設園芸では最も進んだIPM技術を持つ産地となりました。
 その後、安芸地域だけではなく、施設ナス類、施設ピーマン・シシトウ、施設ミョウガなどを中心に県内全域の施設園芸産地で天敵利用技術の導入が進みました。また、作物の種類や栽培方法により天敵の利用に向かない産地においても、化学合成農薬だけに頼らずIPMを実践しようという意識が高まっています。天敵導入の難しい露地栽培においても、外部から導入するのではなく自然にいる天敵(土着天敵)に働いてもらうため、環境負荷の小さい農薬(選択性農薬など)を選ぼうという取り組みが始まっています。
 高知県では県内全域・全品目でのIPM導入を目指しています。


導入の経過(2)

 


マニュアル

 

  • 生き物なのに「農薬」?(天敵利用と「農薬取締法」)

 天敵とは、害虫を食べて退治してくれる虫たちのこと。高知の農家にとって心強い味方です。ちなみに、日本では農薬の使用については農薬取締法という法律で厳しく定められています。農薬取締法では、天敵も立派な農薬。そのため、その他の農薬と同じように効果や安全性、環境への影響を試験して、農薬として登録されたものが販売されています。こうした農薬として登録されている生き物を「生物農薬」といい、いろんな種類があります。

 

  • 農業と環境の架け橋となる土着天敵(天敵利用と生物多様性)

 天敵の中には、「土着天敵」と呼ばれるものがいます。土着天敵とは、畑の周りの身近な自然にいる地元の天敵たちのことです。高知県では、海外から日本にやってきた侵入害虫から農産物を守るため、土着天敵を積極的に利用しています。
 天敵の利用には、農家が天敵と害虫のバランスを見極め、一ヶ月後を見越した前倒しの対応が必要です。しかし、自然に暮らす土着天敵はその生態や効果が全て明らかになっているわけでなく、野外で採取できる時期も限られています。そこで、土着天敵を農業技術として安定的に利用するため、高知県では土着天敵の温存技術が開発され、地域や品目を越えた協力体制がとられています。


農業と環境の架け橋(2)

 

  • 侵入害虫に立ち向かった高知県の農家たち

  1998年ごろから天敵の導入が始まった高知県。2003年ごろには施設ナスや施設ピーマンでタイリクヒメハナカメムシを中心としたIPM体系ができつつありました。しかし、そのころから、海外から日本にやってきたタバココナジラミという侵入害虫の被害が全国で拡大し、高知県内でも大きな問題となりました。特に、天敵を導入しているために農薬散布が遅れた農家が甚大な被害を受けることとなり、一時は天敵に対するあきらめと失望が広がりました。
 しかし天敵を導入している農家から、「せっかく自分たちが築いてきた天敵の利用技術をあきらめたくない」と言う声があがりました。そして、タバココナジラミの被害を受けながらも天敵を使い続けたのです。すると、そのハウスでタバココナジラミを捕食する正体不明の虫たちが報告されたのです。その正体不明の虫たちはハウスの外からやってきて、タバココナジラミを退治していました。天敵を生かすために化学合成農薬を使っていないハウスだからこそ、起こった奇跡でした。
 それが、高知県での土着天敵利用の始まりでした。


侵入害虫(2)

 

  • 私たちの食卓を守る小さなヒーローたち

  高知県では、冬場の長い日照時間と温暖な気候を活かし、ビニルハウスで多種多様な野菜や果物を栽培しています。生産量が日本一の野菜も多く、ナスやニラ、ショウガ、ミョウガなどがあります。この他にも、ピーマンや小ネギ、オクラ、キュウリなどが多く作られています。
 中でもナスは代表的な野菜で、高知県では年間17,930トン(平成22園芸年度高知県園芸連調べ)も生産しています。ナス1万トンと言われてもどれぐらいの量かピンとこないかもしれませんが、日本人が1日に食べるナスは平均4.0g、年間にすると1.46kgであることを考えるととても多いことがわかります(平成10~12年の国民栄養調査より)。つまり高知県では、日本人約1,228万分のナスを生産していることになります。そのうち、天敵を使って生産されたナス(エコシステム栽培)は10,453トン(平成22園芸年度高知県園芸連調べ)、約716万人分にあたります。
 ね、きっとあなたも食べたことがあるはず。


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